「花穂ちゃん、クッキーの様子はどうですの?」
「あ、ちょっと待って・・・え〜っとねぇ・・・」

今日は休日、姫は花穂ちゃんと一緒にクッキーを作ってますの。
ほとんどのみんなはそれぞれ自分達の用事などで出掛けてしまっていますの。

そんな中、姫は休日の時間を趣味に費やす事にしましたの。
花穂ちゃんはそのお手伝いをしたいって言ってきたので姫のお手伝いをさせてあげてますの。

「・・・・・・」
「・・・花穂ちゃん?」
「・・・焦げてる・・・」
「えッ!?」
「ごめんなさ〜い、花穂またやっちゃった〜」

姫、最近はよく花穂ちゃんと一緒に居ますの。
それは、なんだか気づいたら花穂ちゃんが姫の近くに居るからなのですの。











 

SWEET TIME













「ごめんね、ごめんね・・・花穂がドジだから・・・」

完成したちょこっと焦げくさいクッキーを二人の真ん中に置いて、姫達はテーブルにつきました。

「花穂・・・どうしてこんなにドジなのかなぁ・・・」
「まあ、気を落とさないで下さいですの。 間に合ったから被害は少なくてすみましたの」

クッキーはほんの少し焦げただけなのでまだ美味しくいただけますの。
だからギリギリセーフでしたの。

「白雪ちゃんは花穂と違ってお料理上手で・・・・・・ほんと花穂とは大違い・・・」

花穂ちゃんは最後の方はしぼむ様な声でそう言いましたの。
自分はドジだから、だから誰かの役に立とうと頑張っても逆に迷惑を掛けてしまう。
多分・・・言いたい事はそう言う事なんですの・・・。

「大丈夫ですの。 花穂ちゃんには花穂ちゃんのいい所がありますの」
「・・・え?」
「花穂ちゃんは確かにドジかもしれませんけど努力家ですの。 そこが花穂ちゃんの良い所ですの」

姫は知ってますの。
花穂ちゃんがチア部で・・・いいえ、それ以外の事でも、いつも一生懸命だって事を。

・・・まあ、ほとんどが裏目に出ちゃってますけど・・・。

「それに姫も最初はお料理全然できませんでしたの」
「そうなの?」
「当たり前ですの。 初めから上手くできるなんて事はないんですから」
「あ・・・」
「姫はお料理をここまで上手くなるのに、それはもう頑張りましたの。
 ううん、まだまだ上手くなりたいと思ってますの」
「え、こんなに上手なのに!?」
「姫なんてプロの人に比べたらまだまだ足元にも及びませんの」
「そりゃあ相手はプロだからね」

花穂ちゃんは即答で納得しました。
・・・まあ、事実ですけど・・・何気に「そんな事ないよ」と言って欲しかったですの・・・。

「頑張る事は大切な事ですの。 頑張る事をしなかったら絶対に報われませんの。
 だから、いつも頑張ってる花穂ちゃんは絶対報われますの!」
「白雪ちゃん・・・うん、そうだよね・・・ありがと、花穂なんだか元気が出てきた」

どうやら、姫の励ましは成功したようですの。

「白雪ちゃんってさ・・・なんだかお母さんみたい」
「えっ! 姫がですか!?」
「うん、そうだよ、お母さんみたい」

花穂ちゃんが急に変な事を言うもんですから、姫、ちょっと驚きましたの。

「花穂と歳、そんなに違わないのにね・・・」

まあ、この歳で「お母さん」はちょっと・・・。

「白雪ちゃんお料理上手だし・・・きっといいお母さんになれるよ」

・・・でも、褒めてくれる事には変わりないですから・・・

「ありがとうですの、花穂ちゃん」

嬉しい事にも変わりないんですの。

「花穂、そんな白雪ちゃんが大好き・・・」
「えっ!?」

花穂ちゃんったらまた急に・・・姫、またまた驚きましたの・・・。

「姫も、花穂ちゃんの事は大好きですの」
「ほ、ほんと!? うっわぁ〜、花穂すっごく嬉し〜v」

花穂ちゃんは顔中を笑顔にしていかにも喜んでるって様子ですの。
姫はただ本当の事を言っただけですの。

「でも残念だなぁ・・・」
「残念? 何がですの?」
「だって女の子同士じゃ子供できなんだもん」

・・・・・・・・・・・・。

一瞬、姫の思考が止まりました。

「え、っと・・・それはどう言う意味・・・」
「だから花穂と白雪ちゃんが結婚しても白雪ちゃんはお母さんに・・・」
「ちょっと何言ってるんですのっ!?」
「なに、って・・・だって白雪ちゃんも花穂の事好きなんでしょ?
 だから花穂と白雪ちゃんが将来結婚したら・・・って、あれぇ? 白雪ちゃんどこ行くの?」

