むかしむかしの物語り・・・・

 

 

 

泣いた赤鬼っぽい話

 

 

 

本州から外れたあるところに、通称「鬼が島」とも呼ばれる島がありました。

そこの島にある、とあるバー「SHIRAYUKI」に、千影という鬼と、春歌という鬼がおりました。

昔から鬼たちは、人間になぜか嫌われ続け、迫害を受け本州から追い出され、この島でひっそりと暮らしていました。

もっとも、たま〜に桃太郎と呼ばれる略奪者達が訪れるぐらいで、それを除けば平和そのものでした。

二人の鬼は、マスターである、白雪さんから酒(ジュースですよ?)の入ったグラスを受け取り、乾杯を交わします。

 

 

「・・・・・・・・」

「どうかなさいましたか?千影さん。悩み事でもあるんですか?」

いつも暗いが、今日はそれに輪をかけて、さらに暗い千影を見て、なんとなく春歌が聞いてきました。

「いや・・・・なんでもないさ・・・・。」

それだけ言うと、また黙り込んでしまいます。

 

「なんですか、話してみてください。あなたがそんな調子ですと、せっかくのお酒(ジュースなの!)が不味くなってしまうじゃないですか?」

「なぜ・・・・私が悩んでると・・・・・・君の酒(ジュースだって・・・)が・・・・・不味くなるんだい?」

「お酒(ジュースなの!)を飲むときは、楽しく飲んだほうが気持ちいいじゃないですか。」

「・・・・?だったら・・・一人で飲んだらどうだい・・・・?」

「それじゃあ、美味しくありませんわ。」

「・・・・・・よく分からないね・・・。」

少し自嘲気味に笑う千影に、やれやれと春歌は首をふった。

「一人で飲むよりも、誰かと一緒に飲むほうが、お酒(ジュースよ!)というのは美味しいものなんですよ。」

「やっぱり・・・よく分からないね・・・・。」

首をひねりながら、フッと笑う千影の肩を、春歌はポンポンと叩きました。

「いいから。その悩みを話してみてください。ワタクシでも力になれるかもしれないじゃないですか。」

「・・・・・・そうかもしれないね・・・・。」

 

千影はグラスをテーブルに置くと、少しため息をついて、その思いを打ち明けました。

「・・・・この島から・・・一番近い本州に・・・・「妹村」という村があるだろう・・?」

「ええ、確か親やら兄やらを亡くした子供たちが、共同で住んでる村でしたよね?」

「ああ、・・・・そこで人間たちが楽しそうに遊んでいてね・・・・。その子たちと、仲良くなりたいのだが・・・・・・どうも嫌われていてね・・・・。」

それを聞いて、春歌はびっくりしました。

「千影さん・・・、あなた・・・・ロリコ「違う!!!!

「まあ、ドイツジョークですわ。でも、あなたからそんな言葉が聞けるとは思いませんでしたわ・・・・。」
「君がどういう目で・・・・・私を見ていたのか・・・・少し分かったよ。

しかし・・・・あの人間たちと友達になりたいが・・・・まあ、無理だろうね・・・・。」

千影は、そうつぶやき、本日3回目の苦笑をしました。

 

 

「で、ロリコ「そのネタを引っ張るなよ!」・・・千影さん・・・・どんな風に、打ち解けられないんですか?」

「全然上手く誤魔化せてないんだが・・・・・まあいい。

そこの人間たちは・・・、私を見た途端・・・・・騒ぎ出して私を囲み・・・・・・、そして私に向かって「出て行け」と言い・・・・石とかを投げてくるんだ・・・・。

他にも、アイスピックとか、虫眼鏡とか、サッカーボールとか、野球ボールとか、ソフトボールとか、バスケットボールとか、テニスボールとか、ドッチボールとか・・・・」

「もう、いいです。ていうか、よくそれだけ、飛んでくるものを視えてましたね。瞬間記憶能力者か、なんかですか?」

流石に聞き疲れだし、春歌はストップをかけました。

「・・・・・もっとも・・・・ボールは全部・・・・・あさっての方へ飛んでいったがね・・・。石は全て避けきったが・・・。」

「ほとんどじゃないですか!」

「だがまあ・・・・、嫌われている事に・・・変わりはないよ・・・・。」

「まあ、そうなるでしょうね・・・。」

鬼は、特に人間と変わりありません。身体能力も、人間と同じぐらいです。ただ人間と違って、角が生え、皮膚の色が少し白く、人間とは外見が少し違っており、何より一番の違いは血の色が、・・・・翠色であることです。

