眩しいくらいの日差しが振りそそぐ通学路。
 わずかに溶けかけた雪に陽光が反射して、少なくとも見た目だけは綺麗な風景だった。
 そんな中を、いとこの少女と二人で歩く。

鈴凛「あの白雪特性(削除)の煮っ転がし、おいしかったね」
亞里亞「はぁっ!? それマジで言ってんのっ!?」
鈴凛「アンタ誰!?」
亞里亞「あ・・・」

 亞里亞ちゃんが『裏亞里亞』になるほど驚いていた。
 と言う事はつまり、やっぱ朝食の時、亞里亞ちゃんが逃げるように家を出たのは、
 それがまずい事を知りつつアタシを置いて逃げた事を示していた。

鈴凛「ねぇ、(削除)って何?」
亞里亞「亞里亞も知らない・・・。 怖くて聞けないの・・・くすん」

 なんでも喰い尽くすと思われた亞里亞ちゃんにすら、恐怖を与える白雪特性(削除)の煮っ転がし・・・。
 確かにアレは・・・そこまで酷い味だった・・・。
 ああ・・・、生きてるって素晴らしい!(←実は言い過ぎじゃないから恐ろしい)

亞里亞「でも・・・白雪ちゃんのお気に入りなの・・・くすん。
   亞里亞・・・もう食べたくないのに・・・くすんくすんくすん」
鈴凛「・・・・・・」
亞里亞「・・・・・・」

 くすん・・・とふたり揃って涙を流す。

千影「・・・・・・どうか・・・・・・したのかい?」

 いつから居たのか、千影ちゃんが不思議そうにアタシ達の顔を見比べていた。

亞里亞「あ・・・千影ちゃん、おはようございます」
千影「ああ・・・・・・また・・・・・・来世・・・・・・」
鈴凛「もうお別れッ!?」
千影「冗談さ・・・」

 千影ちゃんはそうやってアタシをからかった。
 ・・・からかう・・・。

鈴凛「そう言えば・・・」


    『冗談です』


 アタシは鞠絵ちゃんの事を思い出した。

鈴凛「ねぇ、千影ちゃん・・・鞠絵ちゃんが毎日学校に来てるって知ってる?」
千影「・・・・・・」

 反応はなかった。

千影「・・・鞠絵って・・・・・・一体誰のことだい?」
鈴凛「・・・誰って・・・」
千影「記憶にない名前なんだが・・・・・・君の知り合いかい?」
鈴凛「姉妹じゃないの・・・?」
千影「一体誰の・・・?」
鈴凛「千影ちゃんの」
千影「知らないね・・・・・・私は一人っ子なんだ」
鈴凛「・・・・・・」
千影「それに・・・・・・二人も魔王候補が居たら戦争が勃発しかねない・・・」
鈴凛「魔王候補って何ッ!?」
千影「フッ・・・・・・冗談さ・・・・・・」

 ・・・冗談とは到底思えなかったのはアタシだけか?

千影「それが・・・・・・どうかしたんだい?」
鈴凛「ううん、何でもない・・・」
千影「・・・・・・」

 鞠絵ちゃんは、確かに千影ちゃんのことを自分の姉だと言った。
 しかし、千影ちゃんは魔王候補は二人も居ないと答えた。
 どっちかが嘘をついている?
 普通に考えればそんな結論に・・・

 ・・・・・・。

 あ、千影ちゃんは普通じゃないや。
 じゃあ、きっと魔王候補が二人居る事は都合が悪いから、片方は死んだ事にしてどこかの村に隠れて・・・

 ・・・・・・。

 アタシは何ファンタジー小説を考えてるんだ?

