今夜も貴女は彗星になる















「ふふふふ〜ん


鼻歌を歌いながら廊下を歩くはこの家の次女とされている千影。

どうやら機嫌が物凄くいいらしい。機嫌がいいだけで

普段“ミステリアス”で通っている彼女がここまではしゃぐだろうか??

否、彼女はもうクールだのミステリアスだのとは程遠い人物になっていた。

それを重々知っている人物の部屋へ、千影は歩いている。


「さっくやくぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん


      ポカッ!!


「気色悪い声出すな、バカ」

「口よりも先に手が出る。これも1つの愛情表現!そうだろう?さくやん

「どうしてあんたはいつもそう物事をいい方、いい方へと解釈するのよ?」

「おや?お気に召さないかい?さ・く・や・ん


    バキィィィィィィ!!!!!!!!!


「い〜〜〜〜〜〜〜〜〜や〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」←千影


千影が星になったところで、私は自分の部屋を直し始めた。

あれの所為で毎回毎回壁が壊れるから、私の部屋は結構ボロくなってる。

じゃあ、相手にしなきゃいいだろうって??

ま、それが出来たら苦労はしないわ。それが出来たら・・・ね。

そして、粗方修理が終わるとさっきの打撃の音と悲鳴に気付いたのか

部屋の前には私の妹であり、良き相談相手の1人、可憐がいた。


「また千影ちゃんが来たんですか?」

「まあ・・・。見れば分かるでしょ?」

「大変ですね。可憐は見て楽しんでるのが1番ですけど」


・・・良き相談相手っての取り消そうかしら??

大体この家にはまともな人がいないのよね。

は?私はまともよ!?変なこと言わないでよ!!!


「っっもう!!さくやんってば、ちかを宇宙人にでもする気なの!?」

「あっ!可憐はお邪魔みたいですね。それじゃ」


可憐はそう言うとさっさと去ってしまった。

立ち直るのが早いわよ?お星様・・・。どこから入って来たのかも毎回怪しいもんだわ。

宇宙人なり火星人なり、なんでもなっちゃえば良いんだけど。


「もうっ、さくやんがなれって言うんなら、ちか、なんでもなっちゃう

「そう、なんでもなってくれるの・・・??それじゃ今すぐ――」

「ちかのお部屋でベットイ――」


      ドカッバキッドゴォォ!!!!


「あんたのはベットとは言わないでしょーが!!おバカ」

「“さくやん”が気に入らないのなら“さっくん”でもいいんだよ?うん!決めた今日からさっくん!!」

「勝手に決めるなーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「ぶぅ〜!!」

「いやそれ、あんたのキャラじゃないし!」


いつまでもこんな調子だと疲れるだけなので

私は千影をほっぽって街に買い物に行くことにした。

なんだかもう、なにもかも忘れて飛んで行きたい気分・・・。


「ならこの魔術師ちかたん☆におまか・・・」

「却下」


別に千影がなんで今ココにいるのかとかは、不思議じゃないけど。

いや、不思議に思ってるのはなんであんなにタフな体を持ってるのか

と言うことと、すぐに他人(主に私)の心を読むのか、と言うことぐらいだ。


「そりゃ読むさまいらばぁ〜さっくんの為ならネ!」


・・・まいらばぁ〜辺りから聞いてなかった。

もう呆れて声も出ないけど、私もよくやって来たなぁと、我ながら感心する。

遠くで『まってぇ〜さっく〜〜〜〜ん』とか聞こえるのは、とりあえず無視っとこう。


そして私は家に帰って来たんだけど。

(勿論、無視ってた千影も一緒に)

これはこれでまたうるさいんだよね・・・。

特に千影が。言うまでもないけど。


「ところで、さっくん!来週のでぇとはどこ行こう??」

「いや、どこ行こう??って行く約束してないでしょ?なによ、急に・・・」

「やだなぁ。約束なんていつもしてないじゃないか!忘れんぼさん☆」

「それは!!あんたが!!!勝手に!!!!決めちゃうからでしょーが!!!!!」

「怒った顔もキレイだよさすが、ちかのさっくんだね!」

「・・・で?どこ行くって!?」

「やだなぁ。それを決めるのがさっくんじゃないか


    ドカッバキッパコッベシッ
    ドッゴーーーーーーーーン!!