だからといって、鬼に人間をどうこうしようという悪意もないですが、人間たちがなぜか一方的に嫌うのでした。

 

「鬼と人間は、共存できない関係ですし・・・・物語でも、人間と鬼は敵対関係にあるのが決まりですから・・・・。」

「別に私は・・・・・人間に対して、悪い感情は・・・・・・沸き起こらないのだがね。むしろ・・・・一緒に楽しく遊びたいぐらいさ・・・。」

「千影さん・・・・。」

「・・・・・・・・・・・」

「遊ぶというのは、おままごととか、着せ替えごっ「それはどういう意味だ。私の精神年齢が低いということか?それともロリコンの変態だと?」

「珍しく「・・・・」をつけずに喋りましたね。」

「・・・・焼かれたいのかい?」

「まあ、それは置いといて。嫌われている人間に、どうすれば仲良くなれるかと言うことですね。」

「そういうことだ・・・・。」

千影は憂鬱に、ため息をつきました。

 

 

10分ぐらいして。

 

「・・・・・分かりましたわ。」

「・・・・ん?」

「ワタクシがなんとかして差し上げると言っているのです。」

「なにを言っているんだ、君は?」

春歌の言っていることが唐突で理解できずに、千影は聞き返しました。

「ですから、その人間達と仲良くなれるように、ワタクシがなんとかして差し上げると言っているんです。」

「・・・・・本当にできるのかい?」

「南極に、屋形船に乗った気でいて「それ無理っつーより死ぬから。」

「とにかくワタクシに任せてみては頂けないでしょうか?」

「・・・・・なにか、名案でもあるのかい?」

「ええ、とっておきのが。」

春歌は悠然と微笑んでみせました。

 

 

 

・・・・・ほんでもって翌日。

 

春歌に大丈夫と言われた千影は、今日も人間達のいる妹村へとやってきました。

村の入り口の柵からこっそりと中を覗き見ると、人間達が畑で仕事をしたり、遊んでいます。

「本当に・・・・大丈夫なのかい?」

千影は昨日、春歌に「またその村に行ってみてください。いつものように幼女の尻を追いかけ「追いかけてないから」・・・まあ、普通にしていていいですから。」とだけしか言われていないのです。

名案とやらをまったく聞かされていない千影は、不安で胸が一杯でした。

すると、昼休みにでもなったのか、村人達がたくさん、わらわらと畑の真ん中集まりだしました。

 

千影は緊張しながらも、ごくりと喉をならし、なんとかあの輪の中に入いることを夢見て、声をかけようとしました。

「あ、あの・・・・・」

すると、先ほどから畑で遊んでいた少女の一人、雛子が、その千影という鬼の姿を見るなり、村全体に聞こえるぐらいの大声で、叫びました。

「きゃあぁっ、みんな〜〜!鬼が来ているよー!」

その叫びに反応して、畑にいた村人達が、全員一斉にこちらに振り返りました。

「なにしに来たー!向こういけー、鬼めー!」

罵声を浴びせ、地面の石を掴んでは、千影に目掛けて投げつけてきます。

すると、咲耶の投げた石が、千影の腕をかすめました。

皮膚を軽い切り傷が付き、そこから、人外の者である証拠である・・・・、翠の血がにじみ出てしまいました。

「イツッ・・・・・・」

やはり・・・・無理だよ・・・春歌君・・・・・。

いくらこちらが・・・・想いを伝えようとしても・・・・・、人間達はそれを・・・・・聞き入れる姿勢を作ろうとしないんだ・・・・・

 