千影「とにかく・・・・・・、朝から涙を流すのは・・・・・・あまりいい事とは・・・・・・言えないね」

 そんな考えを中断するように、千影ちゃんのそんな言葉が聞こえた。

鈴凛「千影ちゃんだってあの(削除)を食べたら・・・」


    ビクゥッッ


 千影ちゃんの体が何かに怯えたように激しく震える。

鈴凛「・・・千影ちゃん?」
千影「あの(削除)・・・・・・まだ・・・・・・あったのか?」

 千影ちゃんの表情が引きつる。

鈴凛「千影ちゃん、知ってるの?」
千影「昔・・・・・・亞里亞くんの家に誘われた時に・・・・・・」
鈴凛「そう・・・」
千影「・・・・・・」
亞里亞「・・・・・・」
鈴凛「・・・・・・」

 今度は3人揃って涙を流す・・・。


    ・・・・・・

    ・・・・・・

    ・・・・・・


亞里亞「着いたの・・・」
鈴凛「時間は?」
亞里亞「まだ10分もあります・・・」
鈴凛「奇跡ね」
亞里亞「はい・・・」

 ちなみにアタシ達はいつも遅刻ギリギリに学校に着く。
 そのシーンはもちろん飛ばした。

千影「君たちの会話を聞いてると・・・・・・奇跡が安っぽく感じるな・・・・・・」
鈴凛「アタシ達がこれだけ余裕を持って登校なんて、まさに奇跡じゃないの」
千影「鈴凛くん」

 アタシの少し後ろで千影ちゃんが続けた。

千影「奇跡は・・・・・・そう簡単には・・・・・・起こせないものだ」
鈴凛「・・・?」
千影「フッ・・・・・・ただの冗談さ」

 何か言いたかったが、千影ちゃんの方を振り向いたら、千影ちゃんの姿はもうなかった。

鈴凛「い、何時の間に!?」


    ・・・・・・

    ・・・・・・

    ・・・・・・


    キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン・・・


 4時間目が終わって、昼休み、アタシはゆっくりと教室を出た。
 向かう場所は決まっていた。
 誰もいない、あの場所。



 アタシが中庭に通じるドアを開けると、外は雪が降っていて、風も強かった。

 そんな中で、一人の少女が立っていた。
 ストールとスカートの裾を押さえて、困ったような表情で雪の中に佇んでいた。

鞠絵「あ、鈴凛ちゃ・・・きゃっ!」

 風に運ばれて、そのまま南の島へ〜・・・

鈴凛「・・・って、ええっ!?」


    ・・・・・・

    ・・・・・・

    ・・・・・・


鈴凛「はぁ・・・はぁ・・・」
鞠絵「助かりました」

 南の島までは行きそうになかったけど、風に飛ばされそうになった鞠絵ちゃんを必死で支えた。

鞠絵「・・・少し、落ち着きましたね」

 昨日の場所は完全に雪で埋もれていたので、ドアのひさしの下に移動して、ほっと息をつく。
 しばらくすると風は収まった。

鈴凛「大丈夫?」
鞠絵「・・・なんとか」
鈴凛「とりあえず、何か食べる?」
鞠絵「・・・そうですね、お腹もすきましたし・・・よろしくお願いしますね」
鈴凛「じゃあ、また学食行ってくるから何か欲しいもの言って」
鞠絵「カエルの丸焼き」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「カエルの丸焼きのタレつき」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「あ、今日はお腹が空いているのでふたつお願いします」」
鈴凛「・・・普通の食べ物にしない?」
鞠絵「普通って一体なんですか!? カエルの丸焼きのどこが普通じゃないんですか!?」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「見た目だけでなにもかも決めてしまうのが普通なら・・・わたくしは普通でなくていいです!」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「今の台詞ちょっとかっこよくありませんか?」
鈴凛「・・・分かった・・・もうどうでもいい」

 どうやらカエルの丸焼きだけは譲れないようだった。

鞠絵「それなら、タレお願いします」

 鞠絵ちゃんの笑顔に見送られて、アタシは校舎の中に引き返した。


    ・・・・・・

    ・・・・・・

    ・・・・・・


 昼休みに入ってから少し時間が経ったこともあって、カウンター前の人混みはそれほどでもなかった。
 アタシは、なぜこの日本で売っているか理解できないカエルの丸焼き(タレ)をふたつ受け取った。
 そして、代金を払ってすぐに引き返す。
 途中、奇異の目で見られたけど無視することに決めた。
 多分、アタシが気づいた視線の10倍以上は存在するはずだから・・・。