「あー、今回はよく飛んだなぁ・・・」


などと呑気なことを考えていた。

ていうか。今のは千影が悪い!!いつもは勝手に決めてるクセに

私に決めろ?・・・どーゆー神経してんだか。


「あはは。さっくんに殴られちゃった☆」

↑こんな神経


「さくねぇ、なに考えてんの?」


ふいに声をかけられた。振り返らなくても、まもだって判ったケド。


「星になってくちかねぇを見てるの?それとも星になったちかねぇを見てたの?」


・・・とか言われた。


「まも?それは遠回しに冷やかしてるのかしら??」

「ううん。遠回しにしてないから安心してよ!」

「あら・・・そう」


素直に喜べないのは言うまでもない。

てか、喜ばない。それはそうと、まもはなにしに来たのよ?

ホントにタダの冷やかし??・・・まさかねぇ。


「ねぇ、さくねぇ?さくねぇはちかねぇと今の様な感じになったのはどんなのがきっかけ?」

「まも・・・?あんた好きな女の子でも出来た??」

「うん」


あれ?冗談に乗るなんて、まもらしくないわね?


「あ!!違うよ!ボクは女の子だよ!?なに言ってるのさ、さくねぇってば!!」

「ハイハイ、言っとくけど私たちを参考にしたって意味ないわよ?」

「え??」


“意味が分からない”と言った雰囲気のまも。だって私の相手って――


ちかさっくんさくさくのショートコント」


――これだし。さっくんさくさくってなによ。

あ〜あ。思いっ切り引いてるじゃん、まも。だから言ったじゃない?


「これで分かったでしょ?まも」

「う、うん。お、お、お邪魔しましたーーーー」

「うふふ誰もちか&さっくんのコンビには敵わない」

「いつコンビなんて結成したのよ?」

「今だよ、い・ま

「一応・・・私たち、恋人同士ってことになってるハズだけど??」

「し、し、しまった〜〜〜〜〜〜〜〜!!ちかとしたことが恋人を相方にしちゃうなんて」

「分かった分かった」


私が離れようとした時だった。千影が物っ凄い勢いで私の肩を掴んできた。

と言うより、抱きついてるじゃない!!離しなさいよ。


「さっくん!!!ちかを思いっ切り殴って」

「はあぁ!?」

「ちかは自分自身が許せない!!だからいつもみたいに星にして」

「やだ。自分でやればいいじゃない」

「だってさっくんがやるからいいんだもん、気持ちよくて」

(最後のは聞いてない、最後のは・・・)私が好きでやってると思ってるの?」

「うん

「あのねぇ。誰も好きで好きな人殴ったりしないわよ」

「さっくんやっぱりらぶでぃすてぃに〜だね!ちかたちは」

「この性格さえなければ・・・ね、バカ」


そこには懲りずに星になって行く千影の姿が。

もう、慣れ切ってしまった私もどうかと思う。

それでも千影のことを嫌いになれないし、ならないと思う。


「やっぱり!さっくんとちかは、真っ赤な赤い糸で結ばれてるん」


          ドコッ


そして―――

         今夜も―――

                    貴女は―――

                                 彗星になる―――












                                                 Fin






 


あとがき

ども!月星です。やりました。

千影姐さんを壊しました。思いっ切り(笑)

書いてて気持ち良かったですね、ココまで行くと。

もっと他の妹出そうかと思ったんですが

千影姐さんを壊すのが予想以上に楽しくて

結局出番がないまま。まあ、これはこれで良かったと思いマス。

それでは、お楽しみいただけたら幸いです。


なりゅーの感想

こんなの千影じゃない!!(爆
(↑一応褒め言葉です)
終始「HGP創英角ポップ体」で話す千影なんて、未だかつてあったでしょうか!?

「彗星」と、タイトルからロマンティックを感じ取ったと思ったらバカを見ました、良い意味で!(ぇ
彗星って、そういう意味か……(苦笑
タイトルの割に内容がもう……壊れ過ぎ! そういう騙し最高!!(爆
咲耶の新しい愛称も大量に登場したり、
可憐の薄情さ加減も、衛のボロ(?)も、なかなか良い味出てました!
というか、もう千影、カケラも残ってないですって!!(笑

演出も、なりゅーなんかよりも思い切ったもので断然上手く、
是非今後の参考にさせて貰おうと思いました(笑
やっぱり咲耶と千影にはこういうコントが似合うと思うのは、
なりゅーだけでしょうか?(苦笑


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