花穂ちゃんが話してる途中で姫はダッシュで逃げました!
なんだか咲耶ちゃんが居たら「雛子ちゃんじゃないんだから家の中を走るのは止めなさい!」と怒られそうですけどそんな事気にしている場合じゃないですの!
だただ、だって花穂ちゃんがその様なアブナイ趣味で・・・!
しかも姫を狙って・・・!
ああ、だから花穂ちゃん、最近は姫の近くに・・・うぅ、鳥肌が・・・。
さっきの「大好き」もそう言う意味だったんですのね・・・。
で、でも姫の「大好き」はあくまで姉妹として・・・だからそんなアブナイ意味ではないんですの!

「まってぇ〜」

って、ひぇーーーッ! お、追ってきますのー!!

しかぁし、待てと言われて待つバカはいないですの!
運動はあんまり得意じゃないですけど捕まれば姫の身が非常に危険ですの!

「待ってよぉ、しらゆ・・・きゃあっ!」

   どてんッ

「ふぇ〜ん・・・花穂、また転んじゃったぁ〜」

これは好都合、花穂ちゃんがまたいつも通り転びましたの!
さあ、今のうちに家の外に・・・

「・・・っ・・・・う、くっ・・・・・・痛いよぉ〜・・・」

・・・花穂ちゃん、泣いていますの・・・。

だ、ダメですの!
ここで戻っては姫の方が危険に・・・



『白雪ちゃんってさ・・・なんだかお母さんみたい』



・・・・・・。

「・・・・ひ、っく・・・」
「見せて下さいですの」
「白雪ちゃん!?」

姫は思わず戻ってきてしまいました・・・。

「・・・血が出てますの」
「え? え? なんで戻って・・・? だって今、白雪ちゃん逃げて・・・」
「例え花穂ちゃんがそう言う趣味だとしても、花穂ちゃんは姫にとって大切な妹には変わりありませんですの」
「白雪ちゃん・・・」

それに姫と花穂ちゃんは同じ家に住んでますの。
だから今逃げたところで結局問題を回避する事はできませんの。
ここはキチンと話し合ってお互い納得のいく様な結果を出すべきですの。

「白雪ちゃん・・・ありがとう」

花穂ちゃんは泣き顔から笑顔に戻りましたの。
よかったですの。

でも花穂ちゃん、普通にしてるとこんなに可愛いのに・・・
なのに男の子に興味が無いのは凄く勿体無いですの・・・。

ここは姫が花穂ちゃんをキチンと正しい道に導いてあげるべきですの!

「白雪ちゃん? どうかしたの・・・?」
「花穂ちゃん、ここはきちんと話し合いましょう!」
「ふぇ? 話し合うって・・・」

花穂ちゃんはさっき姫の事を「お母さんみたい」と言いましたの。
きっと花穂ちゃんは姫に憧れているんですの。
そしてそれを恋と勘違いしてしまった・・・きっとそうに決まってますの。

だから姫がそれを優しく諭してあげれば・・・花穂ちゃんはきっと普通に戻れますの。
花穂ちゃん、見た目は可愛いんですから普通に戻ったらきっと・・・

「あ、そういえば花穂、まだ白雪ちゃんにお礼してなかったね」
「お礼? お礼ならさっき言ったじゃないですか? まあ、そんな事はどうでもいいんですの。
 いいですの? 花穂ちゃんはきっと憧れを恋と勘違いして・・・」



    ちゅ☆



・・・・・・

・・・へ?

「えへへ・・・」

え、っと・・・今、一体何が・・・?
それになんだか花穂ちゃんが嬉しそうに笑いながら照れてますの・・・。
・・・何故?

