日が沈み、月が姿を現した幻想郷の空の下。
 満月からほんのちょっぴり欠けた居待ちの月が、遥か上空に存在する巨大な門を淡く照らす。
 ここはあの世とこの世を分かつ境界である幽明結界。
 とある異変をきっかけに、境界を隔てる結界の力はなくなってしまったが、門の堂々たる佇まいは元来の威厳を残したまま。
 その門の前で、私はひとり、彼女を待っていた。

 約束の2週間が過ぎた。
 日の入りと同時に彼女が飛び立ったのなら、そろそろここに到着する頃だろう……。


「え! よーむちゃん!?」


 思うや否や、私の名を呼ぶ声が闇の中より聞こえる。
 聞き覚えのある、あの人の声。
 儚い月明かりのみが照らす闇夜の中では、
 闇の中こそ本領の彼女の目からは私を確認できても、昼の陽光に頼る私の目ではまだその姿を確認できない。
 一刻も早くあの無邪気な姿を確認したくて、期待に胸を躍らせながら、声のした方向に持っていたちょうちんを向けた。


「よーむちゃーんっ

「うわっ!?」


 ちょうちんの瑣末な明かりが彼女の姿を照らす前に、私の首に飛びつき体を抱く感触が私を包み込む。
 突然の衝撃に驚きながらも、彼女の体だけはしっかり受け止めた。
 密着して、今度は逆に近過ぎて、その姿を確認できなくなってしまったけれど……
 体を抱く彼女の柔らかさから、伝わる体温から、私の頬に軽く触れる彼女の髪が……目で見るより先に彼女の存在を認識した。
 ああ、ちょうちんで手が塞がってなかったら、今すぐ両腕で私より小さな体を抱きしめ返してあげたいのに……。
 だからそっと、彼女の名を呼んだ……。


「お久しぶりです……ルーミアさん」

「えへー


 名前を呼ぶと、彼女は首に抱きついていた力を緩めて、少しだけ距離を取る。
 私とルーミアさん、ふたり向かい合う形になった。
 この至近距離……薄暗い闇の中でも彼女の顔はしっかりと確認できて……やっと叶った期待に、思わず頬が緩んだ。
 彼女も、可愛らしい微笑みを返して……夜の闇においても、その眩しさは遜色なく私の目に飛び込んできた。


「でもよーむちゃん、どうしてここに……?」

「あ、それはですね……」

「……ううん。そんなのあとでいいや……」


 彼女は、自ら聞いた問いの答えを遮って、代わりに、今にも溢れ出そうな胸の内を、頬をほんのり赤らめながら、静かに口にする……。


「会えてうれしい……」

「私も、です……」

「さみしかったよ」

「私も……ずっと会いたかったです……」


 互いに再会を堪能する。
 たった2週間離れていただけなのに……もうずっと、何年も会えなかったみたいに、この瞬間が待ち遠しかった……。
 きっと、彼女も同じ気持ちのはず……。


「えへへ…… だから……」


 ふと、首に回された腕に少し力が入った。
 ゆっくりと、彼女の顔が近づいて……。
 そのまま……


「埋め合せ……

「……え? ……っ――!?」


 そっと、私の唇に……彼女のそれが、重なっ、た……。


 柔らかくて……温かい……小さな唇……。
 その感触を、向けられる想いと共に……私はまた、唇で感じ取る……。

 たった数秒だけ……。
 触れ合わせて……私たちの顔は先程と同じだけ距離が離れた。
 この距離を、至近距離だなんて表現したさっきの私が、なんだか滑稽に思えてきた。
 だって私の唇には……唇同士の距離がゼロになった感触が、温もりが……まだ残っているから……。


「えへー……


 もう一度、眩しい笑顔が私に向けられる。
 照れて笑うその顔が、たまらなく愛おしい……。
 私も、それに優しく微笑み返して……


「……ぇ? はぇえっ!?」


 景色が反転して、


「ええっっ??!? よよよ、よーむちゃん落ちてる落ちてるぅぅぅぅぅ……!?!?」


 しがみついたルーミアさんごと真っ逆さまになって、私の体は自由落下を開始した。






 

みょんミア

くちびるはあなただけに……







「……すみません」


 ルーミアさんに体を抱えられながら、宙ぶらりん状態の私は情けなく謝った。
 私を支えながら、ルーミアさんが「大丈夫〜?」とちょっぴり心配そうに訪ねてくれる。
 とりあえず「大丈夫ですみょん……」と返すが、その思いっきり噛んだ一言に、
 一体いかほどの説得力があるものか、私自身が疑わしく感じている。

 ……ああ、情けない。
 不意打ちのキスに気が動転して……頭が真っ白になって、腰が抜けて……そのまま浮かせた体を保てなくなって、落ちてしまうだなんて……。
 抱きついたままだったルーミアさんが途中で支えてくれなかったらどうなっていたか。
 あの調子じゃあ、私ひとりだったら地面に激突する前に体勢を立て直せたか怪しい……。
 ああ、情けない……本っ当〜〜〜に情けない……。


「あの……見損なっちゃいましたか……?」


 彼女を幻滅させてしまっただろうか? そんな不安ばかりが頭を過ぎっていた。
 彼女はいつも私のことを頼りにしてくれて、私もそういう私であろうと背伸びをしてきた。
 けれど、たった今そのメッキが剥がれてしまって……。
 偶像が崩壊し、失望させてしまったのではないかと、臆病風に吹かれてしまう。


「ううん……ちょっとうれしいかも……

「え?」


 けれど、返ってきたのは、想像とは正反対の言葉。
 不思議に思う私に彼女は、少し恥らうような口調で、理由を口にする。


「だって、いっつもわたしばっかりドキドキしてると思ったんだもん……。
 よーむちゃんもおんなじ気持ちだったって分かったら……えへへ なんかうれしいや

「ドキドキ……してたんですか?」

「してたよ! 今もしてる……」

「そう……だったんですか……」


 答えを聞いて、その事実に初めて気づく。
 ルーミアさんは、いつも平然と私にくっついてきて、さっきみたいに抱きつくのもいつものことで。
 いっつも、なんでもないことのように好きだと言ってくれて……当たり前のように懐いてくれたから……。
 だから私だけが、いつも緊張してるように思っていた……。
 でもそうじゃなかった……彼女も、ずっとドキドキしていたって……。
 なんだか嬉しくなって……同時に不甲斐なく思った。
 彼女も一緒だったなんて、当たり前のことに気がつけないだなんて……。

 その結果、私は一度、彼女を悲しませてしまったことを思い出した。
 些細なすれ違いで、私になんとも思われてないと、そう誤解させてしまって。
 一方通行なその想いに不安を煽らせて……彼女を悲しませてしまった。
 それは、私自身の想いを伝えきれない、私の未熟さが招いた誤解……。
 そんなはずない。
 ある訳ない。
 私はもう、あなたに焦がれてしまっているんだから……


「好きです」


 唐突に、彼女に告げた。
 紛れもない私の本心を……。
 そうして、もう一度、


「あなたのことが好……」


    ツルッ


「……きぃぃぃぃぃいいいいいいぃぃっっっっ……!?!?!?」


 伝えようとしたら、私を支えていた腕が緩んで私の体はまたも自由落下を開始しました。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



「うー……はんそく……」


 上から追いついたルーミアさんが、顔を真っ赤にしてそんな第一声を口にする。


「いきなりキスする方が何倍も反則ですよ……」

「だ、だってっ……! うぅ……」


 なんとか自力で体勢を立て直し、宙に体を浮かせることに成功した私は私で、ルーミアさんにそう返した。
 体を支えて貰ってた間に大分落ち着きを回復させられたのだろう。そのまま地面に衝突してスプラッターはなんとか回避できた。
 ……と言っても、まだ全然回復しきれてなくて、いつもより力が入らないけど……。
 平然と言い返してやるつもりだったけど、自分で顔が熱いのが分かる。多分私の顔も真っ赤なままだ。

 ルーミアさんは、なにか言い返そうとはしてたけど、結局なにも言わずにそのまま黙り込んでしまう。
 代わりに口を尖らせて、「むー……」なんてムクれていた。そんな姿も可愛いと思ってしまった。
 だから私の方から一言。


「また誤解とか……させたくなかったんです」


 可愛いムクれ顔が、不意を突かれたように解ける。
 くだらない自尊心が生み出した誤解を、私はひどく悔やんだ。
 もうあんな気持ち、したくないから。
 させないから……。


「だから言います……何回でも。ルーミアさんのことが……好きだって」


 ルーミアさんの赤かった顔が、更に紅くなるが、月の淡い光で覗けた。
 いつもは私が翻弄させられる側なのに、今日は立場が反対だった。
 ……あ、いや、訂正。


「あ……あはははっ?!?! やー、恥ずかしいこと言ってますね私ったら!? あはははっ!!」


 勝負はドロー……私も耐え切れない。
 恥ずかしさに耐え切れず、誤魔化すような言葉を後付けして、折角決まってた台詞を台無しにしてしまった。
 どうにも、私の性格じゃあカッコつけたままで居られないらしい。


「ぷっ……! あははっ!」


 そうしたら、ルーミアさんも笑い始めて……。
 私はもっと恥ずかしくなったけど……けどなんだかおかしくなって……。
 そのままふたりで、顔を真っ赤にしたまま笑いあった。


















「そっか……ゆゆちゃん、まだお仕事中なんだ……」

「ええ……」


 私たちは、適当な木の枝に腰を落ち着かせることにした。
 私の体は幽明結界から大分落下してて、気がついたら地上はすぐそこにあった。
 それに、お互い空中で制御するには心が乱れまくっていたから……なら、と丁度良い木を見つけてそこで一旦腰を下ろしたのだ。

