どきまぎ・バレンタイン
率直に言って、今日はセント・バレンタインズ・デーなのデス。
あえて言うヒツヨーなんてない、女のコにとって大・大・イベントデー。
チョコレートを贈る習慣が生まれた国、イギリスで育った四葉にも当然大・大・大・イベント!
(あ、この辺はウィキでチェキしたのデス、チェキ)
というワケで、女のコがウキウキワクワク浮かれちゃうこのスペシャル・デーに、
「ウウ〜……」
四葉はベッドの上で頭を抱えていました……。
目ぼしいオトコノコが居ないカラ?
……まあ、それもありマス。だから元々、四葉にはこの大(×4)イベントへの参加資格はなかったのデスが……。
ああ、だけど不参加だった方がまだ良かったデス!
だってだって! バレンタインデーを迎えるそのちょっと前に、鈴凛ちゃんがとんでもないコトを言い残していったんだカラ!!
『ちゃんと花穂ちゃんにチョコあげなさいよ』
「なんで花穂ちゃんなんデスか……」
記憶の中、憎たらしいくらいに笑顔な鈴凛ちゃんにグチるように返しマス。
四葉の探偵団のメンバーだった鈴凛ちゃんデスが、最近は鞠絵ちゃんに構いっきりデス。
なかなかお手伝いできないカラと、その代理として助手を勤めて貰ったのが花穂ちゃん。
まあ、一番言うこと聞きそうだったし、ちょいと騙せば簡単に言いなりにできました。タイヘン利用し易かったデス。計画通り。
そして、そのまま花穂ちゃんを助手として連れまわしてしばらく。
なかなか鈴凛ちゃんが復帰しないこともあって、花穂ちゃんはウヤムヤのうちに正式な助手に昇格してましたのデス。
バイトくんが正社員になったようなものデスね。
だから四葉にとっては今や鈴凛ちゃんの次に……ううん、違いマス。鈴凛ちゃんと同じか、それ以上に「特別」。
けれど……
「四葉と花穂ちゃんは……女のコ同士じゃないデスか……」
バレンタインは本来、女のコが、好きなオトコノコに、Loveを伝える日、なのデス。
つまりは「恋」の大(×5)イベント。
そりゃ……目ぼしいオトコノコなんて居ませんケド……。
「だからって、どうして花穂ちゃんとLoveしなきゃならんのデスかっ!? 」
心の中に留めて置けなかった鬱憤を、声に出して思いっきり吐き出しマス。
そりゃ、バレンタインに女のコにチョコをあげたカラって、そんなすぐにLoveチョッケツするワケじゃナイデスよ……。
ケド……けしかけた本人である鈴凛ちゃんは、本日学校を早退して鞠絵ちゃんの療養所に鞠絵ちゃんとチューしに行きました。
あ、チューは来月か。ホワイトデーのお返しの「マシュマロ」に掛けて、「マシュマロみたいなくちびる」をお返しするとかナントカ。
ううう、女のコ同士で、よくもまあそんなコトを……。
よーするに、鈴凛ちゃんはヘンタイさんなのデス。
じゃなくて、バレンタイン・デーに鞠絵ちゃんにチョコをあげに行ったのデス。
しかも、鞠絵ちゃんとの"そういうコト"を目的に。やっぱりヘンタイさんでした。
ベストフレンドだけどヘンタイさんなのデス。
だけど四葉はそんな鈴凛ちゃんをサベツしたりしまセン。からかって遊ぶだけデス。
余談デスが鈴凛ちゃんと鞠絵ちゃんのヘンタイさん的バレンタイン&ホワイトデーは、キョウダイみんなが知るところにありマス。
「だからあげられるワケないじゃないデスか!!」
枕を壁に投げつけ、八つ当たり。だけどハートのモヤモヤは晴らせるワケもなく、ずっと居座りっぱなし。
そうなのデス。
そんなヘンタイさんが身近にいるカラ、四葉たちの場合例えキョウダイの間でも、「あげる」というコトは「そういう意味」になってしまうのデス。
そりゃ、チューもほっぺくらいならフツーとか思ってましたが……鈴凛ちゃんを見てるせいで、それすらもヘンタイさんに思えてきマス。
そうして考えると……鈴凛ちゃんが言い残した言葉の意味も、また別の思惑を形作るコトになるのデス。
そう! 鈴凛ちゃんは、四葉と花穂ちゃんの仲を取り持とうとしてるのデス!
