ファインディング・まも
澄み切った空
真っ白い雲
照り付ける太陽ー。
これでボクの心も晴れていれば問題ないんだけどな。
え!?なんで晴れてないのかって?
それはもうじき分かるよ。もうじきね・・・。
「おはよう!可憐♥」
「おはよう!咲耶ちゃん♥」
「もう♥“ちゃん”付けなんてしなくていいのに。私たち愛し合っているんだから♥♥」
「そうだけど・・・やっぱ恥ずかしいよ♥」
「あん♥そういうトコもやっぱ好き♥♥」
「あ!まだおはようの挨拶がまだだったね♥」
「うん♥じゃ改めて・・・」
「おは「おはよーーーーーーーー!!」よう?」
「ああ!!まも、いつの間に!?」
「さっきからずっといたよ、いい加減やめてよ、見てるこっちが恥ずかしいよ!!」
そうなんだ。ボクの両親はこんなだから毎日困っちゃうよ。
そりゃ普通じゃないよ、ボクの両親。同姓だし、噂じゃ姉妹じゃないとかなんとか。
ボクはあの2人の子供ってことになってるけど、真相は謎のままなんだ。
ま、いっか。そのうち喋ってくれるだろうし・・・。
ていうか、あんまり知りたくないな。正直言って。
「まも?朝ご飯出来てるから食べちゃって!」
「う・・・うん。分かったよ、咲耶ちゃん」
「ちょっと!!何回言ったら言ってくれるかなぁ??さ・く・ね・ぇって♥」
「親にあねぇはないと思うんだけど・・・」
「『咲耶ちゃん』は可憐だけが言っていいものなの!!分かる?まも」
「そんな♥咲耶ちゃんってば・・・♥」
「(さっきの会話と矛盾してるよぉ・・・)」
そうしてボクたちは朝ご飯を食べて、思い思いの時間を取ることにしたんだけど
突然、さくねぇたちがデートするって言い出したから
ボクも遊びに行こうと思ったんだ(初めからそのつもりだったけど)
だけどこの時から、歯車は狂って行ったのかもしれない・・・。
(人生の歯車は狂ってるけどね・・・)
ボクが公園に向かうと、ヒメ・アリア・ヒナ3姉妹が先に遊んでいたんだ。
それもボクの苦手な球技で。見つかったら最後、イジメられるのがオチなので
ボクは逃げるようにその場を去ったよ・・・。
仕方なく家に帰ることにしたボク。でも暇だなぁ・・・。
ウチに両親がいたらいたで余計疲れるけど。
そんな時だった。電話が鳴ってきたのは。最初は出るつもりなかったけど
妙な悪寒が一瞬したから出ることにしたんだ。
相手はさくねぇだった。けれどちょっと様子がおかしくて
ボクがどうしたの?って聞くなり、さくねぇは言い出したんだ。
「可憐が・・・突然現れたトラックで交通事故を起こしちゃった・・・じゃなくて、事故に巻き込まれちゃった」
さくねぇ、混乱してるのかなぁ??ていうかトラックが現れたって何??
とりあえず、病院に向かうことにした。
言われた住所に辿り着いてみれば・・・美容院!?
・・・さくねぇーーーーーーーーーーー!!!!
ボクが目的の病院に着いたのは、さくねぇから電話を貰って5時間後のことだった。
大体この街は広すぎるんだよ!!!!
「まも!!?」
「さくねぇ、可憐ちゃんは!??」
「!!まもが漸く私のことを“さくねぇ”って呼んでくれた♥」
「今はそんなこと話してる場合じゃないでしょ!!可憐ちゃんはどうなったのさ?」
言ったところでさくねぇは黙り込んでしまった。いや、ボクに抱きついて泣き始めた。
「可憐が私を置いて逝っちゃった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「さくねぇ、ここ病院だから・・・」
お通夜・告別式は慌しく過ぎて行った。さくねぇはまるで魂が抜けたように静かだった。
ある意味不気味だったけど、年中絡んでくるよりは今のままの方がいいかな?
と思ってられたのも数日だけだった。ボクは家事が出来ないんだ・・・。
抜け殻のさくねぇにやらせないといけない訳で。
ボクは気分転換にさくねぇと共に外の空気を吸いに散歩に出かけた。
ところがまた、ヒメ・アリア・ヒナ3姉妹に会っちゃったんだ。
3人はボクたちに気が付くと、何やらヒソヒソと話してから
こんなことを言ってきたんだ。
「まもちゃんのところは、家族と言っていいか迷うけど死んだばかりだよ?」
「ママン?パパン?よく分からないところが変態家族の名にピッタリなの」
「この間の取って来いゴッコの続きをしましょうか?まもちゃん」
取って来いゴッコってのは球技が苦手なボクへの嫌がらせの遊びなんだけど。
これがまたキツイんだ。犬のマネとかじゃないからいいけど(よくない)
「ちょっと!!このガキャー共!!私の可愛いまもになんてこと言うのよ!」
「さ・・・さくねぇ」
「親が親なら子も子ってよく言うわ!!あーヤダ」
「あら!?ワタクシのことをお呼びになりましたか?咲耶さん?」
「出たわね!!このキ○ガイ妄想大和撫子」
「貴方に言われたくありませんわ!!」
どうやら春歌さんは3姉妹を迎えに来たみたいだけど
親同士が仲悪いからなぁ・・・。自然とこうなっちゃうよ。
「まも?先に帰ってて!!私はやることがあるから」
「貴方たちもお先に帰ってなさい!すぐにカタをつけますから」
カタをつけるって・・・まあ、さくねぇなら
ゾンビでも魂は喰われないだろうし平気かな??