「今の・・・花穂の心からのお礼・・・」

お礼?
お礼って・・・
・・・確か今花穂ちゃんの顔が近づいて、それで姫の唇に柔らかいなに・・か・・が・・・

「白雪ちゃんの口って柔・・・」
「わああああああああああああああああッッ!!」

いい今のはぁぁあッッ!!?
ひひひひ姫の唇にぃーッッ!!!
かかかかか花穂ちゃんの唇がぁああぁぁあああぁぁッッ!!??!?

「白雪ちゃんどうし・・・」
「違うんですの! これはきっと夢に決まってるんですの!」

そうですの! そんなはずある訳・・・ッ!!

「ひ、姫と花穂ちゃんが・・・事もあろうにき、きき、き・・・」
「キスし「わああぁぁあぁああぁぁああぁあぁあぁああぁぁああッッ!!」

聞きたくない! 聞きたくないですの!!

「幻覚ですの! 錯覚ですの! いつもの妄想ですの!! だから姫の唇には何も触れてなんか・・・」
「花穂の口がくっつい「わああぁああぁぁあぁぁああぁあぁあぁああぁあッッ!!」

だって姫と花穂ちゃんは姉妹ですの!!
だからそんな事あってはいけない・・・

「えへへ・・・花穂のファーストキ「わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!!」
























「えへへ・・・」
「あら、花穂ちゃん何か良い事でもあったの?」
「あ、咲耶ちゃん。 うん、そうなの♪」

姫がお台所でいつも通りいると向こうでそんな会話が聞こえましたの・・・。
今はお夕食の時間の少し前くらい。
もうみんなは家に帰ってきてますの。
そして姫は春歌ちゃんと一緒にいつも通りお夕食を作っていますの。

「あら、白雪ちゃんなにあったんですか・・・?」
「・・・どうしてですの・・・?」
「い、いえ・・・なにか疲れきった様子ですし・・・それに心なしか様子が暗いですから・・・」

・・・人生に絶望しながら・・・。

「あの・・・何か困った事があるのなら相談に乗りますよ」
「・・・いえ、いいんですの・・・」

花穂ちゃんに姫の唇を奪われた(←結局受け入れた)なんて・・・とても言えませんの・・・。

「にしても・・・今日の御飯は一体・・・」
「料理は心ですの・・・」

だから今晩のお夕食は今の姫の心を表したように絶望色に染まっていますの・・・うふふふ・・・。(←虚ろな笑い)

「や、やっぱりなにかあったのでは・・・?」
「・・・別になんでもないですの・・・」












「みんな、ご飯ができましたの・・・」

姫がお料理を運んでテーブルに来るとみんなの様子がいつもとなにか違う感じがする事に気がつきましたの。

「えへへ・・・」

まず、なんか花穂ちゃんが嬉しそうに照れ笑いしてますの。
そして他のみんなは姫の方をジッと見てますの。
しかもなんかものすごく視線が痛いですの・・・。

「あの・・・、皆さん一体どうしたと・・・」

みんなの様子がおかしい事に春歌ちゃんも気づたらしく春歌ちゃんがそう聞きましたの。

「春歌ちゃん、これ・・・」

そう言って咲耶ちゃんは春歌ちゃんに一枚の紙切れのような物を渡しましたの。

「写真・・・ですね? 一体なん・・・・・・・・・・・・」

春歌ちゃんが喋ってる途中で止まりましたの。

「春歌ちゃん、どうしたって言うんですの?」

そう聞く姫に春歌ちゃんは何も言わずみんなと同じ痛い視線で姫の方を見始めましたの。

・・・なんだか嫌な予感が・・・

「あの・・・一体・・・」
「あのね、白雪ちゃん」

姫が春歌ちゃんに話しかけようとした時、花穂ちゃんが両手で頬杖つきながらニコニコして弾む様な声で姫の名前を呼びましたの。
一体これ以上姫に何をしようと・・・

「ばれちゃった☆」

・・・・・・。

「ちょっと見せてくださ・・・・・・・・・・・・」

春歌ちゃんから無理矢理写真を取って中に写ってるものを確認した途端姫の言葉は姫の思考と共に止まりました。
だって写真に写っている姫と花穂ちゃんは唇を重ね合わせて・・・

「って、なんでこんな写真が存在するんですのーーーッッ!!」
「四葉のチェキデス!」
「何て事してくれたんだこの(全国の兄チャマを敵に回したくないので削除)」←注・白雪

ありえませんの!
だだだだって姫が花穂ちゃんにキスされたのはほんの数秒にも満たない間だけでしたのにッ!
なのに・・・なのになんで丁度唇が重ね合わさった瞬間をこんなにバッチリと撮られてるんですの!?