鈴凛ちゃんの背後に糸を引いてるメガネの存在を感じたり感じなかったりデスが、それはひとまず置いておいて……。
四葉と花穂ちゃんとくっつけてしまおうという、トンでもない計画が、裏に隠されているのデス!! きっと!!
そんなのはヨケーなお世話というモノ。
四葉まで「ソッチの道」に引きずり込もうとするだなんて……ありがた迷惑というか、ありがたくないデス。
四葉はいたってノーマル! 花穂ちゃんのコト、そりゃ好きデスけど……そんな意味合いでは断じてナイのデス!!
だから全部鈴凛ちゃんのせいデス。
鈴凛ちゃんが、鞠絵ちゃんとヘンタイさんな関係を築かなければ。
そんでもって、そんな鈴凛ちゃんが、意味ありげに花穂ちゃんを指定しなければ……。
そうすれば四葉だって……。
「今までお世話になったお礼のキモチ……伝えたいナ……」
買ってしまった、花穂ちゃん宛のチョコレート。眺めながらぽつり言った。
べ、別に、鈴凛ちゃんに言われたカラじゃないんだからネッ!!
おっと、ついつい口調が今はやりのツンデレに。ディシィズ「ツンデ四葉」デス。うん、ゴロ悪い。
四葉は花穂ちゃんを助手に任命してから、花穂ちゃんを散々振り回しました。
ヤブの中も、ドブの中も、畑の中も。
ああ、男子更衣室に単身突入させた時はソーリーでした。
だから……感謝したいのデス。
四葉の無茶に付き合わせたお詫びに、今まで付き合ってくれたお礼に。
イギリスでひとりぼっちだった四葉には、それはとってもとっても、嬉しかった……。
その嬉しいキモチ、感謝のキモチを、伝えたい……。
それに、花穂ちゃんはいっつもドジばかりしてて、だけど一生懸命なトコとか、励ましてあげれればイイなって……。
あと……可愛いし……。
「ってア゛ーーーーーッッッ! 四葉は一体何を考えてるんデスかーーーーーーーーッッッッ!?!」
ヤバイデス。
ヘンタイさんの鈴凛ちゃんが身近に居るせいで、ソッチ方向に向かうキモチに、感覚がパラライズしてきてマス!
薄々は気づいてましたケド、だんだんイジョウに慣れてく自分がいマス。それはマズいのデス。
ウーン、考え過ぎとは思いマスケド……身近に見本が居るだけに、ナーバスになってしまいマスね……。
「そうデス。考え過ぎなんデスよ。このチョコは違いマス」
ジャパンには「友チョコ」という逃げ道がありマス。
現在の外国の事情はよく分かりませんが、ジャパンはそーいうフランクな方向に文化は進んで行ってマス。
なので、このチョコは感謝の「友チョコ」なのデス。
もういっそ「感謝チョコ」と言いましょう。
だから、「=Love」なんかじゃないデス。
「ウン、これは違うのデス、これは違うのデス、これは違うのデス、これは違……」
何度も何度も同じ言葉を復唱して、自己暗示のように自分自身に言い聞かせました。
「そうデス。これは違うのデスよ!」
自己暗示成功しました。
誰デスか! 四葉のコト、単純だなんて思った人は!?
この七色の輝きを持つ名探偵の頭脳を前に、失礼デスよッ!
「さて、不安もなくなったコトデスし……」
ピンポーン
「チェキ?」
悩みもスッキリ解決、花穂ちゃんへの「感謝チョコ」を届けに行こうと思った矢先に、お家のチャイムが鳴り響きました。
お客さん? 一体誰でしょう?
