私には11人の妹がいる。

 私はその11人の姉。

 その中の誰よりもしっかりして、みんなを引っ張って行かなくてはいけない存在。


 でも、本当は……











 

花穂お姉様












 私の名前は咲耶、12人姉妹の頼れる姉。
 でも、そうなのは当たり前。
 だって私は長女なんだから……。

 ただの長女なんかじゃない、11人というたくさんの妹の姉……。


「咲耶ちゃん……今月、ちょっと苦しくて……その……」

「分かってる、お金貸して欲しいんでしょ?」

「サンキュー、ありがと咲耶ちゃん」

「まったく、もっと計画的に使いなさいよ」


 自分の趣味の機械いじりに一生懸命で、
 いつもお小遣いをすぐに使い切ってしまう子にお金を貸してあげたり。


「ねぇ、咲耶ちゃん……」

「何かしら?」

「花穂、ちょっと分からないところがあって……後で一緒にお勉強してくれる?」

「いいわよ」


 勉強で困っている子の、勉強をお手伝いしてあげたり。


「咲耶ちゃん……今日も寝る前ご本読んで」

「ええ、後で読んであげるわ」

「ホント!? うっわぁ〜い♥♥


 まだ幼い子のために、寝る前に本を読んであげたり。


「咲耶ちゃん、あとでいいですので、姫のお買い物つきあってくれませんの?」

「別にいいわよ。でも、あんまり大量に買い過ぎて、持ち運びに困らない程度にね」

「それは無理ですの。だって、我が家は大家族ですのから」

「それじゃあ仕方ないか……。でも、まぁ任せときなさい」


 大家族の我が家の食卓を、進んで受け持ってくれる子の、
 どうしても大量になってしまう買い物の荷物運びを手伝ってあげることはしょっちゅう……。


「やっぱり咲耶ちゃんは素敵なお姉ちゃんだね」

「そうだね。ボクたちの自慢のあねぇだよ!」


 みんなが私を頼ってくる。
 長女として、私はそうであろうと頑張った。



 『素敵な姉』、『頼れる姉』、妹達は私の事をそう評価している。






 ……ただ一人を除いて……。
























 妹の部屋の前に立ち、軽く2回、そのドアにノックをする。


「入っていいよ」


 中からの返事を聞いて、私は部屋の中に入る。
 さっきの約束通り、勉強を教えるために。


「咲耶ちゃん、遅いよ……」

「ゴメンね、花穂ちゃん。ちょっと色々手伝ってたら……」


 妹の部屋に勉強を教えにやって来た私。
 そこで待ちくたびれていた私の妹。
 姉が妹の勉強を手伝ってあげるという、ごく普通の姉妹の風景。


「"花穂ちゃん"?」


 それが、たった一言でガラリと音を立てて暗転する……。


「あ!」

「いつからふたりっきりの時にまで花穂の事をそんな馴れ馴れしく呼べるようになったの?」


 あどけない少女の顔が、妖艶な"女"の表情へと変わっていく。


「ご、ゴメン……なさい……つい……」

「うふふ……もう、皮を被ってる必要はないんだよ……咲耶ちゃんも……花穂も……」


 その様子は、"妹のもの"とは思えない、色香の漂うもの。
 まるで、美しさという餌で獲物を魅了し……そして、自らの思うがままにしてしまう、美しい悪魔のよう……。


「さぁ……いつものように呼んでみて……咲耶」


 私の妹であるはずの彼女に、私よりも年下であるはずの彼女に、
 名前を呼び捨てられて尚、


「……花穂…お姉様」


 私は怒るどころか……ただその言葉に従うだけ……。
 『素敵な姉』。
 『頼れる姉』。
 そんなものとはまるで無縁の、弱々しい、まるで小動物のような私……。
 これが……本当の私……。


「うふふ……よくできました……」


 ゆっくりと私の背後に回りこみ、後ろから私の衣服の中に手を潜り込ませ、私の胸を力強く鷲掴みにする。


「は……ぅっ…!?」


 それは、彼女の隠している……本当の彼女……。
 私の……


「お姉……様……」












 いつも思う……、どうしてこうなったのだろう……と。
 いつもいつも……みんなに頼られるよう、立派な姉でいようと……そう気を張り詰めていた。
 でも、溜まったガスはどこかで抜かなくては、私と言う風船は壊れてしまう。


「可愛いよ……みんなの素敵なお姉ちゃまの咲耶ちゃん……」


 一番頼りがいのない彼女は……そんな私を応援してくれると言った。
 その言葉に……ほんの少しだけ甘えた。
 それがいけなかったのだろうか……?


「花穂なんかと違って……プロポーションも抜群で……モデルさんみたい……」


 本当の彼女に、本当の私を曝け出して……、
 それはいつの頃からか……まるで、坂を転がっていくように、堕ちて行くかのように……過ちを犯し……


「花穂が……咲耶ちゃんにこんなことしているからかな……?」

「ああンッ!」


 この、禁じられた快楽の闇の中へ……。


「お姉…っ……・さまぁ…………待っ………べん…きょう…は……?」


 彼女は元々私のように自分を隠していたのか、
 それとも、弱い本当の私が、彼女自身も知らない彼女の隠されていた"彼女"を目覚めさせてしまったのだろうか?