千影は春歌の応援にも応える気にもなれずに、しょんぼりと肩を落とし、村を離れようとしました。

まさに、その直後でした。

急に、聞き覚えのある騒音が聞こえてきました。

千影がその音のする方向を見ると、そこには、数々のリムジンが走ってやってきました。

「・・・・・・?」

『亞里亞様万歳』とペイントされているリムジンの先頭車両から、まるでこれから、お見合いをするかの如く、桜色の着物に身を包んだ春歌が降りてきました。

「・・・春歌君?」

降りてきた春歌は、村人たちの正面に立って、大声で叫びました。

「全員整列!」

その指示を聞き、他のリムジンからも数十匹の鬼たちが車から降りてきました。背中には、非死性(当たると痺れる)の薙刀や大剣や機関銃をもっていました。

いずれも春歌同様に着物を身に纏った者や、なぜかメイド服を着た鬼たちでした。

この鬼たちは、対桃太郎戦や、亞里亞護衛を目的とした鬼の自衛隊でした。春歌の仕事は、この自衛隊のリーダーでした。

・・・・・因みに千影は、鬼が島の保険会社で事務員をしています。

 

その自衛隊員達が並び終わると、春歌はその先頭に立ち、左手の持った銃を空に向けて発砲し、村人たちを威嚇します。

「総員かかれっ!!」

そう叫ぶと、並んでいた鬼たちはそれぞれの武器を構え、村人に銃口や、矛先を向けて、追い詰めていきます。

それからすこしずつ、人間たちを村の隅に追い詰めました。

「作戦終了しました。」

メイド服を着た鬼、じいやさんは、隊長の春歌に報告しました。

 

それは本当に、あっという間の出来事でした。

普段から桃太郎相手に、戦っているために組織力がありましたし、何より鍛えていましたから、民間人を簡単に制圧できたのです。

捕らえられた村人たちは、悔しそうにして、憎たらしげに言いました。

「やっぱり鬼はこういう種族なんだ!」と、衛。

「最低です。可憐たちが何をしたですか!」と、可憐。

「大丈夫よ、可憐。私がついてるわ。」さりげなく可憐のポイント稼ぎをしている咲耶。

そんなこんなと、愚痴愚痴に不満をこぼす村人たちを前に、春歌は村の見晴台から叫びます。

「フフフフフッ、愚かな愚民のみなさん!あなたたちは我等、悪い鬼たちの支配下に置かれたのです!

これからは、悪い鬼の奴隷となって働いてもらいます!

体力のある者は、墾田永年私財法に従って、畑仕事をして米を納めなさい。体力のない幼い子供たちは、今鬼が島の、楽○で働く鬼が減って困っているので、そこで働いてもらいます。」

 

「やだーー!!」と、雛子。

「愚かな愚民って・・・・、そんな、炒めた炒飯みたいな言い方しなくても・・。」と、可憐。

「なんで自分から、悪い鬼だって名乗るんだろう?」と、鈴凛。

「というより、どうして墾田永年私財法なのでしょう?」と、鞠絵。

「○天とか、そんな時期ネタありデスか??」と、四葉。

「花穂よく分かんない。コンですミルクってな〜に?」と、花穂。

「勝手なこと言わないでちょうだい!可憐と離れ離れになっちゃうじゃないの!」と、咲耶。

人間たちからの非難の声は、全て見晴台に向けられました。

 

しかし春歌はそれを聞き流して、どこから出したのか、メガホンを人間たちに向け、命令を下しました。

「それではさっそく、本日の命令を下します!幼い子たちは、『兄君様、大好き』と言う練習を。そして年長組は・・・えー・・・・、とりあえず畑で『セレナーデ』を歌う練習でもしててください!」

それは村人たちにとても耐え難い(多分)命令でした。

しかし、村人たちは涙ながらに抵抗したいところですが、武器を持たない民間人である彼女らに、抵抗する術は、ありませんでした。

 

 