 そこで私は、私がひとり幽明結界でルーミアさんを待っていた理由を彼女に話し始める。


 事の発端は丁度2週間前のこと。
 私と幽々子さまにお仕事が入ったことにより、しばらく彼女と会うことができなくなったのだ。
 けれど前回の別れ際、幽々子さまは、2週間で仕事を終わらせるからその時にまた来ると良い、そうルーミアさんに告げたのだった。

 結論だけ言えば、幽々子さまは今もお仕事の最中で、ルーミアさんのお相手をしてあげることができない状況にある。
 お仕事中の幽々子さまの邪魔をする訳にもいかない……。
 けれど、私たちの方にルーミアさんにそのことを伝えるすべがないため、ルーミアさんは約束した通り、今夜にでも白玉楼に来てしまうだろう。
 だから一足早く仕事から解放された私が、通り道にある幽明結界の前にて待ち伏せて、彼女を出迎えることにしたのだった。


「んー、ちょっと残念……。ゆゆちゃんにも会いたかったなー」

「そうですね……」


 ルーミアさんは、手を遊ばせながら、ちょっぴり残念そうな表情を浮かべていた。
 残念なのは、私も同じ気持ちだった。
 幽々子さまも、ルーミアさんをとても気に入っている。
 本当は、自分だって相手をしたかっただろう。
 ……けれど、


「けど幽々子さま、約束だけはしっかり守りました」


 幽々子さまは、彼女に約束した「2週間で仕事を終わらせる」という宣言通り、お仕事を本日中に終わらせるだろう。
 確かにまだ最中ではあるものの、本日中に終わらせるのは目に見えていた。
 本当なら……今日、ルーミアさんの相手をしても差し支えはないはずなのに……。


 私たちに託された仕事は……いざ目の当たりにすると、見積もって3週間弱は要しそうな量に及んでいた。
 だというのに、幽々子さまはそのお仕事を本当に2週間で片付けてしまった。
 厳密にはまだ片付ける予定ではあるが、もうほとんど終わっている。
 俗にいう修羅場モードというヤツだろう。もしくは意地か。いずれにしろ、そこにはルーミアさんとの「約束」が大きく作用していた。
 もちろん、お手伝いした私もいつも以上に気合も入っていたのは言うまでもないことかと……。

 ただ、本来ならそう急く必要もなく、見積もり通り、じっくり3週間掛けて行っても良かったのだ。
 だから今夜は彼女のお相手をして、仕事の方は明日にでも片付ければ済む話なんだ。
 予定よりも1週間もくり上げてるのだから、なんら問題はない。
 けれど……幽々子さまは、ルーミアさんに「2週間」と約束したから……。

 あの人は、嘘もつかなければ約束も破らない……。まあその上で人のこと貶めるから微妙にタチ悪いんだけどね。
 だから約束の通り……お仕事を2週間で終わらせることに準じた。
 2週間なんて約束、何気ない一言だったというのに……。

 そんなの本末転倒だ。
 仕事を早く終わらせる目的は「ルーミアさんが遊びに来ても大丈夫なようにすること」だったはずなのに、
 「2週間」という約束だけを果たすなんて、そんなの手段と目的があべこべになっている。
 ……だけど結局、幽々子さま自身は嘘をついていないことになった。
 幽々子さまなりの矜持か、意地だったのだろう。
 あの人は、そういうお人だから……。


「それに……仮に終わってたとしても、お相手することは無理だったと思いますし……」


 やはりいくら亡霊とはいえ、今回のオーバーワークは相当響いているだろう。
 亡霊ゆえに肉体的にはダメージがなくとも、だからこそ精神的なものにはダイレクトに影響を及ぼす。
 今の疲弊具合では、とても誰かの相手をして上げられる状況ではないとも思えた。
 ルーミアさんは「そーなのかー……」と、口癖にしているだろうその言葉を、寂しそうに呟いていた。


「よーむちゃんはお体、大丈夫なの?」

「ええ……幽々子さまの余計な気使いのお陰で」


 それは、少しだけ愚痴るような言い回しで私の口から告げられる。
 本当、余計な気づかいだ……。一緒にお仕事を手伝っていた私に対して、突然今日から2日間もお暇をお与えになるのだから……。
 最後までお付き合いすると言ったのに、「明日、ルーミアちゃんを楽しませる体力を蓄えなさい。それがあなたに与える仕事よ」だなんて……。
 告げるだけ告げて、反論もさせず、残り全ての仕事をおひとりで引き受けてしまった幽々子さまに、私の従者としての意地が反抗していた。


「幽々子さま、仰ってました……。楽しんで来い、って。それでルーミアさん喜ばせてくるのが……私に与える仕事ですって」


 分かってる、今日の朝の内に休んでなかったら、さすがに私もお相手できたか怪しかった。
 確かに、今日も私が仕事を手伝えば、彼女が来る前に終わらせることはできただろう。
 けれど折角来ていただいたルーミアさんのお相手は、私も幽々子さまも疲れきってできなかったに違いない。

 幽々子さまは自分の意地を通すだけでなく、ルーミアさんと私までも満足できるよう取り計らったのだ。
 明日のオフだって……今日は徹夜で楽しんで来い、という意味だって、改めて言われるまでもなく十分理解してる。
 ああ本当にできた主様。腹が立つくらい、この姦計に付け入る隙がないじゃあないか。
 そこまで完璧にできるなら、どうして自己犠牲なんて傲慢を計画に許したのだろうか?
 それが正しいだんなて思い込むなんて……この未熟な私でも言い切ってやる、「そんなの半人前の考えだ!」って……。


「そんな訳で、今夜は現世の方でお相手します」


 よろしいですか? なんて、確認を取るようにルーミアさんに訪ねた。
 ふたつ返事で首を縦に振ると思っていたルーミアさんだったけど、予想とは違い、彼女はひとつ問を返してくる。


「お仕事だから?」

「……すみません。今だけ、自分勝手でいたいです……」


 確かに、これは幽々子さまの指示した「お仕事」の通りではある……。
 けど、そんな誰かに言われてやったなんて、肩代わりされるようなマネされたくはなかった。


「幽々子さまのためとか、そんなんじゃなくて……今はただ、単純にルーミアさんとの時間を楽しみたいです」


 彼女と一緒にいたいのは……私自身の意思。
 今も頑張っている幽々子さまには申し訳が立たないと思うし、仕える身の自分がひとりだけ楽しむことをいささか不肖であるとも思う……
 けどだめだ。
 さっき、「埋め合わせ」と評して、彼女にスイッチを押されてしまった。
 もうだめ、がまんできない。
 お師匠様、申し訳ありません。妖夢はまだまだ未熟……自らの欲望も抑えきれず、主に不義理な態度を取ってしまうのだから。


「ワガママな私でごめんなさい」


 彼女が憧れてくれている私で居られなくなることを懸念して、彼女もに謝った。
 けれど彼女は、見損なうどころか、むしろ笑って応えてくれて。


「……ううん。共犯……


 彼女は腰を下ろしていた枝の上に立ち上がると、夜空を見上げ、口の両側に手を沿えた。


「ゆゆちゃーーん、ごめんねーっ! ゆゆちゃんだけ忙しいのにっ、わたしたちだけで楽しんできちゃうからーーーっ!」


 それは、白玉楼に居る幽々子さまに伝えるように、大きく元気良く、彼女の口から出てきた。
 言ったところで、それが遥か上空にいらっしゃる幽々子さまに伝わる訳でもないのだけど、その無邪気な姿がすごく可愛い。
 だから私もそれにつられて、同じように枝の上に立ち上がった。


「申し訳ありません幽々子さまー! この不肖魂魄妖夢、主を放って自分ひとりで楽しんできまーーすっ!」


 伝わらないことを知っていながら、私も同じように、幽々子さまの謝罪した。
 横から、「ひとりなの?」と、ちょっとムクれる声色が聞こえたので私は慌てて言い直す。


「すみませーーん、訂正しまーーす! ルーミアさんとふたりでっ! ふたりで楽しんできまーーーすっ!!」


 言ってから、横に居る彼女の表情を確認すると、満足そうに「えへー」といつもの笑顔に変わっていた。
 私も表情が緩んで……また顔を向かい合わせて、笑い合う。

 大声で叫んだりなんかして、ちょっと恥ずかしことをしてしまったと思ったけど……
 大丈夫、さっきもっと恥ずかしくて嬉しい目にあった余韻が口に残っていたから、このくらいの羞恥心には感覚が麻痺しちゃってた。

 そうして、ルーミアさんはいつかと同じように、また私の左腕に抱きついてきた。
 この体勢がお気に入りなのだろうか? まあ……私も、満更いやじゃないし……。


「いこっ

「ええっ……!」


 そのままの体勢で、私たちふたりの影は重なったまま、現世の夜空に向かって飛んでいった……。


















「ふぁ……ただいま……」


 あくび混じりに帰宅の挨拶を口にし、白玉楼の玄関の引き戸を開けた。
 太陽はすっかり昇りきりって、朝帰り……と言うにも既に遅い、お昼前の帰宅となった。
 少しだけ調子に乗ってしまったかもしれない……。
 まあ、永遠亭で貰った栄養剤のお陰で徹夜でもなんとかもってきただけど……
 家に着いて気が抜けたこともあるのだろう、急に眠気が襲い始めてきた……。


 昨夜はあの後、まず永遠亭に寄って永琳さんに日焼け止めクリームの成果報告と、それに伴うルーミアさんの体の診察を行ってもらった。
 それをサクッと終わらせてから、彼女が大好きな夜空の散歩に出る。
 軽く休憩も取ったりしながら、現世の星空の下、何気ない会話を交わしながら楽しんできた。