    ・・・・・・

    ・・・・・・

    ・・・・・・


鈴凛「はい、お昼、買ってきたよ」
鞠絵「ありがとうございます」

 笑顔を覗かせながら、カエルの丸焼きをふたつ受け取った。

鞠絵「鈴凛ちゃんは、お昼どうするんですか?」
鈴凛「アタシは・・・」

 ・・・・・・。

鈴凛「・・・しまった」

 よく考えると、自分の分を買うのを忘れていた。

鞠絵「ひとつあげますよ」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「わたくしは、ひとつで十分ですから」

 そう言って微笑む鞠絵ちゃんの手には、
 何かを訴えるように、哀しそうな目でアタシを見つめるタレのかかったカエルが握られていた。

鈴凛「アタシは・・・見てるだけで十分だから・・・」

 本当は見ていたくもない・・・。

鞠絵「食べないと、お腹すきますよ」

 そのかわり、お腹は膨れても人としてなにか一線を越えてしまう。

鞠絵「本当に食べないんですか?」
鈴凛「・・・・・・」

 でも、このまま何も食べずに午後からの授業に臨むのは心許なかった。

鈴凛「・・・そ、そうね・・・食べてみる」

 鞠絵ちゃんみたいな子が食べてるんだから、もしかしたらおいしいのかもしれないし・・・。

鞠絵「はい」

 何がそんなに嬉しいのか、笑顔で頷く。

鈴凛「・・・・・・」

 早まったかも・・・。
 鞠絵ちゃんの笑顔を見て、そんな気がしてきた・・・。

鞠絵「おいしいですね」
鈴凛「・・・そう、かもね」
鞠絵「食べてないんですか?」
鈴凛「いや、一応食べた・・・」

 でも、味なんてほとんど分からなかった。
 あー、なんか気分悪い・・・。

鞠絵「おいしいですよね」
鈴凛「・・・・・・」

 結局、そのまま最後まで食べさせられる事になった。

鈴凛「・・・何となく、お腹が痛いような気がする」

 不意にあの哀しそうな目を思い出した。
 ああ・・・アタシ、カエル食っちゃったんだ・・・。
 人として、何か一線を越えてしまった・・・気がした。

鞠絵「お腹の薬ならありますけど・・・」

 まだ食べ終わっていない鞠絵ちゃんが、心配そうに木の串をくわえていた。

鈴凛「今、持ってるの?」
鞠絵「ええ。 常備薬のひとつですから」
鈴凛「・・・そ、そう」
鞠絵「他にも、風邪薬、解熱剤、胃薬、アナボリックステロイド、テトロドトキシン、アコニチン、マンドラゴラ、
   バブルローション、サイコフレーム、イチゴシロップ・・・・・・」
鈴凛「前3つはいいとして、ドーピングはダメだよ! なんでフグ毒なんか持ってるの!? トリカブトから採ったの!?
   抜く時叫び声聞いたら死ぬって! ラスボスを一撃で殺す気か!? 刻でも見るの!? 今日は持ってきたんだ!
   って言うかなんでそんなもん常備してるの!!?  って言うかもう常備“薬”じゃないし!!」

 ツッコメるもの全てにツッコンだ。

鞠絵「さすがは鈴凛ちゃんです!」

 なんだか物凄く関心して喜ばれた。
 拍手までしてるし・・・。

鞠絵「まぁ、10個中5つは冗談ですけど・・・」
鈴凛「数合わないよ!」
鞠絵「ドーピングのお薬ですよね?」
鈴凛「違います!!」
鞠絵「冗談です。 ちょっと待ってください」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「あ・・・ありました。 はい、どうぞ」
鈴凛「今、どこから取り出したの?」
鞠絵「亜空か・・・いえ、スカートのポケットです」
鈴凛「スカートのポケット亜空間に繋がってるの!?」
鞠絵「まさか、そんなはずありませんよ」
鈴凛「じゃあ、今言い直したのは・・・」
鞠絵「まさか、そんなはずありませんよ」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「まさか、そんなはずありませんよ」
鈴凛「そうだよね、そんなはずないよね」
鞠絵「ええ、そうですよ。 もう、鈴凛ちゃんったら」
鈴凛「あはは、そうだよね」
鞠絵「うふふ、そうですよ」