そのとたん、見晴台にだれか、上がってきました。

千影です。

そして手に持っていた杖のようなもので、春歌の頭にめがけて、ゴスッと振り下ろしました。

「ぐふっ!」

通称ワンド(トランプの「クラブ」にあたる儀式道具)と呼ばれる杖でぶん殴られて、春歌は床へ、ヘディングをかまします。

「痛いじゃないですか!何するんですか!」

額を抑えて立ち上がる春歌を上から睨みつけ、千影は怒ります。

「君は鬼かい!」

「ええ、鬼ですけど・・・・」

春歌は、あきれたように千影を見ます。

「まったく・・・、どうせ叩くのなら、もっとやわらかい物にして欲しかったですわ。」

「あいにく・・・そんな物は持ち合わせては・・・いなくてね・・・。それに魔術師としての道具という・・・・感じがしないかい・・・・。」

「・・・なんかよく分かりませんけど。もうちょっと当たり所が悪かったら死んでしまうじゃないですか!」

・・・・・・普通なら死ぬはずですよ?春歌さん。

 

「・・・・・それでどういうつもりなんだい?」

「ですから、これが作戦なんですよ」

「なに・・・?」

春歌は、千影に村人たちに気付かれない程度の声で言いました。

「こうしてワタクシが悪役のフリをするんですよ。そして、あなたが悪い鬼・・・つまりワタクシたちを倒すんですよ。そうすれば、あなたは人間たちに感謝されて、仲良くなれると、こういうことですよ!」

 

心なしか、「どーですか、名案でしょ。」とでも言いたげに、胸を張ってるようにみえます。

「なるほど・・・。正義の味方になれということだね・・・。」

「そういうことです。さあ、ワタクシを倒してください!」

 

春歌は、少し千影から距離をとり、発声練習をしている村人たちに聞こえるように、大声で言いました。

「おのれ正義の鬼め、ワタクシたちの計画を邪魔する気ですか!!」

「・・・・・なんで、正義とか言うの?だから・・・・・」と、野暮ったいツッコミを入れる鈴凛。

話を戻します。芝居している春歌にのって、千影も正義の味方になりきります。

「悪い鬼・・・・・残念だが人間に危害を加えた罰を・・・・・受けてもらうぞ・・・・。」

なんか、千影のセリフの方が悪っぽい気がしますが・・・・、それはともかく千影も構えを取ります。

(さあ、千影さん。どんな攻撃を仕掛けてくるつもりですか。)

計画通りに事を進めるには、春歌は何回かは、千影の攻撃を受けなければなりません。

もっとも、ある程度の攻撃の予想さえできれば、痛みを我慢することぐらいできます。

(さあどうします?魔術師らしく光の白刃でも撃ってきますか?)

・・・・だからお願いしますから、そういうネタは止めてください、春歌さん。

まあとにかく現在、不思議に緊張が漂っています。

春歌は、とにかく攻撃を受けたふりをしなければないので、千影を観察しています。

 

先に動いたのは千影です。(当たり前ですが・・・)

すると千影は、両手をクロスしました。

「スペ○ウム光線!!!」

クロスした腕から謎のビームが発射され、春歌は焦げてしまいました。

「ブハッ!!」
あまりにも予想もしなかった攻撃でしたので、春歌は直撃してしまい、ブスブスと、燻りながら、ふらふらとよろめきました。

「ちょ・・・、ちょっと待ってください!」

次の攻撃を準備した千影を、春歌は慌てて止めました。

「・・・なんだい?」
「なんで鬼がそんな攻撃、できるんですか?!」

「なにを言ってるんだい・・・。悪を倒す技で代表的な技じゃないか・・・・・。」

「あなたも、鬼のくせにそんな技使わないでください。ていうか、聞いたことないですし!」

しかし、使えている事実は変わりありません。

 

「分かったよ・・・・、次は鬼らしい技にしよう・・・・。」

「・・・・・なんか妙に不安なんですが・・・・とにかく頼みますよ。」

すると、千影はいきなり炎を吐きました。

「ブホッ!!!」

さすがこれも予想できなかったようです。

「ですから!それのどこが鬼らしい技なんですか!!」

もちろん、黒焦げにされた春歌は抗議します。

「今は・・・・、鬼が犬、猿、雉を使ったり・・・・・、太鼓やトランペットを吹いたり、炎を吐いても・・・・なんらおかしくない時代なんだよ・・・・。」

「知りません!!ていうか、これ送ってるサイトの管理人が知らないネタばっかり使うのが一番問題なんですよ!!!」

「そんなこと・・・・・私に言われても・・・・・困るんだが。

文句なら・・・・性別不明を自称しているこの作者に言ってくれ・・・。」

「まったく・・・、次からちゃんとしてくださいよ!!」

「わかったよ・・・。」

 

