その日、私は居間でテレビを見ていた。
居間には他にも鞠絵ちゃん、それとミカエルがいる。
鞠絵ちゃんは椅子に座って小説を、ミカエルはその傍らでお昼寝。

ふたりとも、それなりに有意義な時間を過ごしているようだった。

一方私は・・・どうもテレビで面白い番組をやっていないため、あまり有意義な時間を過ごしてるとは言えないわね・・・。

「どこかに出かけようかしら・・・」

丁度そんなことを考えていると、玄関に繋がるドアの向こうから会話のような音が聞こえてきた。
そしてその直後に、そのドアの向こう側に人影が見え、ドアが開いた。

「も〜、衛ちゃんはドジだなぁ」
「あ、それは花穂ちゃんに言われたくないよぉ」

人影は外に遊びに行ったはずの衛ちゃんと花穂ちゃんで、ふたりはそんな会話をしながら居間へと入って来た。

「ううん、花穂ちゃんになら・・・ボク、何を言われても・・・」

衛ちゃんが顔を赤くしてなんか呟いているけどよく聞こえないわ。

「おかえり。 どうかしたの?」

私がそう聞くと衛ちゃんがちょっと気恥ずかしそうにこう言う。

「あ、咲耶ちゃん。 うん、実はね・・・ズボンが・・・」
「ズボン?」
「破けちゃったの」

なんとなく言い辛そうな衛ちゃんに変わって花穂ちゃんが答えた。

「また破いちゃったの?」

すると、いつの間にかふたりのうしろに居た可憐ちゃんがやれやれと言った感じでそう漏らす。

「あ、可憐ちゃん。 ゴメンね・・・」
「衛ちゃん、いっぱい動くから、よくお洋服が破れちゃって、」

一旦そこで言葉を切って、持っていた洋服を広げて続きを言った。

「ほら、さっき取り込んだお洗濯物にも!」

それを見せられて、衛ちゃんはちょっと苦笑気味だった。

「服が破けるほど動き回れる・・・。 ・・・羨ましいです・・・」
「「「「・・・・・・」」」」

突然会話に割り込んできた鞠絵ちゃんの声がその場を静寂にした。

「あ・・・あの、鞠絵ちゃん・・・お裁縫頼める?」

その静寂の中に居たくなかったのか、可憐ちゃんがそう言った。

「別に構いませんよ。 ・・・・・・思いっきり動くこともままならないわたくしには・・・それくらいしか・・・」
「「「「・・・・・・」」」」

・・・可憐ちゃんの足掻きは逆効果に終わった。











 

咲耶ちゃんがケガをしました













「すごい・・・」「うまい・・・」

テレビに飽き、しばらくミカエルの相手をしていると、
ソファの鞠絵ちゃんの裁縫を覗いている衛ちゃんと花穂ちゃんが同時にそんな声をあげたのが耳に入った。

「はい、できましたよ」

そのすぐ後に鞠絵ちゃんのそう言う声が聞こえてきた。
つまりふたりは鞠絵ちゃんの裁縫の腕を褒めていたわけだ。

「あ、あのさ・・・今ボクがはいているのも頼める?」
「ええ、構いませんよ。 あ、じゃあ丁度縫い終わったこれをはいていてください」
「うん」

そう言って衛ちゃんは今はいているズボンをその場で脱いで着替え始めた。

「衛ちゃん、女の子なんだからそう言うとこ気をつけなきゃダメよ」
「え? あ、ゴメン」

まったく・・・男の子みたいにズボラなんだから。

「ただいまー」
「ただいまデスー」

衛ちゃんが丁度ズボンをはき終えてすぐに居間のドアが再び開き、今度は買い物に出ていた鈴凛ちゃん、四葉ちゃんの両名がそのドアから出てきた。
私を含めたその場に居る全員、そしてミカエルまでもが、ふたりに「おかえり」と言って迎えた。

「なにしてるの?」

裁縫をしている鞠絵ちゃんの方向を見て鈴凛ちゃんが荷物を持ったまま聞く。

「あのね、これはね、衛ちゃんったら今日はしゃぎ過ぎちゃって、それで枝にズボン引っ掻けて破いちゃったの」

鈴凛ちゃんの質問には花穂ちゃんが答えた。
私がそれに付け足すように鞠絵ちゃんがそこを縫ってあげている、と続けて言った。

「にしても鞠絵ちゃん上手いね」

するとまた衛ちゃんが鞠絵ちゃんを褒めていた。

「そんな事ありませんよ。 あ、はい、出来ましたよ」
「あ、ありがとう鞠絵ちゃん!」

鞠絵ちゃんはまた縫い終わったらしく、ズボンを持ち主である衛ちゃんに手渡してた。
さっきからあまり時間が経っていないはずなのにもう縫い終わったのか、と私は無言で驚いていた。

「すごい・・・凄く綺麗に縫えてますね」
「うん、花穂だったらこんなに上手くできないよ」

衛ちゃんが受け取ったズボンを横から見ながら可憐ちゃんと花穂ちゃんがそう話していた。

「そうなの? ちょっと見せて」

あまりにもみんなが褒めるものだから、どのくらいのできか、ちょっと気になった。
私は鞠絵ちゃんの縫ったズボンを見せて貰おうと、衛ちゃんの持っているズボンへと手を伸ばす。