 ・・・そう言う事にしておく方が懸命だと本能で感じた。

鞠絵「・・・それで、腹痛のお薬、要らないんですか?」
鈴凛「いや、ありがとうね」
鞠絵「はい、鈴凛ちゃん」

 差し出した白い手に、どす黒い錠剤が3粒のっていた。
 黒、と言うよりは紅が濃くなり過ぎて黒くなった感じだ。

鈴凛「・・・・・・」

 それを受け取って、そのまま胃の中に流し込む。
 もういちいちツッコンでたらきりがないと悟った。

鈴凛「ん・・・・・・なんか楽になった気がする・・・」

 違う意味で。

鞠絵「そんなにすぐには効きませんよ」
鈴凛「それもそうだね・・・」

 じゃあ、数時間後に効果が表れてアタシの命は・・・

鞠絵「・・・ごちそうさまでした」

 アタシが薬を飲んでいる間に、鞠絵ちゃんがカエルの丸焼きを食べ終わる。

鞠絵「おいしかったです」

 屈託なく笑う少女。(しかし原因はカエルの丸焼き)
 でも、その笑顔の向こう側に、ほんの些細な違和感があった。
 千影ちゃんの言葉。
 それが、どうしても引っかかっていた。

鈴凛「・・・鞠絵ちゃん」
鞠絵「なんですか?」

 アタシは、思い切って千影ちゃんの事を聞いてみることにした。

鈴凛「今日、千影ちゃんに妹の事を聞いてみたんだけど」
鞠絵「・・・はい」
鈴凛「そうしたら、魔王候補は自分ひとり・・・じゃなくて、自分は一人っ子だって言ってた」
鞠絵「・・・・・・」

 不意に俯いて、そして何かに耐えているようにぎゅっと口を閉ざす。

鞠絵「・・・そう、ですか・・・」

 やがて重苦しい沈黙を破るように鞠絵ちゃんは言葉を紡ぐ。

鞠絵「それは・・・きっと、わたくしの記憶を操作されたからです」

 ツッコミ所だったがその重苦しい雰囲気のせいでツッコメなかった。

鞠絵「わたくしの姉上様は、きっと他のクラスに居るんです」
鈴凛「でも、美坂なんて名字はともかく、“あっちの世界”、“彼ら”、“力”、“この次元”、その他モロモロの怪しい発言・・・」

 そんな事言う人間が他に居るなんて信じられない。
 だからこそ、鞠絵ちゃんが妹である事で全てのつじつまが合う。

鞠絵「その人が違うと言っているんですから、違うんですよ・・・」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「わたくし、こう見えてもよく隠蔽されるんです、記憶・・・」

 その言葉を最後に黙ってしまったので、それ以上ツッコム事もできなかった。

鈴凛「・・・じゃあ、そろそろ戻ろうかな」
鞠絵「・・・鈴凛ちゃん」
鈴凛「どうしたの?」
鞠絵「・・・明日も、またキてもいいですか?」
鈴凛「来ちゃダメって言っても来るでしょ?」
鞠絵「どうしてさっきからツッコンでくれないんですか!?」

 ・・・どうやらさっきらツッコンでくれるのを待っていたようだ。
 ボケとしてはツッコミがないとかなり寂しいものらしい。

鞠絵「来るなと言われたら、来ません。 そのかわり、来てもいいって言われたら、どんな事をしても来ます」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「・・・・・・」
鈴凛「・・・分かった、来ていいよ」
鞠絵「・・・え?」

 アタシの言葉が予想外だったのか、小さく開いた口からはその後の言葉がでなかった。

鈴凛「そのかわり、無理をしないこと」
鞠絵「イエッサーっ」

 今までで一番の敬礼だと思った。

鈴凛「じゃあ、今日はこれで解散」
鞠絵「はい。 解散です」
鈴凛「鞠絵ちゃん、傘持ってるの?」
鞠絵「ちゃんと持ってますよ」
鈴凛「・・・どこに?」
鞠絵「ポケットの中です」
鈴凛「・・・・・・」