「お勉強? お勉強なら……もう始まってるじゃない」


 でも……






 ……ソンナコト……ドウデモイイ……。






「ふふふ……夜のお勉強会のはじまりだよ」


 世間一般では間違ったことかもしれないこの状況、
 私自身にとっては、これ以上ないくらい正しいことなのかもしれない……。


「おねえ……さま…ぁ……」


 だって私は……






 この状況を後悔したことなど、一度も無いのだから……。












「おねえ…さま…………待って……」


 私はみんなの前では一番の姉。
 でも……


「……今日もいっぱい愛してあ・げ・る」


 お姉様の前では弱いひとりの人間。
 いいえ……この可愛らしい外見とは裏腹に、艶かしい本性を持った悪魔の、どす黒くも美しい魅力に魅入られた、哀れな快楽の奴隷……。
 私は貴女に逆らえない……。


「……あっ…ン…っ! ま…まって…ぇ…!」


 同性同士だからとか、年齢がどうだとか、そんなものは関係ない。


「まだ……まだ、心の準備、が………ぁんっ……」


 だって、貴女は……私にとって、唯一の……


「もっとだよ、もっと……花穂の腕の中で踊って……」

「お、お姉様ぁぁぁ………あんっ! ……・ん…あ………はっ! ……ぅ……」


 しっかりしなくてはいけなかった、みんなを引っ張っていかなくてはならなかった、そんな私にとって、唯一の……












 ……お姉様……。






 ・

 ・

 ・

 ・

 ・
























「…………」


 と言う文章の書かれた原稿用紙を見つけた。
 ちなみに、この後かなりリアルな描写の18禁シーンが延々と繰り広げられている。


「さ、咲耶ちゃん!?」


 この部屋の主が私に気づき思わず名前を呼ぶ。


「……これは一体何かしら? ……鞠絵ちゃん」


 笑顔で尋問する。


「……その……趣味で書いてる小説…です」


 容疑者はゆっくりとそう白状する。


「で、何で私と花穂ちゃんが……?」


 更に突っ込む。


「…………い、意外性……」


 容疑者は、動機を告白。


「…………」

「…………」


 そして、検事と容疑者はお互い沈黙する。


「「あははははは……」」


 ふたりで意味もなく声をあげて笑った。


「すみませんでしたっ!」


 そう一言残し、鞠絵ちゃんはダッシュで逃げ出した。
 鞠絵ちゃん、ほんとに病弱なの?


「どうしたの? 鞠絵ちゃん、走ってどこか行っちゃったけど」


 原稿用紙の中の世界で私を弄んでいた妹が、そんなこととはつゆ知らず、いつも通りのほほんとした調子でやって来る。


「別に、ちょっと意外な悪事を見つけただけよ」

「……??」


 事情を知らない花穂ちゃんは、当然頭にハテナマークを出して首を傾げていた。


「ところで咲耶ちゃん、何持ってるの? 作文?」

「物的証拠」

「へ?」

「なんなら見てみる?」


 18歳未満の花穂ちゃんに原稿用紙を渡す。
 数秒後、花穂ちゃんはその内容にみるみると顔を赤くしていった。


「こ、これって……」

「鞠絵ちゃんの趣味で書いてる小説ですって! ……まったく、何考えてるのかしら……」


 大体あの子、18歳未満のはずなのにどうして18歳以上じゃなきゃ見ちゃいけない文を書けるの?
 ネットとかで忠告無視して大量に読み漁ったのかしら?
 大人しそうな顔してやるわね……。


「こ、これって、花穂と咲耶ちゃん……?」

「私達がモデルみたいね。でも、いくらなんでも実名使うことないでしょ! ……ったく」


 別に趣味がどうだとか言うつもりは…………いや、この場合は言った方が良いかもしれないけど……。
 とにかく鞠絵ちゃんには後でキツイお灸をすえておきましょう。


「私は体が弱いからって容赦しないわよ、手加減はするけど」

「そ、それってどういう意味……?」


 想像力豊かな妹の、ちょっと度の過ぎた悪ふざけに対して、
 「あの子は小さい頃から滅多に叱ることはなかったなぁ」と、
 これからの稀少な折檻タイムのことについて拳を鳴らしながら考える。
 そんな休日の午後の風景だった。
























「……でも、さすがにここまではやってないよね」

「ええ、ほんと過激よね」

「……ねぇ、今夜、これ試してみない?」

「ええ、もちろん大歓迎よ、お姉様


 私の年下のお姉様に、笑顔でそう言う。


「わ……! こ、こんなところでお姉様って呼ばないでよ! ば、バレちゃうじゃない……」

「大丈夫よ、誰もいないから ね、お姉様


 うふふっ……今夜は楽しい夜になりそうなヨ・カ・ン



 


あとがき

一度こういう一発ネタ的なバカ話を書いてみたかったんですが……失敗してる気が……(汗)
内容は中途半端なエロ……っていうか無理!
なりゅーにえっちぃモノは期待しないでください!
文章とか無理してるの分かるでしょう!?

キャスティングが花穂と咲耶なのは、まず咲耶の姉称(兄称の女性版)が"お姉様"だから。
花穂なのは隠れた本性が1番似合うのが花穂っぽかったから(笑)
雛子や亞里亞が攻めると、どうしても『幼さ故の無意識の攻め』しか想像できなくて……
花穂なら、ちょうどよく感じて……いえ、お兄ちゃまの方々ごめんなさい。
それともうひとつ、作中で鞠絵が言っているように意外性を狙ったつもりですが……あんまり意外じゃないですね(汗)
なんとなくそう感じました……。

短編として、短く簡単にササッと作るつもりだったんですが、なかなか先に進めず、
制作中断して、また作り始めるまでにかなり時間が掛かり、簡単ではあるもののササッとはいきませんでした(苦笑)
やっぱり、えっちぃ系は苦手です……。

しかし……年初めから何作ってるんでしょうね、なりゅーは(苦笑)


更新履歴

H16・1/3:完成
H16・1/4:脱字修正
H17・12/20:書式等大幅修正


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