そう言うと、千影は、頭の角を春歌の方向へ向けました。

次の瞬間。千影の角から、衝撃波が飛び出しました。

「ホー○バスター!!」

「えぇっ?」

もちろん、春歌は大ダメージをくらいました。

「なんでそんな、少し前のアニメの技なんか使うんですか!!

しかもそれ、鬼じゃなくてカブト虫の技ですし!!!」

「角と言えば・・・・やはり、これだろう・・・」

「聞いたこともないですわ!」

「わがままだね、君は・・・・。」

「・・・・ひょっとして、ロリコンって言った仕返しですか・・・?」

「・・・・・・・・・・」

「なんか、言ってくださいよ!」

「まあ、細かいことだよ・・・・、気にしないことだよ・・・。」

呆れている春歌を無視して、千影はさらに言いました。

 

「さあ・・・・・、次行こうか?」

「なんか、楽しんでません?」

「気のせいだよ・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・」

春歌はもう、ツッコミをいれる気力も無くなったようです。

すると、いきなり杖を取り出し、呪文を唱えだしました。

「ちょっと待ってください!!」

「問答無用だよ・・・・、諦めて往生してくれ・・・。」

「仲間を、殺す気ですか!」

「攻撃しろと、言ったのは・・・、君だろう?」

「でも、世の中には限度というものが・・・。」

「さらばだ、春歌君・・・・・・・フ○ア!!」

 

「ハハッ、前から気付いてましたよ・・・・・。」

春歌は、空から落ちてくるエネルギー体を、ジッとみてました。

「彼女は・・・千影さんは・・・・・」

ヒューーーン。ゴゴゴゴッ。という効果音がだんだん大きくなってきます。

「・・・・・・手加減を知らないってことを・・・。」

全てを諦めたように春歌は笑い、エネルギー体に直撃しました。

 

 

 

その他、数々の攻撃をくらい、さすがにこれ以上はわが身が危ういと悟った春歌は、畑にいる村人たちを見張っている、鬼たちに言いました。

「みなのもの引けー!。ここの征服は諦めて、素直に鬼が島に帰りますよ!」

その命令を聞いた途端、鬼たちは素早く移動し、村人たちを解放して、やってきた順序の逆、つまり、乗ってきた車にそれぞれ乗って帰りました。

そして最後に春歌が乗り込み、千影に対して演技上の捨て台詞を言いました。

「やはり悪い鬼は、人間と友達になりたいと思う、良い鬼に負けてしまうんですね。」

「だから、どうして自分たちを悪って言うのさ??」と、最後までツッコミ続けた鈴凛でした。

 

とにかく、最後までちゃんと演技をして、春歌たちは鬼が島へと逃げ帰りました
こうして演技上、千影の活躍で村人たちは解放されたのでした。

 

 

「わーい!やったー!」

「悪い鬼をやっつけてくれたぞ!」

人間たちは歓喜し、逃げていったことになっている鬼たちに罵声を浴びせます。

そして、咲耶は前に出て、千影を暖かく迎えました。

「ありがとう・・・、それから、今までごめんなさい。散々ひどい目に合わせちゃって。あなたのおかげで私たちは、助かったわ。」

すると、後に続いて村人たちは、千影に感謝の言葉をかけてきました。

「可憐たち、あなたを誤解してました。」

「鬼の中で、花穂たちの味方は、鬼ちゃまだけだよ!」

「僕たち、友達だね!」

春歌の作戦は、成功したのです。

村人のみんなが、もう鬼である千影に向けて罵声を浴びせることも、石やボールを投げつけることもしませんでした。

「鬼の私を・・・・・友達だと言ってくれるのかい?」

「なに言ってるの、当たり前じゃない!」

「そうだよ。ヒナたちと一緒に遊ぼう!」

「みんな・・・・・」

長年ずっと、夢見ていた願いが、今ようやく叶ったのです。

嬉しくてたまらずに、千影は涙をこぼしました・・・・。

 