 夜が明ける頃、そろそろお別れの時間と思い、名残惜しくも別れようと一度は思うのだが……
 あまりにも名残惜し過ぎて、永琳さんから新たに渡された日焼け止めクリームを早速試そうとか言う話になってしまった。
 結局、日焼け止めクリームを試す名目の下延長戦が開始する。
 朝ごはんにいのししを獲って一緒に食べたり、先日から教え始めた剣の稽古を見てあげたりもした。
 で、ある程度日差しが強くなり、ルーミアさんがクリームを使用していてもちょっと辛くなってきたタイミングまで調子に乗って過ごしていたら、
 帰ってくるのが今になってしまった。
 いくらオフとはいえ、調子に乗り過ぎたかもしれない……。


「まあ……楽しかったし。こんな日もアリか……。……ん?」


 ふと、玄関の見慣れない靴が目に留まった。
 私のものでも幽々子さまのものでもない、あと亡霊の使用人のヒロカワさんのものでも、東堂くんのものでも、須菩さんのものでもない。
 他の、見慣れた使用人のどれとも当てはまらない履物が一足、増えていた。


「お客様かな……?」

「妖夢〜、おかえりなさ〜い。丁度良かった〜」

「あ、幽々子さま。ただいまです」


 不思議に思っていると、玄関の戸を開けた時の音に気づいてやって来たのだろう。軽い足取りで、幽々子さまが私を出迎えてくださった。


「もうお仕事の方は、大丈夫なのですか?」

「まーねー。バッチシ! ぜ〜んぶ昨日中に終わらせたわ!」


 幽々子さまは片目を瞑って、グッと親指を立てた右手を突き出して応える。
 別に心配はしていなかったけれど、さすが幽々子さま、見事に約束を果たされたよう。
 ついでにお体の方も聞いてみたけど、一晩眠って朝ごはんをしっかり食べたから大丈夫とお返しくださった。


「それで、なにが丁度良かったなのですか?」

「あ、そうそう!」


 幽々子さまは、思い出したとようにパンッとひとつ手を合わせて、それから私にお願い事をひとつ。


「帰ってきて早速で申し訳ないんだけど、おかしの場所……教えてくれる? お客様にお茶菓子のひとつでも出したくてね」


 やはりお客様が来ているよう。
 大方、もてなす用意しようとするも、おやつの場所が分からず困っていたところに私が帰ってきた、という筋書きかな。


「それでしたら私がご用意致しますよ。白玉楼の主に、そんな雑用させられませんし」

「え? 良いわよ。お嬢様だってそのくらいできなくちゃ。それに……妖夢、あなた疲れているでしょ?」


 徹夜の私の体を気づかう、優しいお言葉が掛けられる……。
 確かに、幽々子さまの言う通り、私の体は休みを欲していた。


「妖夢は今日、オフなんだから、ね

「お気持ちはありがたいのですが、やはり……」


 けれど、私の場合は遊び疲れという自業自得なもの。
 それで仕事の方に影響を及ぼすなど、西行寺家に仕える従者の名折れである。
 それに如何な事情であろうとも、主にそんな雑務をさせるのは気が咎める。
 昨日はただでさえ、自分のワガママを通してしまったのだから、ここで義理を立てねば、それこそ申し訳が立たない。


「それに……なんのために幽々子さまにおかしの場所教えないで隠してると思ってるんですか?」


 幽々子さまは、ちぃッ! と舌打ちをひとつした。
 やっぱり……食べ過ぎないようにと隠しているおやつの場所を、この機に探り当てる算段もあったか……。
 私は疲れに負けず、白玉楼おやつ事情最終防衛ラインを死守できたことを心底ホッとした。


「大丈夫です。それだけやったら、私の方はすぐに休ませて頂きますから」

「そう……? なら、お願いしちゃうわね」

「はっ、お任せを!」


 ほんのちょっぴり仕事モードに切り替えるつもりで、キリリッと返事。
 確かに疲れは蓄積しているけど、たかがお茶請けの準備くらいには栄養剤の効果はもちそうだ。


「ふふっ、頼もしいことで。お客様の前でバランス崩して、おかしひっくり返しちゃダメよ?」

「大丈夫ですって」


 心配はありがたいが、さすがそれはちょっと過保護ですよ? なんて思いながら、私は履物を脱いで屋敷の中へと足を進めた。
 私に合わせて、幽々子さまも足を進めたので、丁度ふたりで並んで廊下を歩く形になった。


「楽しかった?」


 歩き始めてまだ間もないそんなタイミングで、幽々子さまが訪ねてきた。
 文章に主語はなかったが、昨夜のことを訪ねていることは容易に分かった。


「……すみません。幽々子さまだって、会いたかったはずなのに……」


 私は……どうにも申し訳ない気持ちの方が先行してしまい……質問に答えるより先に謝ってしまった。


「やはり私は未熟も……」

「ストップ!」


 幽々子さまはいつの間にか私の前に回りこんで、嗜めるようなほんの少し強い口調で言うと、私の唇に人差し指を添えて言葉を差し止めた。
 ……いま、そこに刺激与えられると……ちょっと、こまるんですけど……。「埋め合わせ」……思い出しちゃうから……。


「まずは質問に答えなさい。楽しかったの?」


 そしてもう一度、同じ質問し直す。
 けれど、言葉の出口を封じられたままで、私はそれに答えることができずにいる。
 だから許可が下りるまで、私は幽々子さまが更に重ねたお言葉に耳を傾けることに徹した。


「そういう時は、楽しかったって一言言ってくれれば良いのよ……。それでこそ、私の頑張った甲斐もあるんだから!」


 幽々子さまが軽く笑いながら「ほんと、半人前ね」という言葉を付け加えて、私の言葉を封じていた指を離す。
 言葉を発することを許された私は、今度こそは質問に相応しい答えを返さねばなるまい。
 私は、幽々子さまの期待する通りの答えであり……そして紛れもない私自身の本心を口にした。


「楽しかったです……。幽々子さまのお陰で……」


 幽々子さまは柔らかく微笑みながら、大変満足したように、「ありがと」なんて返してくださった。
 その微笑みは、いつもの本心を曖昧に覆い隠す笑顔とはまた違った、本当に嬉しそうな笑みだと、そんな風に思えた……。


「それに悪く思うこともないわ。私は私で手に入れられたものもあるからね……」


 いつも通り、煙に巻くような意図の掴みにくい言い回しで、そんなことを付け足す。
 けれど、今はその言葉の意味が分かる気がした。
 それはきっと、「お姉ちゃん」でありたいと願った幽々子さまの、ささやかな願いの形が叶ったことを示しているのだと、私は思った……。


















 台所でお茶の準備をそつなくこなすと、私はわらび餅の乗ったお盆を手に、幽々子さまに伺った客間へと足を運んだ。
 昨日の疲れから集中力は少し切れそうだけど……大丈夫、おやつを運んで置いていくくらいまではもつ。
 ちょっぴりおぼつかない足取りで、それでも難なく客間の襖の前に到着。
 声を掛けてから襖を開け、部屋に入った。


「お茶をお持ちしました」

「あら、ありがとう。半人半霊完全変態レズビアン妖夢さん」


    がしゃーーーんッッ!?


 私はお茶とわらび餅をぶちまけた。


「わらび餅がー!」


 と、悲鳴のようなおまぬけな言葉を叫んだのは、ご存知我らがくいしんぼう主・西行寺幽々子さま。
 今日のおやつがわらび餅とはまだ伝えていないのに、私がぶちまけるまでの一瞬の間にしっかりわらび餅と特定してらっしゃってた。
 その食べ物に対する眼力と執念は相変わらず敬意を表しますよ……。
 そんで、ちゃぶ台の前に座っていたはずのお体は、いつの間にか盛大にバランスを崩した私の正面に回りこんで、
 愛用の扇子を空中に放り投げて両手をフリーにすると、普段のおっとりとした動きからは想像もつかないような神速の手捌きで、
 舞い散るきな粉がぶっかかるのも気に留めず、宙にぶちまけたわらび餅をすべて捕らえてしまった。

 一方、お茶の入った急須は、客人が見事に中身をこぼすことなくキャッチしていた。しかもしっかり熱の伝わらない取っ手の部分を掴んで。
 急須を確保した後、服から切り離された白い袖と頭の赤いリボンを翻しながら、時間差で降ってきた湯飲みも割ることなくキャッチ。
 なんなんだこの人らの食に対する執念は……。


「もー、妖夢ぅ〜。だからひっくり返さないでって言ったじゃな〜い」


 ぱくりとひとつ、無事確保したわらび餅を口に含みながら、のほほん仰る幽々子さま。
 いや違うんです幽々子さま、確かにバランスは崩しましたが、別に疲労がたたって足がもつれた訳じゃなくて……。


「な、な、な……」


 ……ああ違うか。そうか、そういう意味ですね。
 幽々子さまはそういう意味でバランス崩すなと仰ったのですね……!
 そういえば幽々子さま「疲労で」とは一言も仰ってなかったですもんね。
 そして分かってて、この……こいつの存在を私に黙っていたと……そういう意味なのですねッ!!