通販で頼んでおいた「名探偵変装セット・第3弾医療系スペシャル」でも届いたのカナ?
「なんか鈴凛ちゃんから花穂のところにお電話あってね。
今日四葉ちゃんのおうちに行ったら、いいもの貰えるって……一体なにかな?」
あンのヘンタイさんマイベストフレンド、余計な気ィつかいやがって!?!?
「アハハー……いらっしゃいデス、花穂ちゃん……」
……まあ、丁度行こうと思ってたところデス。
鈴凛ちゃんの真意はトモカクとして、これはこれでナイスタイミングには違いないデスし……。
むしろあと10分早かったら、自己暗示もできてなくて、また脳内鈴凛ちゃんにグチグチするトコロでしたデス。
しかし、鈴凛ちゃんの思惑を乗り越えた四葉には、それは効かないのデス。残念だったなデス!
そう、四葉のチョコには「そーいう意味」はないのデスからネ!
コレはただの……"ただの"「感謝チョコ」デスから!
「っていうか、なんで今日なのかな? 今日ってなんかあったっけ?」
「はひ?」
と、チョコを後ろ手に握ってタイミングを見計らってると、花穂ちゃんはまたオカシなコトを言い出しました。
今日は……そりゃ改めて言う必要もない、女のコにとっての一大イベントじゃないデスか?
鈴凛ちゃんがそれを利用して、同類を増やそうと布教活動してる飛び火に、四葉たちは巻き込まれたんデスよ。
ちょっと推理すれば、鈴凛ちゃんの策略なんてアッと言う間に推理でき……
……ウン? 「今日ってなんかあったっけ 」?
………………………………ま・さ・か、
「花穂ちゃん……ひょっとして素で言ってマス?」
「え? なにが? お酢は体を柔らかくするよ?」
「今日は何の日?」
「……? "フッフ〜"?」
オゥ! ジーザス!! さすが花穂ちゃん、アルティメット・ドジっ娘なのデス!!
間違いない……フツーにフォーゲッテイングしてらっしゃるッッ!?
今日この日を忘れちゃうなんて、並みの女のコにできる芸当じゃネェ!!
しかも、現在進行形で「素」を「酢」と勘違い、
更には四葉の問い掛けを思いっきりテレビのやり取りかなんかと勘違いまでするとは……カホ、恐ろしい子っ……!
「どうしたの四葉ちゃん……突然真剣な顔で白目になっちゃって……」
「なんでもないデス……日本文化をチェキ勉強した成果デス。イッツ・ジャパニーズ・マナーなのデス」
可憐ちゃんから借りた本(少女マンガ)が早速役に立ちました。
まあ、そんなコトはどーでも良いのデス。
今は四葉の日本の文化の知識よりも、花穂ちゃんにイギリス発祥の文化を教えるのが先決デス。。
「今日はデスね……ハイッ! このイベントのデスよっ!」
「ふぇ?」
言葉で説明するよりも、直接チョコレートを手渡して教えてあげマス。
ついでに四葉もチョコを渡せて、一石二鳥なのデス。
さすがの花穂ちゃんも思い出したらしく、「あーっ!?」なんて大きな声をあげて驚きマス。
「そ、そっか……今日って……。最近部活とか色々バタバタやってたから、すっかり気づかなかった……。
……あ〜ん、花穂ってやっぱりドジなんだ〜」
本当デス。花穂ちゃんは、本当にドジっ娘なのデス。
マッタク……四葉がついてないとダメダメデスね。
「というワケで、花穂ちゃんにプレゼントデスよ」
ヘンな意味なんてない「感謝チョコ」。
それから、いつも一生懸命な花穂ちゃんへの「応援」のキモチも入ってマス!
いっぱいのキモチ
……ところが、花穂ちゃんはなかなか受け取ってくまセン。
それどころか、真っ赤になってモジモジしちゃって……ワット? なにがあったんでしょう?