「見てくれ・・・・春歌君。私にも・・・・・やっと人間の友達ができたよ・・・。」

そう言って振り向いてみても、当然そこに春歌はいませんでした。

「・・・・ん?」

すると、畑の柵に、紙切れが1つ、挟まれていることに気づきました

「これは・・・?」

広げて、中を見ると、そこに春歌の書いた文字で、書かれていました。

 

『おめでとうございます。これであなたの夢だった、人間と友達になれたのでしょうね。ですがもし、悪い鬼であるワタクシと一緒にいるところを見られでもしたら、やはり、ワタクシたちは仲間だと思われます。

ですから、もうワタクシたちは二度と会ってはいけないのです。あなたは人間の中で生きてください。もう誰もあなたを拒んだりはしないでしょうから。

さようなら、お達者で。春歌』

 

千影は、ふと上を見上げてみました。

「・・・・・・・・」

ですが、そこにはただ限りない青空が広がっているだけでした。

すると、人間たちが、千影の周りに、騒いで寄ってきました。

「なにしてんの?せっかくあの鬼たちがいなくなったんだから、みんなで遊ぼうよ。」

「あ、ああ・・・・」

その人間たちからの誘いは、本当に、ずっと前から求めていたはずの言葉でした。

しかし、心になにか引っかかっている感じがします。

 

彼女はもう一度見上げて、ただ一言、ささやかな声でつぶやきました。

「春歌君・・・・・」

 

 

 

そして鬼が島では・・・・

 

その島のバー「SHIRAYUKI」に、春歌は一人で訪れました。

「ああ、春歌さん。おひさしぶりですの

グラスを拭いていたこのバーのマスターである白雪は、コトンとグラスを置いて聞いてきました。

「注文はなんですの?」

「一番アルコールの強いのを、お願いしますわ・・・。」

「いいんですの?」

「ええ・・・・。」

いつもと何か様子が違うのに気付いた白雪は、不審に思いながらも、酒の準備にかかります。

 

「はぁ・・・・・」

「なんですの?そんなため息なんかついて。らしくありませんですの」

「ため息・・・ついてましたか?」

「・・・・・・」

白雪は何も言わず、店で一番きつい酒(ですから、アルコール入っていてもジュースなんです)である「白雪酒神魚塚版」を注いだグラスを春歌の前に置きました。

「・・・・・ありがとうございます。」

そのグラスを手に取ると、ぐいっと一気に飲み干してしまいました。

「ふ〜、強烈ですわ。」

すると白雪は、その誰も座っていない隣の席にも、コトンと酒(・・・・ジュースだって言っているじゃないか・・・・。)の入ったグラスが置かれました。

「・・・・誰もいないじゃないですか?」

春歌の隣には、今は誰も座っていないので、そのグラスが気になりました。

「いつも一緒に飲んでいるお友達の分ですの。」

それを聞いて、春歌は軽く笑って白雪に言います。

「いえ、いいんですよ。下げてください。」

「本当に良いんですの?」

その問いには、ほんの少しだけ胸が締め付けられたような気がしました。

「・・・・いいんですよ。もう2度と、彼女はここには来ないんですから・・・・。」

 

「・・・・あいにくですけど、一度出したものを下げるのは、姫の料理人としてのプライドが許さないんですの。」

「白雪さん・・・・」

少し困ったように言うと、白雪は笑って言いました。

「そのお酒は、この店で最高級品ですの。でも今回だけは、姫がおごってあげますの

「白雪さん・・・。」

春歌もつられて、笑ってしまいました。

 