 私は、言葉の矛先を幽々子さまから客人へと移し、訴えるような大声で、


「なんであなたがここに居るんですか博麗霊夢ーーーー!?」


 まるで何事もなかったかのようにちゃぶ台の前に座り直して、
 ナイスキャッチした急須からナイスキャッチした湯のみへお茶を注ぐ博麗神社の巫女さん。
 相変わらずの赤と白を基調とした丸出しの脇が特徴的な巫女服を着こなして、その場にのほほん、完全に馴染んでいる。
 怒気を孕んだ私の一喝に対して、やる気の感じられない怠惰な瞳で気だるそうに見つめ返して、のんびり答えるのみだった。


「なんでって……頼まれたからよ」

「誰にッ!? なにをッ!?」

「アレに」


 と言って、私がぶちまけたわらび餅を続々口の中に放り込んでいく幽々子さまを指差す。
 アンタか……アンタが呼んだのかよ……。
 一体なんで……と、溢れる疑問はあるものの、同時に主を「アレ」扱いされたことに、西行寺家の従者の使命感が反応する。
 結果、疑問よりも使命感の方が勝ったため、とりあえず無礼な呼称を訂正させる方にリアクションを起こす。


「すみません……仮にも主なので、アレ扱いなさるのは……」

「これを」


 その私の言葉をハンパに切って、霊夢さんは、取り出した数枚の紙切れらしきなにかを私に手渡した。
 紙切れ? いや違う、これは……。


「……はィっ!?」


 声が裏返った。
 それは写真だった。しかも普通の写真とはちょっと違い、独特の厚みと質感がある。
 丁度、幽々子さまの(私のプライベートを筒抜けにした憎き)ポラロイドカメラで撮影されたものと似たような……
 というか、それで撮ったんじゃないの? というくらいそのもの。
 まあ、そこに至るまでに疑問がわんさか出て来るけど、そんなのはもうどうでもいい。
 それより、そこに映っている映像の方が私にとっては大問題だったから!


「ちょっ、待ッ!? な……なな、ななな……」


 写真のほとんどは、ややピンボケだったり、暗くて被写体が撮れてなかったりと、大半が撮影を失敗されてる。
 けど、その写真の大半に、どういう映像がどういう構図で写っているのかは分かった、分かってしまった。


「なんで私たちが写ってるんですかーーー!?」


 ……だって写ってる張本人だもの。


「だから頼まれた、って言ったでしょ」

「アレにかーーーー!?」


 もっちゃもっちゃ、おいしそうに頬張ったわらび餅を全部一気に噛み締めている主をアレ扱いして、私は怒り噴騰に顔を歪めた。
 目を向けると、幽々子さまは丁度わらび餅キャッチのために空中に放り投げていた愛用の扇子を、曲芸のようにキャッチしてた。
 あ、パシィッ! なんてカッコ良くキャッチする姿がちょっと決ってた。まあ、クールだったけど優雅じゃないな。


「……ゴックン……。だって仕方ないじゃない。妖夢とルーミアちゃんの関係、他に知ってるの彼女しか居ないんだし〜」

「そういうことじゃないでしょーーー!! そもそも覗くなよこンのくいしん亡霊ぇーーーーっっ!!」

「良ーでしょー? 私、これ楽しみにして昨日までの仕事一生懸命片付けてたんだから〜」


 人のプライバシーをものの見事に侵害する指示を下した黒幕は、
 キャッチした扇子を広げて口元を隠すと、スネるような目つきだけをこちらに向けて言う。
 まあ確かに、ご褒美楽しみにお仕事がんばるぞー、なんて普通のことですけどね、
 その楽しみにしてた「これ」は立派な犯罪だろうに、なんでまるでなんでもないことのように語るんですか。
 さっき幽々子さま仰っていた「手に入れたもの」ってこっちかよ。物的証拠かよ。
 なんて人だい、さっきの良い雰囲気が一気にぶっ壊されたよお姉ちゃん。


「お陰で私はめんどくさくて気持ち悪い仕事請け負う羽目になったのよ。わざわざカメラまで渡されて」

「じゃあ断れよ」


 脇の巫女が、心底面倒くさそうに後について言った。


「えー、だって幽々子がノンカロリーの冥界菓子をいっぱい食べさせてくれるって言うのよ?」


 ああそうか、エサで釣られたのか。
 なにものにも囚われない無重力の巫女がちゃんちゃらおかしい。
 そしておかし程度でないがしろにされた私たちのプライバシーってなにそれおいしいの?


「あーもー、一番重要な写真がピンボケしてるー」


 私が愕然と憤慨と呆然の感情を同時に浮かべる横で、いつの間にか席について写真鑑賞に戻っている幽々子さま。
 私の気持ちなどまるでどうでも良いと、マイペースに明後日なことを口走っていた。
 っていうか絶対怒ってるって分かってるよね?


「仕方ないでしょ、まさかいきなり出だしでキスするとか思わなかったんだから」


 そんで霊夢さんは霊夢さんで人のプライベートを覗いておいてそんなこと平然、と……


「……………………は?」


 いま、なんて……?


「ま、ましゃか……」

「んー


 幽々子さまが、現在鑑賞中のお写真を満面の笑顔で差し出して下さる。
 私は、顔面を蒼白させながら、恐る恐るそこに写っている映像を覗き込んだ。

 写真は、先程仰られていた通りピンボケで、
 だけど黒いリボンの着けた銀髪の後ろ髪に、赤いリボンをつけた金髪の頭が被って写っているのは分かった。
 アングルもダメダメで、この被写体のおふたりが重なってるだけでなにをしているのか、肝心の部分は見えてないけど……
 ……ああ、このふたりがなにしてるか分かっちゃったよ。
 これ、アレしてるよね?
 ちゅーしてるよね?
 うん。分かる。分かるよ。
 だって当事者だもん。


    どかーんっ。


 一番見られたくないこっ恥ずかしいプライバシーを見られていたという恐ろしい事実を知った私の頭は、
 羞恥心でフジヤマヴォルケイノが大噴火した。


















「うううう……ヒドイやヒドイや……。人の恥ずかしいプライバシー覗き見するなんて……うーしくしく……」


 客間の隅にゴロンと寝そべって、真っ赤になった顔を両手で覆いながらイジイジイジける私。
 もーだめです、私なんでこんな仕打ちに遭わなきゃならんのでしょうか?


「もー、元気出しなさいよ妖夢〜」


 出せるか。
 プライベートをこんなに筒抜けにされて平然としてられる人がいたら是非見てみたいわ。
 ううう……ファーストキスの時といい今回といい、私のキスシーンなんでこんなに写真に収められ率高いんだよ……。


「大丈夫よ。この巫女さん、眠くなったからって日付が変わった頃には引き上げたそうだから」

「だいじょうぶなわけあるかばかやろう」

「大丈夫よ。距離も離れていたし、私の耳にあんたらのキモい会話は聞こえてなかったから」

「くたばれ脇ストーカー」


 イジける私に、おふたりは見当ハズレな励ましを私に投げ掛けてくれた。
 って言うか脇に至っては励ます気ないよね? 全然大丈夫じゃないよね?


「にしても……よくこんな気持ち悪いことできるわねー」


 ピンボケした、恐らく昨夜一枚目に撮影したであろう写真をチラチラとチラつかせて、博麗霊夢は私に言う。
 ほら、なんか追い討ちかけてくるし……。もーやだ、こいつキライ!


「ええもう……誰かさんにハメられたお陰で、そういうことに対する感覚が薄れちゃいましたよ……」


 ばかにし続ける霊夢さんに一方的に言われるのもしゃくに思えて、私はいい加減体を起こすと、反論のひとつでもさせて頂いた。
 そういうこと、というのは……まあ「埋め合わせ」とか「魔力の受け渡し」とかその辺のアレである……。
 もっとも、私を貶めた黒幕の誰かさんは、会話に参加せずにのんびりとお茶をすすっていたけど。


「なによっ、満更でもないくせに〜っ」


 普段やる気のない目(もしくは汚物でも見るような見下した眼差し)で人を眺める霊夢さんだったが、
 この時ばかりは珍しく爽やかな微笑を浮かべて私に向かい合っていた。
 まるで面白いものを見つけた子供のように無垢なその表情は、私をからかって弄ぼうとする内面のドロドロのした気持ちが如実に現れていた。


「ええ、大好きです」

「え?」


 その邪悪な笑顔に怯むことなく、私は真っ直ぐ、彼女への気持ちを口にした。
 向かい合っていた、人を貶めて楽しもうとしていたその表情が凍りつくのを理解するも、私は構わず言葉を続けた。


「ああいうことは好きな気持ちを伝える行為ですから。問題はないでしょう?」


 堂々とした態度で口にする私に、巫女は面食らったように驚かせて、一瞬硬直する。
 普段からかわれ、うろたえるばかりの私が、怯むことなく向かい合う姿に、驚きを隠せなかったのだろう。


「へ、へぇ……さすがレズビアンに目覚めただけあるわね」

「別に……私、女の子が好きなわけじゃないです。ただ、彼女が、好きなだけです」

「は?」

「分からないなら、それで良いです」


 女の子が好きなのと、特別な誰かが女の子なのは、全く別のこと。
 幽々子さまの受け売りそのままではあるけれど……そう思えばこそ、私の心は幾分か納得を得られていた。
 だからこんなにも、迷いなく強く在れる。


「好きなら女同士だってできるっての? ははっ、そりゃ傑さ……」

「そうです」


 即答した。まるでなんでもないことのように。
 むしろ、霊夢さんに言葉を言い切らせる前に、言い切った。
 自分でも信じられないくらい、その言葉をアッサリと。
 そして、更に言葉を続ける。


「私は、彼女を好いています。それがいかなる感情かはさて置き、その気持ちを伝える行為です。自分が、間違ってるとは思ってません」

「いや……間違ってる、でしょ……」

「好きという気持ちには変わりありません!」


 強く、言い切った。
 もう迷わない。
 私は、ルーミアさんが好きだから。

 言い切る私に、ぐうの音も出せなくなった霊夢さんは、代償行為としてただ面白くなさそうな顔を浮かべていた。
 その顔を見て私は、勝った! そんな気持ちに浸る。
 けど、あえて表情に出したりせず、凛とした態度で居続ける。きっとそっちの方が悔しがるから。


「幽々子ー、こいつ面白くなーい」


 すると霊夢さんは幽々子さまにを助け舟を求めやがった。
 自分ひとりでどうにもならなかったからって人に頼るなよ……。


「ふーん」


 幽々子さまはひとつ呟いてから……開いた扇子をパチンッ、と音を鳴らして閉じた。
 その仕草が、幽々子さまが戦線に加わることを決意した証だと理解した。
 難攻不落の幽々子城……これを攻略せねば、私に真の勝ちは訪れない、か……。
 今のやりとり、脇巫女にペースを握らせる前に、不意打ちの力押しで押し切っただけ。
 そんな戦法も、掴みどころなく、しなやかな柳の枝ように受け流す幽々子さまには通用しない……。

 くっ……勝てるのか、未熟な私で……?!
 いや、勝つ! 勝ってみせる!!
 ルーミアさん、見ていてください!! あなたのために勝ちます!!