 ・・・亜空間ポケットがあったか。

鞠絵「それでは、帰ります」
鈴凛「気をつけてね」
鞠絵「イエッサー」

 敬礼して、そして雪の中へ。

鈴凛「鞠絵ちゃん・・・」
鞠絵「なんですか?」
鈴凛「今日は雪が止むまで待っててもいいよ」
鞠絵「そうですね・・・いえ、やっぱり帰ります。 雪がやむとも限りませんし」
鈴凛「そう・・・。 だったら気をつけてね」
鞠絵「イエッサー」
鈴凛「この前みたいに転ばないようにね」
鞠絵「あれはわたくしのせいではありませんよ」
鈴凛「アタシのせいでもないよ」
鞠絵「咲耶さん・・・でしたよね?」

 鞠絵ちゃんが記憶を辿るようにぽつりと呟く。

鈴凛「きっと今頃、くしゃみしてるね」
鞠絵「あの・・・」
鈴凛「どうしたの?」
鞠絵「えっと・・・」
鈴凛「・・・?」


    キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン・・・


鞠絵「・・・あ、チャイム」
鈴凛「・・・それが言いたかったの?」
鞠絵「えっと・・・いえ、バーチャル海ごっこをしたかったって・・・」
鈴凛「・・・勘弁して」

 そう言えば、よく風邪引かなかったなぁ、アタシ・・・。

鞠絵「でも、もう無理ですから、帰りますね」

 ぺこっとお辞儀をして、傘を開く。
 そして、白く埋め尽くされた中庭を、時折振り返りながら歩いていく。
 まるで、雪の中に溶けるように・・・。


    ・・・・・・

    ・・・・・・

    ・・・・・・



亞里亞「あ」

 教室に戻ってくると、亞里亞ちゃんがアタシの姿を見つけて、不思議そうに首を傾げる。

亞里亞「鈴凛ちゃん、お外に出てたの?」
鈴凛「ちょっと外で・・・とうとうカエルを食べちゃったんだ・・・」
亞里亞「カエルさんはおいしいの」
鈴凛「・・・・・・」

 亞里亞ちゃんが喰ってる事に疑問は沸かなかった。
 けどそれって白雪ちゃんが作ったのか?

亞里亞「それだけ?」
鈴凛「バーチャル海ごっこをさせられるとこだった」
亞里亞「バーチャル海ごっこ、って・・・なぁに?」
鈴凛「雪を海に見立てて・・・、ほら、ドラマや漫画でよくやる水のかけっこ、あれをやるの」
亞里亞「こんな寒い中で、そんな事する阿呆は居ないの」

 一瞬、亞里亞ちゃんが“壬生の狼”に見えた。

鈴凛「でも、この時期にやりたいって人もいるかもしれないじゃない」
亞里亞「亞里亞・・・やっぱりそんな阿呆はいないと思うの。 理由があるなら別だけど・・・」
鈴凛「この時期に凍死の危険を冒してまで海に行った気分になりたくなるような理由?」
亞里亞「例えば〜・・・暖かくなるまで待てないとか・・・」
鈴凛「それって、ただのせっかちじゃないの」
亞里亞「凍死願望があるとか・・・」

 自殺願望が理由なんてなんとも嫌な理由だ。

鈴凛「・・・そう言えば、何の話だっけ?」
亞里亞「鈴凛ちゃんがお外に出てきた理由なの。 もうボケたのこのポンコツ」

 どうしてそこまで言われるんだろう・・・?
 アタシ、亞里亞ちゃんになんかしたのか?

鈴凛「だから、外でカエル食べてたんだって」
亞里亞「カエルさんはおいしいの」

 納得して、そのまま自分の席に戻っていった。
 ・・・なんか評判良いな・・・。
 カエル・・・もうちょっと味わえば良かったかな・・・?



 


更新履歴
03年9月27日:完成
03年10月14日:脱字修正
03年10月16日:微修正


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