「えと……やっぱり、しなきゃ……ダメかな?」
「チェキ? なにをデス?」
「だ、だから……ホワイトデーに……四葉ちゃんに……お返しのキス」
「ブふッッ!?」
余談デスが鈴凛ちゃんと鞠絵ちゃんのヘンタイさん的バレンタイン&ホワイトデーは、キョウダイみんなが知るところにありマス。
「ちちちちち違ッッ!? こ、これは感謝チョコで……」
「えと……その……来月だよね……。花穂、頑張って覚悟決めておくから……」
「アギャーーーー!? 話を聞いてクダサイ!? その気にならないでクダサイ!?」
タイヘンデス折角四葉が名案で回避した鈴凛ちゃんの策略に、花穂ちゃんはまんまとハマっていマス!
コレでは四葉までヘンタイさんの仲間入りに……?!
ナゼ!? 四葉は、鈴凛ちゃんの策略なんか、完璧に乗り越えたハズなのに……
そこで、四葉の七色の脳細胞が、名探偵に相応しい閃きを生み出し、この事態の真相を導き出しました……!!
そう……四葉は、花穂ちゃんに暗示も説明もしてないッ!!
Oh、ナルホド。それでは花穂ちゃんもウッカリ勘違いしちゃうというものデスね。
「ダメじゃーーーーんッッッ!! デスッッ!!」
「一ヶ月あるんだもんね……一ヶ月……。それだけあったら、心の準備もね……」
四葉が空にツッコミを入れる横で、花穂ちゃんはすっかりその気になってマス。
このままでは花穂ちゃん、本当にキッスしかねないのデス……。
あああ……だけど、花穂ちゃんのおくちはマシュマロという表現がとてもお似合いそうデス……
「チェキーーーー!?!!? 四葉はなんてヘンタイさんなことを考えてるんデスかーーー!?!??!」
ぬおー!? 花穂ちゃんが余計なコトを言うから、四葉もヘンタイさんな妄想を頭に思い浮かべてしまいましたデスーー!
イヤイヤ、花穂ちゃんは悪くないのデス! それもこれも、全部全部! 鈴凛ちゃんのせいデスッ!!
鈴凛ちゃんは本当にヨケーなことばかりッ! 鈴凛ちゃんさえ! 鈴凛ちゃんさえヘンタイさんなコトしなければー!?
今コンナにヘンなコト意識しなくて済んだのに!!
そもそも同じ女のコにチョコを用意して渡すなんてコトは、絶対絶対―――!!
「コレは違うんデスー! コレは……コレは……―――」
花穂ちゃんに……四葉と仲良くしてくれた、お礼のチョコをあげるなんてコトは……
「コレは……頼りない花穂ちゃんへの、ハゲマシと感謝のチェコなのデス……」
四葉は……たぶんやっぱり、花穂ちゃんにチョコをあげていたと思う……。
あとがき
いつの間にか恒例になってたバレンタインSS、今回はよつかほの提供でお送りしました。
実際は前回のバレンタインのはるちかよりもずっと前から、地味に潜ませて推して来たカプです。
だけどなんとなくはるちかの方が勢いが良くて、3番手を横取られましたが(爆
カプのイメージとしては、四葉も春歌と同じく批判組で「だけれども本心は……」な心境で、
特に考えてない花穂が振り回してしまう、そんな一面を表現できてれば、個人的には成功なのです。
まあ、前提として鈴凜が鞠絵に係りっきりにならないといけない、一種の公式設定崩壊系なので、
その点をを読み手に分かりやすく伝えるのに骨が折れます(苦笑
ただ今回、四葉が花穂を助手に選抜した理由を、作品の中で描けたことが、自分的に良かったです。
今回も短く読みやすく仕上げることを目標にしましたが、やっぱりそれなりの文量となってしまいました。
残念ながらこれでも結構軽量化してるのです(苦笑
起承転結を書くにはどうしてもこのくらいの量は欲しいので、そこが今後の及第点でしょう。
更新履歴
H20・2/14:完成&一言雑記にて掲載
H20・3/15:SSのページに掲載
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