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



 ちなみにその頃のルーミアさん。


「くー……もう食べれないよ……えへへ……


 木の枝で闇を纏いながら寝そべって、よだれを垂らしながら幸せそうにごはんの夢を見ていたそうです。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



「なら妖夢……」


 舞台は白玉楼に戻る。
 動き出した幽々子さまが、優雅に、凛と佇みながら、静かに私に問い始める……。
 飄々としたいつもとは打って変わり、その威厳溢れるそのお姿に、惚れ惚れしそう……。
 ……まあ、着物はさっきのわらび餅キャッチできな粉まみれだったけど、佇まいは優雅だったよ!


「な、なんでしょうか……?」


 私は、身構えて幽々子さまのお言葉を待った。
 幽々子さまは一体何をお考えに……?
 亡霊の姫君の思考は、私程度では考えても及びも付かないのは理解していた。
 だから私にできるのは、如何な返事が来ようとも心を乱さぬよう、覚悟を決めることだけだった。
 そうして、幽々子さまは私に一言。


「私とキスできる?」


 ………………………………。


「んなぁッッ!?」


 いや、これはさすがに想定の外も外過ぎるのお返事でした。


「なななななっっ!?」


 しっかり持とうと覚悟を固めたはずの心が、凄まじい動揺を見せて揺れ動いてる。その震度、マグニチュード8オーバー。
 だというのに、トンでもないことを口走った張本人は、その微笑を崩すことなく、まるでなんでもないことのように平然としている。


「妖夢、私のことキラい?」

「い、いや……。そりゃ……好きか嫌いの2択でしたら……当然好きですよ、はい!」


 幽々子さまのことは……この白玉楼の素晴らしき明主として、心よりお慕い申し上げている。
 いっつもいぢめられるけど、尊敬はしている。
 けど、だからってそれとこれじゃあ……


「で、妖夢は……好きな相手とならキスできちゃうのよね……? 例え、女の子でも」

「う……!」


 突きつけられて、言葉に詰まる。
 確かに……今の理屈で言ったら、そうなっちゃうの、かな……?
 まずいなぁ……自分で言っててよく分からなくなってきた……。


「あ、誤解しないでね。私、別に女色家って訳じゃないのよ? 傍から見るのが好きなだけ。だからしないでね


 やっぱあんたタチ悪いな。


「それで……誰かさんにハメられたお陰で、そういうことに対する感覚が薄れちゃったよーむちゃんは、私とできちゃうの〜?」

「う、うう……」


 さっき人の言った皮肉をさらに皮肉るという高度な皮肉で、私を追い詰める亡霊の姫。
 なんという難題か。某月のお姫様も真っ青なくらいの無理難題だよ! ……や、難題って言うか、墓穴なんだけどさ……。
 幽々子さまのお顔は心底楽しそうに、静かにいやらしく微笑んでおられた。
 回答そのものより、今ここで私をからかえていることそのものを堪能しているような、そういう表情だった。

 私が押し負けそうな雰囲気を察知してか、脇の脇巫女がなにか動きを見せようとする気配を見せ始めたのを、目の端で捉えた。
 まずい……なにか言い返さなくては……この脇に反撃の余地を与えてしまう……。
 なにか……


「ゆ……幽々子さまは私の主です! ですから、私ごときがそんな分不相応なマネ出来る訳ありません!! ええ!!」


 ぃ良しっ! 我ながら良い言い訳だっ!


「ふーん」


 私の言葉に幽々子さまは、ひとまずそれだけを返して……それ以上はなにも言ってこなかった。
 ただ、扇子を再び広げて、また先程と同じように口元を隠し、細めた流し目だけで私を眺めるだけをして、それだけでそれ以上は何もなかった。
 乗り切った……? いや、違う……これは……


「えー、じゃあなに? 私ならできるって言うの? うえー、気持ち悪い」

「安心してください、あなたは嫌いですから天地が引っくり返ったって絶対100%しません。いいからとっとと帰れ、脇」


 幽々子さまに代わりに、脇から脇が割り込んできて、話がまた脇道に逸れた。

 結局、話はそのまま脇との言い合いに発展して、以後の幽々子さまは脇からその様子を眺めるだけに留まった。
 私としては、幽々子さまのお相手をするよりは脇を相手にする方が、
 脇が甘い私の屁理屈を脇に置いて貰えるので、脇目も振らずに脇の相手をするのだった。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



 その頃のルーミアさん。


「えへへ……よーむちゃんだぁ…… くー……


 私が夢に出てきてたらしい。照れる。


















「ふー……」


 ふたりから離れて、自室に戻るなり、体の中の空気を全部外に吐き出すつもりで大きく息を吐いた。
 お茶を置いてすぐに退散するつもりだったのに……思った以上に長く付き合わされて、ドッと疲れが増した……。

 と、部屋の中心に予め敷いておいた布団が目に入る。
 今日の朝帰りは目に見えていたし、私みたいな体内時計に応用の利かない体質じゃあ、
 帰ってから布団を引っ張り出し、寝床の準備をする気力残ってないだろうと思って、昨日出かける前に準備しておいたけど……予想通りだった。
 ここに来て、とうとう体は限界を迎えたらしい……。
 やっと休める場所に到着した安心感からというのもあるのだろう。
 あの脇巫女の相手をしていて、余計神経も使ったし……もーだめ、限界。
 体を支えていた力がフッと抜けて、私の体は敷き布団と掛け布団の二段重ねの柔らかさを持った楽園の上に、倒れ込むようにダイブした。
 ごん。
 …………。
 お布団の柔らかさを過信し過ぎて、ちょっと痛かった……。


「あーもー……折角良い気持ちで帰ってこれたっていうのに〜……」


 仰向けに体勢を直しながら、ついさっき植え付けられまくった胸のもやもやを、最後の力を振り絞って愚痴る。
 疲労感はMAXで、なにをするにももうだるいけど、それでも……この鬱憤はなんらかの形で発散しなければ気が済まなかった。
 久しぶりにルーミアさんに出会えて、一緒に過ごせて……すごく、幸せな気持ちに浸れたのに……。


「あの脇のせいで……台無しじゃないかぁ……」


 結局あの後、幽々子さまの攻め手に弱みを見せてしまったため、脇の巫女に付け入る隙を与えてしまった。
 その後の展開は惨憺たるもの。
 あの巫女も、本来は幽々子さまと同じく、柳の枝のようにしなやかに受け流す気質の持ち主。
 だから一度ペースを握られてしまったら、もう力押しで切り返すことなんてできなくて、結局はいつもワンサイドゲームに落ち着いてしまった。
 人のこと、散々おかしいだのヘンだの……そんなのことばかり、私が席を立つまで言い続けて……。
 そんなこと……。


「そんなこと……私が一番分かってるよ……」


 私はおかしいんだ……。
 自覚している、つもり……。


「また……しちゃった、な……」


 そっと……彼女の小さな唇が触れた私自身の唇を、指でなぞらせる……。
 自分の指の腹の感触じゃあ粗雑過ぎて、彼女の唇の柔らかさには到底及ばない。
 それでも、頭の中で昨夜味わった感触を思い返して……その余韻で……顔が熱くさせた……。

 同じ性として生まれた彼女とあんなことをしておいて……気持ち悪いだなんて、思えない。
 それどころか……


「どうしようもなく……嬉しい……」


 大好きな彼女に……好きと、言葉にして言うだけじゃあ足りない私の気持ちを……想いを伝えられたようで……。
 心が通じ合うような感覚が……たまらなく……嬉しい……。

 昨日の「埋め合わせ」だって……避けようと思えば、避けられた。
 私が見てきた幾多の剣戟に比べれば、彼女の接近は舞い落ちる花びらの様に緩やかで遅く。
 近づいてくるそれを見切るのも、防ぐのだって、容易だった。
 だから私は……分かってて、避けなかった……。

 私の唇を奪う相手は、紛れもなく同じ女性だというのに……私は……。


    ―――ぞくり……。


「……っ!」


 心臓がひとつ、大きく跳ねた。
 それはときめくような温かみを帯びたそれではなく……恐怖に怯えるような冷たさが伴った……。
 幽鬼の冷えた手指が体を通り抜け、心の臓を直に鷲掴みにしたような、そんな錯覚に陥る。


「……やっぱり……」


 あれだけ強く「好き」だと主張したクセに、いざひとりになると、「女を愛する」という異端な自分に……恐怖する。
 私が認められるのは……彼女がどうしようもなく「好き」だという事実まで……。
 彼女への「好き」を、「恋」と認めるには……私はまだ、臆病過ぎた……。