「白雪ちゃんと花穂ちゃんがそんな関係だったなんてねぇ〜」
「・・・はっ!」
「お幸せにねぇ〜」
「ちち、違うんですの咲耶ちゃん! これは花穂ちゃんが勝手に・・・!」

って言うか咲耶ちゃん、受け入れてないでそれはイケナイ事だと注意すべき所でしょう!

「花穂と白雪ちゃんの子供、名前なんてしようか・・・」
「なに言ってるんですの花穂ちゃん!? 第一それは無理だってさっき・・・」
「あのね、さっき咲耶ちゃんに聞いたんだけど、オーストラリアの人がネズミさんの実験で成功してて、
 もしかしたら将来的にはできるかもしれないんだって」
「咲耶ちゃんアナタはなんて事を吹き込んだんですか!!?」

そう言う関係を薦めてないでキチンと注意しなさいですの!

「二人とも、禁じられた愛を貫く事はとても大変な事でしょうけど、わたくしは応援しますから」
「鞠絵ちゃん、応援しなくていいですの! 姫はそんな事するつもりはないですの!!」
「だから逐一わたくしに相談してくださいね」
「ってその原稿用紙はなんなんですの!?」

鞠絵ちゃん、絶対趣味で書いてる小説のネタにする気ですのー!

「そうだよね、別に姉妹だからって好きになっちゃいけない事なんてないんだよね」
「十分過ぎるほどいけない事ですの!!」
「相手が姉妹だからって・・・。 お姉ちゃんだからって・・・! 咲耶ちゃんだからってッ!!
「可憐ちゃんは一体なにをヌカしてるんですの!?」

可憐ちゃん・・・アナタまさか咲耶ちゃんに・・・!?

「白雪ちゃんの禁断の愛をチェキ!」
「五月蝿ぇッ!! 元はと言えば手前ェの所為だろうがッ!!」←注・白雪

・・・はっ! 姫ったらついウッカリ怒鳴ってしまいましたの・・・ポポッ。←(「白雪ちゃん! それはワタクシのですよ!」By春歌)

「白雪ちゃん、大好きだよv」
「ひっ・・・!」
「いっぱいいっぱい子供作ろうね☆」
「イーヤーでーすーのーーーーーッ!」

そんな姫の叫びもただ虚しく響き渡るだけで、
その日から姫は、花穂ちゃんと家族公認の仲と認識されてしまい、
姫は花穂ちゃんの手によってイケナイ世界への扉を無理矢理開かされてしまったのでした・・・。












「鈴凛ちゃんどうかしたんデスか?」
「いや・・・アタシも似たような経験あるから、笑えなくて・・・」
「それって私の事ですか? お姉さまv」
「って、なんで小森さんが家の食卓に居るのッ!!?」



あとがき

熊谷はさみさんに無理矢理させたリクエスト、花穂→白雪でした。
なりゅー、初のリクエスト作品です。
まあ、タイトルは適当に直感でつけたものだし、白雪の話し方に多少不安がある、などありますけど・・・。
個人的にキスの擬音(作中の「ちゅ☆」の事)は使いたくないんですけど、
一応これはギャグっぽいのを目指して書きましたからそうした方がいいかなって思いまして。
・・・でも、ギャグになりきってない気が・・・(汗)
ちなみに「女性同士での妊娠」についてはちょっと人から聞いた事を自分で調べてみて書きました。
その記事が出たのは2001年の事らしいです。
知らない人は検索かけたら見つかると思いますよ。
まあ、その実験が今どうなってるか知りませんけど・・・。


更新履歴

H15・9/2:完成
H15・9/9:誤字修正


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