ボクはそう思ってたんだけど、次の瞬間何者かに拉致連れ去られた。
遠くでさくねぇの『私の可愛いまもがーーー!!』って聞こえた気がした。
どうやらボクを連れ去ったのは、花穂って子みたいだ。
確か物凄いドジって聞いたことあるけど・・・。
「あ〜ん!!花穂、間違えてまもちゃんを生け捕り連れてきちゃったよ〜!!」
誰と間違えたんだろう・・・??ていうか今なんか言わなかった?
生け捕りとか変なこと。そんなことを考えていたら
花穂ちゃんと目が合った。ボクは慌てて目を逸らしたけど。
「ま、いっか。この際まもちゃんでも♥大人しくしててね?まもちゃん」
何がーーーー!!大人しくなんかしないよ!!逃げるよ、ボク。
こうしてボクは、何やら鼻歌まで歌ってご機嫌な花穂ちゃんに
気付かれないように逃走したんだ。この世の者とは思えない速さで。
「あれ〜?まもちゃんがいない!!折角ちゅーしてあげようと思ったのに」
まもが連れ去られてから・・・私は春歌と休戦し、まも救出大作戦を開始する。
だけどまるで手がかりがないため、途方にくれていた時、どこからともなく声が聞こえた。
「君の・・・・子供の行方を・・・・知っているが・・・教えるかい?・・・というか教えさせてくれ♥」
「あんた、誰よ!?」
しかもなんか・・・やけに興奮してるし。
「失礼・・・・・千影と言うんだ・・・君とは前世の恋人♥でね、今も愛し合っているじゃないか♥♥・・・・」
「はぁ!?まあいいわ。まもはどこ!!」
「着いて来れば分かるさ・・・」
怪しいと思いながらも、私は千影に着いて行くことにした。
ここは・・・どこ!!?私は景色を見渡しながら
思わずそんな言葉が出そうだった。大きな門のそれぞれに「あ」と「ん」
「ねえ、ここどこよ!?」
「木○葉の里さ・・・・お気に召さないかい??」
「何がよ!!まもを探してくれるんじゃなかったの!?」
「それもあるが・・・・君との愛の花園を一緒に探すのもいいだろう・・・・」
「可憐以外から『愛』なんて言葉口にしないで〜!!」
「ほう…私が呪いをかけた・・・あの女か・・・」
「なんか言った??」
「いや・・・・こっちさ・・・・」
それからも私は千影に迷走されることになる。
ある時はフ○シャ村に行ったり、またある時は○の都へ行ったり
あとは米○町に行ったり・・・。空○町もあったな。
「って違うのよ!!!」
「何がだい・・・・??」
それは私たちがマサ○タウンに着いた時だった。
というかもう何がなんだか分からなくなってきたわ・・・。
「まも探しはどうしたのよ!!さっきから『私と君には合わない』だのなんだの・・・」
「大丈夫さ、君の子供は・・・・・私たちの行く先にいるからね・・・・」
「どうだかね」
さくねぇが必死にボクを探している時、ボクはボクで逃げているのに人を探していたんだ。
もちろんボクが望んで探しているんじゃないよ。花穂ちゃんの束縛から上手く逃げれたと思ったのに。
四葉ちゃん(クローバーって言ってるけど)に頼まれて仕方なく探してるだけなんだ。
探してる人は鈴凛ちゃん。クローバーが言うには、四葉ちゃんの大事なものを盗んだみたいなんだ。
だからクローバーが取り返すって言ってるんだけど・・・結局自分でやってるっての分かってるのかなぁ??