 本当なら、私たちはたった数日だけの出会いのはずだった……。少なくとも、私はそう思っていた……。
 冥界に迷い込んだ彼女をお世話して……傷が癒えたら、もう会うことはない。たったそれだけの、刹那の会合。
 そう思っていたのに……。
 なのに……私は、いつの間にか離れることを拒んでいて……。
 その願いは、叶ってしまって……。
 もう何度も逢瀬をくり返して……
 気づいたら……もう幾度も、唇まで重ねてしまった……。

 こんなのフツウの関係じゃない。
 分かってる。あんな脇巫女に言われるまでもなく、十二分に理解している。
 怖いなら、いっそそんな関係を白紙に戻してしまって、フツウの女友達として在ればいいのに……
 もう私は……それを望めない……。
 離れたくない……あの無邪気な笑顔から……。
 足りない……好きって言葉だけじゃ……。

 だから曖昧な「好き」の形で、この気持ちを誤魔化している。
 誤魔化して、自分がまだ異常ではないと、言い聞かせて、安堵感だけ得ようとしている。

 自分は、とっくに境界線上の存在。
 とうに「フツウ」の領域には属していない。けれども、恋じゃないなら「異常」ではない。
 そんな自分勝手な解釈、誰にも理解されないだろう屁理屈で、無理矢理自分を納得させている。
 正とも異とも、どちらにも属さないボーダーラインの真上は、結局、何よりも孤立した存在だというのに……。
 なんだか自分の考えが矛盾しているような気がするのは気づいてる……けど、まだ考えたくない。

 良いんだ。
 彼女が、それで良いと言ってくれたから……。
 それで私を受け入れてくれたから……。


「そうだよ……。好きだから……キスできるだけ、なんだから……」


 逃げているようで情けなかったけど……。
 今の私には……それ以上進むことも、引き返すことも……ただ怖かった……。

 幽々子さまの、もの言いたげな細めた流し目を思い出す……。
 きっとあれは……そんな私の弱さを、とうに見抜いていた視線。
 その弱さを分かっていて……あえてそこをつつかず、放って下さった……。
 なんでかは……よく分からない……。
 あの人の考えることなんていつも分からないもの……。


 ああ……疲れて眠いからかな……。
 後ろ向きなことばっかり頭に浮かぶや。

 そろそろ体も限界……眠ることをひどく要求している。
 失敗したなぁ……せめて掛け布団を捲っておけば良かった。
 そうすれば、いちいち捲って中に入る手間が省けたってのに……お行儀良く敷いた掛け布団の上に寝転んでしまったから、
 一度体を起こして、掛け布団を捲って中に入らないといけないよ。
 今はもう、それすら億劫。
 風邪ひいちゃうよ……けど……もう、だめ……眠い……。
 眠って……この陰鬱な気持ちを……少しでも……どこかにやることができれば……良いな……。
 なんて、考えていて……


    『なら妖夢……私とキスできる?』


「え…っ……?」


 不意に、幽々子さまの先程の言葉が、頭の中を過ぎった……。
 そこで……私の意識は、深い眠りに、落ちていった……。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



 その頃のルーミアさん。


「……う、う〜ん……。よーむちゃん、ライス……? ……う〜ん……」


 夢の中で私がごはんに混入していたらしい。
 いくら両方とも好きでも、この時ばかりは困ったと、次に会った時に話してくれた。
 いや、話されても困るよ。






















『妖夢……』


 気が着くと目の前に、幽々子さまが居た。
 ふたり夜空に浮かんで、私の首にぶら下がる形で抱きついている。
 近い過去、どこかで見た気がする構図……。
 その体勢のまま、幽々子さまは上気した顔と、うっとりするような上目遣いで、至近距離から私を眺める。


『ねえ……妖夢……』


 瑞々しい唇で、私の名を妖艶に囁きながら……その唇を、ゆっくりと、私に寄せてきて……。
 私は……



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



「ねぇ妖夢ぅ〜。おやつどこ〜」


 間延びした声に反応して夢から覚めると、目の前には逆さまに覗き込む幽々子さまのお顔が至近距離にあった……。


「……ッッ?! うわあああああああ!?!??」


 お互いの顔が……唇同士が、とても近いその距離に私は驚いて。


    ガン!


「おごっ!?」

「ヘブッッ!?」


 慌てて体を起こしたら、私の額が幽々子さまの頭部を思い切り打ち貫いてしまった。
 幽々子さまの体が縦方向に回転し始めながら、私の背中方向にぶっ飛ぶのを一瞬だけ捉えた。
 私も私で悶絶していたため、その後の主の軌跡を確認してない。ただ、背後から激しく襖を突き破る音と、何かが倒れる音が聞こえてきた。


「あだだだだだ……!?」


 額を押さえて悶える私だったが、すぐに、自分がトンでもない狼藉を働いてしまったことを思い出す。
 額か!? 顎か!? それとも鼻か!? いずれにしろ幽々子さまの高貴なお顔に傷をつけてしまった……! なんたる不覚!!
 額の痛みは尋常じゃないけど、それどころではない! 痛みを噛み締めて、私は慌てて後ろに振り返った。


「……っ痛ぅ……、す、すみません幽々子さまっ!? 私、突然でビックリして…………って、あれ?」


 幽々子さまがぶっ飛んだ方向へ目を向けるが……そこには誰の姿もなかった。
 突き破られた襖が溝から外れ、ひしゃげた姿で床に倒れている。
 でも、そこに横たわっているはずの主の姿はない。


「……? 幽々子さま……?」


 念のために見える範囲全てをその場でキョロキョロ見回すが、そのお姿はどこにもなかった。
 幽々子さまが居ただなんて気のせいだった?
 いや、そんなはずはない。私の額はかなりズキズキ痛みを訴えている。
 ぶっ飛ばした際の音だってド派手に聞こえた。
 現に襖は物理的に破壊されている。
 けど、その肝心の幽々子さまのお姿だけがない……。
 一体なぜ?


「幽々子さま。幽々子さまー。一体どこに……」













    「反魂蝶 -伍分咲-」













「へ?」


 瞬間、スペルカード発動の際のジャーン!という効果音と共に、躍動感と焦燥感の溢れる激しいピアノソロのイントロがBGMに流れ始める。
 そんで幽々子さまのシルエットが薄っすら、襖の倒れている辺りに浮かび上がり……
 そこより凄まじい弾幕が、私の部屋の中縦縦横無尽に散り始めた!!


「え? いや……ちょッ……! 待っ……!? ぎゃーーーー!?」



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



 その頃のルーミアさん。


「………………………………落ちた」


 寝ぼけて木の上から転落してしまったらしい。



















「まったくっ、なんだって言うのよっ、一体?」


 しばらくして、幽々子さまと崩壊した部屋の中、お互い正座をして向かい合った。
 幽々子さまはさすが亡霊というか、激しくぶち抜いたはずの顔面に傷ひとつ負ってなかった。
 負ってなかっただけ、まだ痛かったわよ。と後で伝えられたけど。


「いやー、そりゃこっちの台詞ですよー……。
 そりゃあこっちが悪かったですけど、人の部屋で『反魂蝶』とかマジ勘弁してください。しかも伍分咲とか、また絶妙なところを」

「うるさいわねー。撃墜されてつい反射的に出ちゃっただけじゃない!」


 一方私は、ボロボロになりながらも、あの耐久スペル(ハードモード)をなんとか約1分間をギリギリ逃げきった。
 不意打ちもあって2回ほど落とされて残機は0になったけど、それでもボム使いまくってゴリ押しで耐久した。
 お陰で部屋の中はめちゃくちゃだ。今夜はどっかの客室で寝るしかない。


「あとあんまり『反魂蝶』は使わんでください。あれ、幽々子さまじゃなくて西行妖が使ってるんじゃないの、って説があるんですから。
 そりゃ公式で言及されてませんけど、まだ東方に触れて間もない頃に作者がうっかり作中で使ったらご友人からツッコミ入れられたんですよ」


 ぶっちゃけ、現在作者自身「その説が正しいんじゃないの?」と思い始めている節がある。(けど原作で明言されてないので実用はしない)
 だが既に一度描写してしまった設定、そのまま突っ走るしかないというのは連載ものの恐ろしいところである……。


「じゃあ、萃夢想で使ってた『紫(むらさき)の彼岸は遅れて輝く』をちょっとアレンジして『反魂蝶』って名乗ってる設定ことにしましょうよ。
 あれも撃墜後に私が復活して撃ってるような演出じゃない?
 スペルカードなんて飾りでしょ。個人技に適当〜に名前つけてるだけなんだから」


 いや、まあそうですけど、ムチャクチャですねオイ。


「まあ、ちゃっかりフォローしたのは良いとして」


 そうですね、フォローありがとうございました。


「話逸れちゃったけど……なんで私は頭突きぶちかまされたの?」

「えっ! ……と……それは……」


 突然話題を戻されて、私は狼狽せざるを得なかった。
 気まずく苦笑いを浮かべて、視線を外す。
 そんな私の挙動不審な態度に、幽々子さまはただ首を傾げるばかり。

 ……言いにくい。すこぶる言いにくい……!
 けど……あんな無礼を働いてしてしまったのだ、訳を話さない訳にも行くまい……。
 私は、覚悟を決めて、事の顛末を話すことにする……。


「……その……夢を、見たんです……。幽々子さまが出て来る」

「夢?」

「それで……夢の中で幽々子さまが先程仰った台詞のことを実行しようとしてて……」

「先程の台詞のこと……ってなに?」


 直接言いたくなくて、遠まわしに言ったのだが……やはり一体どの台詞のことか、よく分からないといった感じに返されてしまった。
 ああ、本当にすごく言い難い……。
 それでも、贖罪の一端と観念して。


「私が、幽々子さまに……キスできるか……って、アレです……」


 …………………………………………。

 沈黙が場を支配した。
 ちらりと、下に向けていた目線を上げて、幽々子さまのお顔を覗いてみる……。
 ……見るんじゃなかった。
 幽々子さまの目が、点になってた。
 ですよねー。そりゃそんなこと突然言われたら、目が点にもなりますよねー。


「べ、別に私はそのような大それたマネしようだなんて思っても居ませんよ! ええ!!
 ただ……寝る直前に幽々子さまがあんなことを口にするから、そんな夢見ちゃっただけで……わ、私自身は別にそんなつもりは……!!」


 慌てて取り繕うように言い訳した。
 幽々子さまは尊く、気高いお方だ。私なんかが容易に触れていいような存在ではない!!
 部屋に戻る前、幽々子さまに答えた言葉だって、満更嘘じゃなく、本当にそう思っている。
 そして容易に触れちゃダメなお方の顔面に私は頭突きをぶちかましたんだっけ! ごめんなさい!!


