ドアを閉めた瞬間、皆のはしゃぐ声が遠のいた。

私は、自分の腕の中で眠る、幼い妹を見つめた。
やっぱり、こんなに遅くまで起きているのは無理だった見たいね…まったく、強がりなんだから。

私は彼女が目を覚まさないように、優しくベッドに寝かせた。

今日は大晦日。
だから、雛子ちゃんも、亞里亞ちゃんと一緒にがんばって眠らないようにしてたみたいなんだけど…フフッ、二人とも皆がわいわいやってる最中に寝ちゃって…結局、私とじいやさんが、それぞれ雛子ちゃんと亞里亞ちゃんを部屋に運ぶことになって……じいやさんは私がやるから結構です、なんて言ってくれたけど、やっぱり、いくら二人が子供でそんなに重くないって言っても二人を運ぶのは辛いだろうし…それに、眠っている子供は重いって聞いたことあるし……私は長女なんだから、皆の面倒を見る責任もあるし……………



…ううん、そうじゃない。

長女としての責任とか、…こんなこと言っちゃ悪いかもしれないけど、じいやさんの負担を減らすってことも、…考えてなかった。

ただ、雛子ちゃんと一緒に居たかっただけ。
話が出来なくてもいい。
寝顔を眺めているだけでもいい。
ただ、雛子ちゃんのそばにいたかった。

少しでも、雛子ちゃんと私の関係を実感したいから…


そう…



雛子ちゃんが私の……





「恋人」なんだっていうことを。









 

貴女との未来に願いを込めて











いつからだろう……?

雛子ちゃんを特別な目で見るようになったのは。

気がつくと、いつでも雛子ちゃんのことを見てた。
それが、「恋」だということに気づくのに大した時間はかからなかったわ。


もちろん、普通の恋愛じゃない。
同性で、姉妹で、その上、雛子ちゃんはまだ小学校にあがったばかりの子供なのに…


私は、本気で雛子ちゃんのことを好きになっていた。

でも、私はその思いを口にすることが出来なかった。

せめて、異性であったなら…
せめて、血が繋がっていなかったら…
せめて、もう少し、歳が近かったら…

少し変かもしれないけど、そんなことは考えなかった。

近親とか、同性とか、そんなことはどうでもよかった。
禁忌に触れようと、人を好きになることにそんなことは関係ない。
他人からどんな目で見られたってかまわなかった。


ただ、貴女に嫌われることが怖かった。

いくら貴女が幼くても…いいえ、幼いからこそ、嫌いになって欲しくなかった。

純粋に、私を慕ってくれる。
無垢な瞳で見つめてくれる。

その喜びを、失いたくなかったから………!!









―――――今にして思えば、どうしてそんなことで悩んでたんだろうって思うわ。

フフッ、ちょっとゲンキンかしら?
両思いだって分かって、恋人同士になれたから、こんなこと言えるのよね。

それも全部……貴女のおかげよ、雛子ちゃん

貴女が自分の思いを伝えてくれたから………だから私も、素直になれた。

あのときの貴女の言葉………



―――――好きなの…咲耶ちゃんのことが………


信じられない告白に、思わず否定してしまった私の言葉に、必死になって反論してた………


―――――違うよ!!勘違いなんかじゃないよ!!


少ない語彙で、一生懸命に自分の想いを伝えようとする貴女………


―――――咲耶ちゃんへの好きは、みんなへの好きとは違うの!!


貴女が、自分の気持ちをまっすぐに伝えてくれたから、私も自分の気持ちを言えた。
あの時、貴女が言ってくれなかったら、私は今でも一人で苦しんでいた…

いくらお礼を言っても言い足りないくらい…………









かわいい寝顔……こういうのを「天使のような寝顔」って言うんだろうな…


もう、遠くから見て、焦れている必要は無いのよね………

………「恋人」なんだから、スキンシップを取るのは当然のことよね?

みんなのところに戻るつもりだったけど…やっぱりヤメ!!
このまま雛子ちゃんと寝ちゃおっと♪

付き合い始めてからも、あんまり進展しなかったけど、来年はそうはいかないんだからっ
二人で沢山、二人だけの思い出を作りましょ


そして私は、幸せそうな雛子ちゃんにそっとキスして、一緒の布団に入ったの。




おやすみなさい、雛子ちゃん







来年も、貴女と一緒にいられますように―――――――――――













 


作者のあとがき

瑯のAll right Watcha−cha−cha!!(あとがき代わりの万雑文)

↑に意味は無いと断っておきます。言ってみたかっただけです。
恐らくすべるだろうと踏んでるので、思いっきり白けて下さい(ぇー
多くの方にははじめまして。そうでない方にはSay hello.瑯です。分かりづらいHNですが、「ろう」と読みます。
さて、本作は「大晦日の夜、みんなと騒いでいるうちに眠ってしまった雛子を咲耶が部屋まで連れてってそのまま一緒に寝る」という思い付きを昇華させて書いたものです。ただそれだけのネタですので、非常に短いです。
途中で何度も挫折しかかりました。どういう展開にしても話が不自然になってしまって…未熟が諸に出てますね。
それでも完成したのは……なんででしょうね?(笑
咲耶が偏見を恐れない考えをもっているのは、私のイメージです。
行間の使い方、こればかりは自分で分析できないので、モニターの前のあなたの完成でご判断を。
ちなみにこの話は前作、「貴女の見つけた私の想い」と世界観を共有しています。つまり、この時点ですでに白雪とメカ鈴凛は付き合ってます。また「貴女」ってつきましたよ(苦笑
続いて、スペシャルサンクスのコーナーです。
なりゅー様
前作並びに本作の掲載、まことにありがとうございます。
そのうちまた投稿する予定ですので、その時はまたよろしくお願いします。
電寿様
前作の感想及びご指摘、感謝しております。本作で少しでも改善されていればいいのですが…
ちかりんはマジでそのうち書きます。(言っちまったよ…)遠い話かもしれませんが(マテ
最後に、拙作を最後まで読んでくださった皆様へ 
未熟な作者の、稚拙な言葉です。
読みづらいでしょうし欠点をあげれば切りがありません。
でも、この未熟なSSに何かを感じ取っていただければ、それ以上に嬉しいことはありません。
心からの感謝を込めて―ありがとうございました。

「『貴女』シリーズ」次回予告(連載&シリーズ化前提←激マテ
塞ぎ込む鈴凛。恋人である鞠絵にも言えないその悩みとは!?
            or
バレンタインに乗じて一向に進展しない春歌との仲を進めようとする衛。衛の想いは春歌に届くのか!?
乞うご期待………すると損します!!(核爆


なりゅーの感想

短いながらも、その内容は咲耶の想いが上手に凝縮されたものと思える一品だったかと思います!
なにより、妙に口調が上手い印象を受けました。
いつものふたつ(同性だ、姉妹だ)にプラスして「歳の差問題」まで掲げ、その上で両想いと、
なりゅーがさくひなで問題にしていたことを問題にすらしていないという、なかなかのつわものの作品です (笑

「ただそれだけの思いつきネタ」も、昇華されればここまでに出来るものなんですねぇ……。

咲耶がみんなのところに戻らずに一緒に眠っちゃうところなど、
ただひたすらに相手を想い慕う咲耶らしい一面を上手く描けていたと思いましたね。
しかも相手が相手だからいやらしい気持ちとかじゃなくて純粋な感じと見受けられますね(笑
……見受けられますよね?(汗

あとがきにある今後のプランも結構楽しめそうで……損しても期待します(爆


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