「それは・・・・・私の分なんだろう?」

聞きなれた声が後ろからして、春歌は、ばっと振り返ります。

そこには、今頃人間と楽しく遊んでるはずの、千影の姿がありました。

「千影さん!どうしてここにいるのですか!人間たちと遊んでいるはずじゃあ・・・・。」

「なにか・・・・・問題でもあるのかい?この時間は・・・・・いつもここにいるじゃないか・・・。」

「ですから何で、人間たちと、一緒にいないんですか!」

「私は・・・今まで大事なことを忘れていたようだ・・・・。何よりも・・・・本当に大事なものが・・・・・思いあえる友達が・・・・だれかということを・・・・。」

「・・・・・・・・」

 

「それに・・・」

千影は、「白雪酒神魚塚版」の入ったグラスを持ち上げました。

「私が隣にいないと・・・・、お酒(ジュースですの!)が・・・・美味くないと言ったのは・・・・・・、君だろう?」

「ハハ・・・・」

春歌もグラスを持って、千影を席に促しました。

「姫も御一緒してよろしいですの?」

「構いませんわ。白雪さんの、おごりだそうですわ。乾杯しましょう」。

「ああ・・・、白雪君感謝するよ・・・・・。ところで、なにに乾杯するんだい?」

「ここはやはり・・・・千影さんのロリ「最後の締めまでそのネタを引っ張ってくるかい、君は!!」

「では、ワタクシたちの友情で乾杯しましょう。」

「まあ・・・、それが一番まともだね・・・。じゃあ、私たちの友情に乾杯」

「「乾杯」」

鬼3人は、お酒(分かりましたよ!!酒だって認めますよ!)の入ったグラスをカチンと重ねました。

貸切りのように、今は人の居ない店内に、とても心地のよい音が響きましたとさ・・・・。

 

 

これは・・・・人ではないけれど・・・・

誰よりも優しい心を持った鬼たちの物語です・・・・・・・・・・・。





作者のあとがき

はい、初めて書いてみました。ここまで読んでくださり感謝したい限りです。
一応、酒ネタは上から可憐、花穂、衛、咲耶、鞠絵、千影、白雪、春歌の順でツッコんでいますのであしからず(笑
では、この珍文を読んでくださりありがとうございました。
なお、白雪酒の、神魚塚は、「じんうおつか」と読みます。
じんうおつか→ジンウオツカ→ジン・ウォッカということで(寒・・・・


なりゅーの感想

冬太郎さんからの初投稿SSでした。
めちゃくちゃです! めちゃくちゃすぎて素敵です!(爆
いっそめちゃくちゃの場合、中途半端にするよりは、やり過ぎるくらい振り切っちゃった方が潔いです!

全体を通してのはるちかの夫婦(違)漫才は強力でした(爆
キレも良いし、テンポも良いです!
春歌も千影も、どっちも上手い具合に壊れていて、バランスが十分取れていたかと思います!!

酒に対していちいちツッコミいれてるところですが、最後にやけっぱちになって認めるくだりで意表を突かれました(笑
しかし、そのツッコミにそんな法則があったとは……言われるまで気がつけませんでした(苦笑

他にも、ツッコミどころ満載過ぎて言い切れないくらいです!
スペ○ウムは素敵です! 意表云々以前の問題で素敵過ぎます!
保険会社の意味わかんなくて好きです(爆
そして……全てを諦めたような春歌、1番輝いていました……(酷ぇ

そして、そんなめちゃくちゃな話なのに、
きちんとメリハリもつけられてしんみり綺麗に終われているあたりに、上手さを感じます。
そんな中でもきちんとギャグを忘れない心意気も粋です。
ロリ○ンネタを引っ張る春歌は素敵でした(笑

知らないネタは確かにありましたが、それを引き摺らない「単発としてのネタ」だったので、
「笑い」に関しては全然影響はありませんでした。
寧ろ、分かる人なら尚「ニヤリ……」の上手い書き方だと思いましたね。

冬太郎さん、こんな素敵なギャグSS、本当にどうもありがとうございました!!
こんな素晴らしい「笑い」の詰まったSSなんですから、
最後は「人間を捨てて春歌を取った」のではなく、
「その後、春歌とも和解できた」の救いエンドを希望します……。


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