「それで……そんな夢を見てた直後に、幽々子さまのお顔が近くにあったものだから……私、意識して、ビックリしてしまって……
 も……申し訳ございません! 例え夢のせいとはいえ、幽々子さまの端麗なお顔に傷をつけるような無礼を働くなどと!
 いやそもそもそんなはしたない夢を見てしまうなどとおこがましい行為を……」


 素早く土下座し、頭を深く深く下げた。
 額はまだ幽々子さまをぶち抜いた時の痛みが残るけど、その痛みも気にせず畳に擦り付ける。
 むしろ痛みを刺激して、それを自分に対する罰のように、強く頭を擦り付けた。


「どうなったの?」

「へ?」


 私の謝罪の最中、私が想像していたものと毛色の違う声が耳に届く。
 顔を上げると……幽々子さまのお顔は、呆れて目が点になるものから既に違う表情に変わっていた。


「その夢よ。その後、どうなったのかって聞いてるの」


 激昂するでもなく、かと言って責めるでも、照れるでもない……純粋に、その後のこと知りたいという真摯な態度で、私に向かい合う。
 そのひたむきな気持ちに背中押しされるように、私も真面目に答えなくては……そう思わされる。


「えっと……」


 ……と言われても、あの夢はそこで途切れて終わってしまった。
 実際、夢の中では行為にまでは至ってない。
 結論が出ないまま夢が終わるだなんてよくあることで、あの夢もまさにそんな感じ。
 だから、幽々子さまが望むような続きなど存在しない。

 けれど……続きが、分からない訳じゃない……。
 あの後、もしあのまま夢が続いていたならば、私は……。


「き……」

「"き"?」


 私は間違いなく……


「……キモっ!! ……って言っちゃいました……」


 ………………………………………………。


「ご、ごごごごごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさぁぁぁぁあああいッッッ!??!」


 言ってから、そっちの方が申し訳が立たねぇだろばかやろう、と心の中で自分に向かって吐き捨てた。
 しかし時既に遅し。幽々子さまの目は、さっき以上にもっと点になってもっときょとんとしてた。
 やばい……怒らせた! 殺される!! 「死を操る程度の能力」で死を操って、私は零人全霊になってしまう! ひぃぃぃぃいいいぃぃぃっっ!?


「ぷっ……!」


 ひどく怯える私の予想と比べ、落差のある、軽く噴き出す声が飛び出した。
 そして、噴き出した音は、そのまま笑い声へと変わっていった。


「あはははっ! もー、妖夢ぅ〜、そこまで怯えなくて良いわよ〜」

「へ? ええっと……」


 幽々子さまは、笑っていた。
 ただひたすら笑いながら、


「だってフツーに考えてキモいじゃない」


 ズガーン、笑いながら口にする幽々子さまのお言葉が、結局私の心の死を操った。


「ううう……どうせ女の子同士でちゅーしちゃってる私はキモいですよ……」


 ファーストから以降全て女の子同士で済ませているキモい認定された私はただ涙するしかない。
 大体、私のファーストは幽々子さまのせいじゃあないのさ。


「違うわよ」

「え……? ……あ痛っ!?」


 突然、幽々子さまは持ってた扇子で私の頭を軽くペチリ、不意打ちをくらわす。
 そして、違うと仰ったその理由を語った。


「妖夢にはルーミアちゃんがいるでしょ? 気持ちが通じ合っている相手とじゃないなら、気持ち悪いと思って当然。
 逆に、私を受け入れた方が、私は怒ってるわ」

「幽々子……さま……?」

「だから、自分を責めるんじゃな〜いのっ」

「……あ痛っ! 痛ッ!? ちょッ……痛いですってっ!?」


 ペチペチペチ、額に添えていた扇子を、手首のスナップを器用に利かせてくり返し叩いてくる。
 扇子での一発一発は軽いけれど、わざわざ堅い外側の親骨の部分で叩いてくるからなかなか無視できるものじゃない。
 しかも、さっき幽々子さまをぶち抜いてジンジンしている箇所を的確に攻めてくるから、正直、相当痛かった。

 まあ……幽々子さまの言いたいことは、よく分かる。
 仮に男女間であっても、不貞を働くことは、罪に相当する。
 でも……でもそれじゃあ……!


「それじゃあ困るんです!」

「妖夢?」

「だって私は……幽々子さまのことを、お慕い申しております……。好きです。
 けど、好きなのにできないなら……私は……さっき言ったことが嘘になって……」

「なぁに、さっき自分で言ったこと気にしてるの? ウソついた風になるのがいや?」


 ……それも、ある。
 けど、嘘吐きになるくらいどうってことない……。
 それよりも、さっきの言葉が嘘になってしまったら、それが意味するのは……。


「私は……ルーミアさんのことを……」

「特別、なんでしょ?」


 ―――特別だけど、


「特別だったら……! 恋だったら困るんですっ!!」


 私が認められるのは……彼女がどうしようもなく好きだという事実だけ。
 それを「恋」と認めるには……私はまだ、臆病過ぎるから……。
 だから……


「怖いん……です……」


 体が震えていた……。
 散々好きだと言って……結局また、ここで私は足踏みだ。
 「好き」なのは認められる。
 「大好き」だよ。
 けど……けど……

 境界線上の私は既に孤立しているのに、それを飛び越えることだけを怯えている。
 孤立し異端視されるからこそジョウシキから外れるのが怖いはずだろうに、
 明確に境界線を越えない限り、自分は平気でいられると思い込んでるんだ。

 だけど……その支離滅裂な理屈が、私の命綱になってしまっている。
 もうなにが良くて、なにが認められて、なにが許せなくて……自分でも自分の気持ちが全然分からないのに。
 そのよく分からない屁理屈さえ、無くなるのがどうしようもなく怖くて……すがっている。


「……焦ることないわよ……」

「……! 幽々子、さま……?」


 怯える私に、まるで……母親が我が子を慈しむ包容力を持った優しいお声が掛けられた。
 幽々子さまは、そのままの優しいお声で、私に静かに、優しく語り始めた……。


「あなたたちはね……早過ぎなの。出会ってまだ2ヶ月も経ってないでしょ? しかもその全てを一緒に過ごした訳でもない」

「それは……」


 仰る通り……初めて彼女に出会ってから、1ヶ月と半月ほどしか過ぎ去っていない。
 彼女と一緒に過ごした日数だけをカウントするなら、その3分の1ほどだ。
 思い返してみれば、本当に短い……。


「普通に男女の恋愛だって、なんの障害もなく全てが丸く収まるなんて夢物語。
 妥協もある。受け入れらない事情も出て来る。許せないことだって……そういう裏面は、絶対に存在するわ。
 それらを全部ひっくるめて、受け入れてこそ……初めて選んだ、って言うのよ。
 誰かを好きになるのは、綺麗事だけじゃ済まない……」


 私たちの場合……それに「性別」が含まれてしまった。
 それだけの話だと、幽々子さまは仰る。
 そしてそれがどれほどの障害かなんて決めるのも……私たち自身だとも……。


「あなたみたいな半幽霊や、ルーミアちゃんみたいな妖怪には、いっぱい時間があるでしょ。
 たった60年程度しか生きられない人間だって、半生を共にする相手を選ぶのに数年は掛けるもの。
 その何倍、何十倍もの時を過ごすあなたが、たった2ヶ月にも満たないの期間で決めちゃうなんて、そんなの……軽過ぎるじゃない」

「…………」

「むしろね、たかがそれだけで一生を添い遂げるなんて言い切る方が、逆に白々しいわ」


 その言葉を口にする時だけ、優しかった声色は厳しさを伴い、けれどもとても真摯に向き合うように紡がれた。
 たった一瞬だけの厳戒な雰囲気を、幽々子さまはすぐにお崩しなられると、
 またいつもの柔らかい表情に戻って「ま、運命的な出会い、ってのも否定する気はないけどね」と付け足していた。


「いっぱい悩みなさい……。悩んで、悔やんで、怖がって……その上で選びなさい。
 自分がどういう感情を持っている……。どういう形でありたいのか……。本当にあの子が大切なら、ね……」


 そのお言葉はとても頼もしくて……闇の中、見えない何かに傷つくのを恐れ動けなくなった私を導いてくれるには、
 十二分に眩しい導きの灯火となってくれた。

 ああそうか……合点がいった。
 だから、あの時、幽々子さまはつつかずにいたのか……。
 私に、大切な妹ルーミアさんのために悩んで欲しくて……だから、余計な答えを与えたくなかったのだと。