「ねぇ・・・大事なものってなんなの??」
「クフフ・・・気になりマスか!?それはズバリ!『心』『hreat』『愛』『love』なのデス」
「は・・・?えっと!?つまり四葉ちゃんは鈴凛ちゃんのことが好き・・・なの??」
「いけないのは向こうデス!四葉のことをこんなにしちゃって♥」
「そう・・・ここに来て一気に疲れが増したよ」
暫く歩くと、四葉ちゃんが『見つけたデス!!チェキ』と言って、前方を指差した。
そこには鈴凛ちゃんと・・・もう1人女の子(犬を連れてる)が話していた。
どうやら四葉ちゃんは知ってるらしい。『鞠絵ちゃんが一体四葉の鈴凛ちゃんに何の用デス!?』
とか言ってたけど・・・誰のものでもないと思うんだけどな。
「さあ、鈴凛ちゃん♥貴方からしてくれると言ってくれたのですよ!?」
「そうだけど・・・ホラ!!ミカエルも見てるし・・・ね?」
「大丈夫。ミカエルはわたくしの下僕だから所詮、わたくしに逆らえませんよ♥」
「そ、そうなんだ。」
「ええ。ですから早く約束のキスを・・・」
「ちょっと待つデスーーーーー!!」
ちょっと離れていた所で見ていたボクたちは、四葉ちゃんの雄たけびによって見つかっちゃった。
「よ、四葉ちゃん!?」
「違うデス!私は美少女怪盗クローバーデス!!鈴凛ちゃんを盗みに来マシタ♥」
「ストーカー行為だけならまだしも、わたくしの鈴凛ちゃんを奪うですって・・・?」
「ウルサイデス!!強要はいけないんデス!」
「2人とも〜・・・」
ボクは傍観者になってたけど、すっかり自分の立場を忘れてたことに気付いて
そのまま3人に悟られないように、その場を後にした。
あ〜あ・・・。こんなんで無事にさくねぇと再会出来るのかなぁ?
私と千影は電気鰻の川を渡ったり、茨の森に迷い込んだり、砂漠地帯を歩いたり、
古代文明の星に飛ばされたりしながらも生きてこの街に帰って来れたことが奇跡だった。
少なくとも私はそう思ってる。千影の涼しい顔は私への嫌味??
あ〜あ・・・。こんなんで無事にまもと再開出来るのかしら?
そんなことを考えていると、千影がこんなことを言ってきたの。
「見つけた・・・・!!私と咲耶くんを結ぶ運命の・・・・絆の家が・・・・・♥」
千影の扱いにはもう慣れてしまった私。どこがその家かよりも
まもが近くにいないか探索してたんだけど・・・。ここってウチの近くじゃない!!
いつの間に帰ってきたんだっけ?あ、そっか。千影のおかげか(酷っ)
「運命の家ってどこよ?」
「ここだが・・・・??フッ、これも神の悪戯か」
「え?ええ!??」
「そんなに喜んでくれるのかい♥・・・・嬉しいよ」
「チガウ!!断じてチガウ!!ここは私のウチじゃない!!!」
ボクはウチの近くまで帰って来てたんだけど・・・。ていうか帰って来たんだけど。
さくねぇが知らない人とイチャツイテたから、声をかけるのに戸惑ってたんだ。
さくねえって案外軽い人なんだなぁって思ってたら気付かれちゃった。
「まも!!」
「ただいま〜」
「ほらね・・・・私の言った通りだっただろう・・・・」
「ええ、ありがとう!千影」
「・・・・・////フフッ、いいんだ・・・・私と君の仲だからね・・・・」
「ちょっと!!誤解する言い方は止めてよね!?」
「何を言うんだい・・・・これから一緒に住むのに・・・・」
「えええ!!?」
「まも!違うの、これは色々と事情が・・・」
だけど結局、千影さんはウチに住むことになって・・・。
今では可憐ちゃんっていう人がいたのに、さくねぇってば千影さんとラブラブなんだ。
でもやっぱり憎めないや。さくねぇには・・・。
Fin
あとがき
はじめまして、月星です。思いつきだけで書いた作品です。
修正は別として、一日で書いちゃいました。
またこういうパターンのSSを書こうかどうか迷っていますが(笑)
ちなみに『取って来いゴッコ』はまもがボールを投げて
まもが自分で拾ってくるみたいなちょっとハードなものです。
(1バウンドなしで)これを思いついたのは・・・
アリア。改定、ヒナ。命名、ヒメ。
それでは、最後になりましたが
楽しんでいただけたら幸いです。
なりゅーの感想
思いつきだけで書いた作品と仰られていますが、
内容は申し分なく面白いものになっているかと思います!
寧ろそういう作品だからこそそうなのかもしれませんね。
特に衛が咲耶と可憐の「子供」という型破りな設定がナイスです!(笑
なりゅーにはそういう型破りを控えてしまう傾向にあるので、特にそう感じました。
また、暴走千影に突っ込みっ放し、振り回されっぱなしの咲耶も良いです!
でも(多分)千影さん、可憐にやり過ぎです(汗
他にもいくつか賞賛できそうな点も多々、でもまさかまりりん要素まであるとは……
そのことにひとりほくそえんでしまったのはないしょのしみつです(苦笑
掲載する時、文字の演出の細かい指定までされたので、
確かに大変でしたけど、非常に助かりました。
掲載する側としてはなるべく作者の思う形へ近づけたいものですから(笑
月星さん、どうもありがとうございました!
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