 私は、心底救われた気持ちに浸り、胸が、目尻が、熱くなりそうだった……。
 幽々子さまは、またいつもの調子で穏やかに微笑むお顔を向けていた。


「……だけど……同じ期間で養子にしようとした人に言われたくありませんよ……」

「ふふっ……言ったでしょ? 運命的な出会いは否定してない、って」


 幽々子さまの言葉に、自分がどれだけ感銘を受けたのか計り知れないというのに……
 出てきた返事は、恩知らずにも重箱の隅をつつくような憎まれ口。
 だって……まるで、私が何年も、何十年も何百年も考えて出すだろう結末を、既に確信しているかのような余裕っぷりで言うんだから……
 悩んでいる自分が、ピエロみたいで……悔しかったから……。


「……けど、そっか。やっぱり妖夢は……私とじゃキスはできない、か……」

「え?」

「ちょっと残念かな」

「なんですか、自分からキモいって言っておい、て……、……え?」


 それはほんの一瞬だけ……。
 いつも通りの笑顔だった。けれど、いつも内心を完全に隠してしまう幽々子さまにはらしくなく……寂しさの影が少しだけ、覗いていて……。
 それがなにを意味するのか……私が理解する前に、


「ルーミアちゃんの"埋め合わせ"は受け入れられるのにね……」

「……は?」


 もっと重要な項目が出てきてしまった。


「……あの……幽々子さま……」


 恐る恐る訪ねる私に、幽々子さまは先程までの雰囲気などもう忘れて、のんびり「なぁに〜?」なんて答える。
 そこに私は……湧き上がる疑問をぶつける。


「なんで……"埋め合わせ"って、知ってるんですか……?」

「ん?」

「博麗の巫女は言ってました、私たちの会話は聞いていない、と……。
 じゃあなんで……なんで出だしのアレが、"埋め合わせ"だって、知ってるんですか……!?」


 「埋め合わせ」というのは、ルーミアさんが使った表現で。
 その当事者たちしか知らない言い回しだったというのに、なぜ幽々子さまは知っておられるのかと……?
 そこに、ひとつの仮説が思い浮かぶ。
 まさか……そんな……。思う私に、幽々子さまは私の尋問に否定の言葉を重ね


「だって、入れ知恵したの私だもん

「やっぱりあんたかーーーっ!?」


 たりなんかしないですんなり認めやがったよっ!?


「あー、ちょっとおかしいと思ったんですよ! ルーミアさんにしては小悪魔的な演出するなぁと思ったらっ!!
 幽々子さまですか!? 幽々子さまが余計なことを吹き込んでたとは!?」

「えへー

「ルーミアさんとおなじように笑ってもダメですッッ!!!」

「なぁに? 嬉しくなかったの〜」

「嬉しかったですよッッ!!!!」


 などと真っ赤になりながらもしっかり豪語してしまう私魂魄妖夢はとっくにあの子にやられてます。
 だって本当に嬉しかったんだもん!


「さすがレズビアン妖夢さんだことで」


 と、脇から倦怠感溢れる気の抜けた声が、私たちの間に割り込んできた。
 一体いつから居たのか、崩壊した私の部屋の入り口(だったところ)に、気だるそうなジト目を浮かべる脇丸出しの脇巫女が立っていた。


「なんですか……まだ居たんですか、この雌脇は……?」

「雌脇ってなによ……? それより幽々子ー、お茶菓子まだなのー?」


 脇の言葉に、幽々子さまがポンと手を叩いて、「あ! そうよ、忘れてたおやつよおやつ!!」と思い出したように口にする。

 幽々子さまのおやつに発言に……ふと、今更ながら時間を確認しようと時計を探した。
 めちゃくちゃになった部屋の中で、落ちていた時計の針は3時過ぎを示していた。
 時計は、「反魂蝶(仮)」を受けた時に壊れてしまったのだろうけど、
 部屋が壊されてからまだそんなに時間は経ってないから、現時刻とはそんなに差異はないだろう。
 ならばなるほど、私の部屋に来たのは3時のおやつ目的だったと見える。
 私が眠ってから既に4時間ほどが経過か……。つまり、その間ずっとこの脇は白玉楼に留まっていたことになる……。


「よっぽど暇なんですね……」

「あのねー、あんたがぶちまけたから、私は約束の報酬を食べ損ねてるんじゃない」

「ああ」


 そういえば、私のプライバシーはたかが茶菓子で売り払われたんだっけ。そのことを改めて突きつけられて、悲しくなった。
 けどそうか、幽々子さまじゃあおかしの場所が分からないから、今までずっと食べ損ねて、それで残っていたって言うのか……。


「ねー、妖夢ぅ〜。妖夢はオフでお休みなんだから、今度こそおやつの場所教えて〜」

「いえ、良いですよ。今のお詫びも兼ねて、私が準備しますから。幽々子さまはそこの脇共々客間で待っててください」


 ちィッ! 幽々子さまがまた舌打ちして。
 私は食ったらもう帰れ、脇! と強く言うのだった。


「……ま、じゃあまたお願いしちゃうわね」

「はい、ではしばしお待ちを」


 幽々子さまに午後のお茶請け任を明確に託されて、私はまだほんの少し気だるさを残す体を動かし、お台所に向かった。
 そうして、ひとりになると、


「はぁ〜……」


 道すがら、大きなため息ひとつこぼれた。
 いまだ答えの出せない、彼女への気持ちの形に、やっぱり頭を悩ませてしまし、つい出てしまった。

 けどその答えは……きっともう決ってしまっているのだろうな……。少なくとも、幽々子さまは確信されていた。
 幽々子さまの表情から推測するならきっとそれは……。


「……はぁ〜〜〜……」


 さっきよりも大きなため息がこぼれた。
 幽々子さまの確信した答えを、言葉に書き出すだけなら、きっとものすごく簡単なんだ。
 だけど、その答えに私が納得できるようになるのが、きっととても長い長い道のりになるんだろうな……。

 また幽々子さまの手のひらの上で踊らされている気持ちに浸りながらも、それでも私は決めた……いっぱい悩もうって。
 幽々子さまが悩めと仰られたから……じゃなくて。

 やっぱり……彼女が大切だから……。


「人を好きになるって、難しい……」


 私は、お台所までの道のりの中、そう呟くのだった。

















「ねえ、幽々子……」


 妖夢が去った後、紅白の巫女と亡霊の姫、先程まで自分らが居た客間に戻るための屋敷の廊下を共に歩んでいた。
 その短い通路の間で、巫女は前を歩く亡霊の姫に声を掛ける。


「んー? なぁに、博麗の巫女さん?」


 華胥の亡霊は振り返ると、いつものように穏やかな微笑を浮かべた。
 まるで心の内を見せないその微笑に……一瞬だけ垣間見た、寂しさの影が覗けた笑顔が、
 あの半人半霊が「埋め合わせ」にばかり目が行って流してしまった寂笑が、
 普段は人にも妖怪にも興味を持たない無重力の巫女の心に、なぜだか余計に引っかかっていたから。


「あなた、まさか妖夢のこと……」

「なにかしら?」


 姫の白く穏やかな顔は、ただ同じ微笑みを浮かべるだけだった。


「…………」

「んー?」

「いえ、なんでもないわ」


 巫女は、何かを感じ取ったのだろうか。
 なぜだか聞いてはいけない気がして、巫女は沸きあがる疑問を胸の内にしまい込んだ。
 代わりに別の言葉を、その唇から紡ぐ。


「幽々子、あんたの考えてること相変わらず分かんないって話」

「あら、ありがと」


 褒めてない、博麗霊夢は思った。
 思いながら……一言、呟く。


「自分でも気づかない気持ちって、あるのかしら、って思ってね……」


 その呟きが、西行寺幽々子の耳に届いたのか、博麗霊夢には分からなかった。
 聞こえていながら聞き流したのか、本当に聞き逃したのか……どちらとも取れたから。
 華胥の亡霊はただ幽雅に、穏やかに歩みを進めるだけだった。
















あとがき

「みょんミア!」シリーズ第5弾! やっと戻ってきました妖夢視点。今度は真っ当な百合だよねっ!

やー、サブタイトルこっ恥ずかしいですっ!!!(爆
ついでにラブラブ全開で、もうなんていうか、なんていうか……。そういう時、なりゅーは羞恥心の感度をオフにして執筆します!(笑
もっとも、最初思ってたよりちょっとシリアス風味に仕上がってしまいましたが、
妖夢は程ほどに悩む方が"らしい"ので、個人的には大分納得の仕上がりになったと思ってます。
まあ前半はみょんミアとしては良いとして、後半はちょっとヒロイン(笑)の出番が薄かったのが気に掛かりますが。
そういう話だったから仕方ないけど、仕方なかったなりに若干足掻いてみました(笑

ところで、作中でフォロー入れた「反魂蝶」について。
ぶっちゃけ、この話でやりたいがために、以前無理して通したのですが……
それで激しいツッコミをくらったので、という裏話があります(苦笑
結局この話でフォローすることになったなんて、なんだか本末転倒ですね!
それはそれでおいしいので、おいしい形に仕上げました(ナニ
もっとも、フォローについては、あとがきにてその辺の「二次創作での解釈」を説明する方法もアリだったんでしょうけど、
なりゅー自身の作品へのこだわりとして「作中で描写しなかったことは無いも同じ」という個人的な考え方がありまして、
だからこそ「作中」にてフォローしました、

ちなみに、この作品、前回から現実時間でも2週間後にアップした代物で、なんというリアルタイム更新!
……まあ、アップ当日以外に見たら「だからどうした」なことですが、作者個人的に感慨深かったのです、という話です(苦笑


更新履歴

H21・6/21:完成


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