「どれどれ・・・」

現物を見て驚いた。
鞠絵ちゃんの縫ったズボンはそれくらい綺麗だと思えたからだ。

「・・・ほんと、凄く細かいわ。 これなら鞠絵ちゃん良い奥さんになれるわよ」

思わずそうやって褒めてしまった。
しかし、それは私の正直な気持ちでもあった。

「え!? そ、そんな・・・」

奥さん、と言うワードに反応したのか、鞠絵ちゃんは顔を赤くして下を向いて照れてしまっていた。

「だったら花穂はいいお嫁さんになれないのかなぁ?」

花穂ちゃんが心配そうにそう呟いた。

「あ、そう言う意味で言ったつもりじゃないのよ」

花穂ちゃんは、ちょっと不器用な子だ。
だから『鞠絵ちゃんのように器用に縫えない=自分はいい嫁になれない』と言う考えに至ってしまったのだろう。
私自身そう言う意味で言った訳ではないのだけど、少し誤解させてしまったようだ。

「そうだよ、別にお裁縫ができなくても花穂ちゃんは可愛いから大丈夫だよ」

私に続いて衛ちゃんもそうフォローしてた。

「そ、それにさ・・・ボ、ボクは・・・別にそんな事、全然気にしたりしないから・・・花穂ちゃんは安心して・・・」

・・・・・・。

ちょっとマテ、それは一体どう言う意味だ?

「咲耶ちゃんはお裁縫ができるお嫁・・・じゃなくてお婿さんの方がいいんですか?」
「え?」

横から可憐ちゃんが私の方向を見てそう聞いてきた。

しかし・・・普通はお嫁さんとお婿さんを間違えると言う事はないと思うのだけど・・・。
・・・でも、それには理由があった。
そして、それは私に大いに関係のあることなのだ。

「そうねぇ・・・別にどっちでもいいわ」

私は可憐ちゃんの問にまず、そう答えた。
そして、誰にも聞こえないよう可憐ちゃんの耳元に囁くような声で続きを言った。

「・・・可憐ちゃんならね」
「!!!!?!?!」

可憐ちゃんは声を出さずに・・・いえ、声も出せないくらいビックリしたらしく顔を真っ赤にしてしまっていた。
それは“照れ”と“喜び”で・・・。

・・・しかし、普通、姉にそんなことを言われてそう言う反応をするのはおかしい。
そう言う反応は、大抵、自分と付き合っている男性、もしくは自分の憧れの男性に対してするものだ。

しかし、可憐ちゃんは姉である・・・女性である私に対してそう言う反応をした。

そう・・・

私と可憐ちゃんは、実は付き合っているのだ。
いえ、それどころか・・・その、婚約までしている・・・って、きゃーーーっvv
もうっv なに言わせるのよぉっvv
・・・っと、ごめんなさい、取り乱したわ・・・。

私も可憐ちゃんも、それが“イケナイ関係”と知りつつもそれをやっている。
だって・・・私は可憐ちゃんのことがそれくらい好きで・・・可憐ちゃんも・・・私のことを・・・。

だから、さっき可憐ちゃんが私に対して“お婿さん”とは言わず“お嫁さん”と言いかけたのは、私の相手を自分と想定して聞いたからだと思う。






「でも鞠絵ちゃんの恋人になれる人って幸せ者よね」

私には可憐が居るけど・・・v

「いや〜、そんな〜」

・・・・・・。

「・・・なんで鈴凛ちゃんが照れるのよ?」
「え! いや、な、なんでも・・・」

・・・最近、鈴凛ちゃんは鞠絵ちゃんと仲がいいって、そう思っていたけど・・・
まさか鈴凛ちゃんも私と可憐みたいにッ!?

いや、いくらなんでもそれは・・・。

だって姉妹で愛し合うってことは、つまり同性で血の繋がりのあるもの同士で愛し合う“イケナイ関係”ってことで・・・
いや、血縁は微妙だけど・・・
でもそんなディープな関係、そうそうあるもんじゃ・・・

「ああ、それはデスね、鈴凛ちゃんは既に鞠絵ちゃんのこ・・・」


    ガスッ


「チェキィッ!?」
「・・・ゴメン四葉ちゃん、手が滑った・・・」

鈴凛ちゃんが四葉ちゃんにそう言ってドツいてしまってた。

・・・・・・。

今、四葉ちゃんなんて言おうとしたの?


 鈴凛ちゃんは既に鞠絵ちゃんのこ・・・。

 鞠絵ちゃんのこ・・・。

 鞠絵ちゃんのこ・・・いびと・・・。

 “鞠絵ちゃんの恋人”


・・・・・・。

い、いえ、そんなはずは・・・っ!

「もう、鈴凛ちゃんったら、そそっかしいわね」

そんなことを考えてたなんて知られたら、鈴凛ちゃんに失礼よ。
それに、最悪『私がそうだから』と言う理由で想像したとバレ兼ねないし・・・。
だから悟られないように、至って平静を装って鈴凛ちゃんにこう言った。

・・・だから、四葉ちゃんの口を止めるためにワザとドツいたように見えたのも気のせいよね・・・。

「そんなんじゃいつまで経っても恋人の一人もできないわよ」

平静に平静に・・・。

私がそう努めていると花穂ちゃんが、

「それは大丈夫だよ、だって鈴凛ちゃんはもう鞠絵ちゃんと・・・」
「ミカエル・・・」
「バウッ」


    どしっ


「きゃあっ!」

突然ミカエルが花穂ちゃんの上にのしかかった。

「花穂ちゃん!?」
「あらあら、ミカエルったら急にどうしたんですか?」

鞠絵ちゃんが心配そうにミカエルにのしかかられた花穂ちゃんを心配そうにそう言う。
・・・って言うか鞠絵ちゃん、今ミカエルに合図出さなかったっ!?

「ちょっと大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ、咲耶ちゃん・・・」

・・・って言うか花穂ちゃん、あなた今なんて言おうとしたのっ!?


 鈴凛ちゃんはもう鞠絵ちゃんと・・・?

 鞠絵ちゃんと・・・!?


・・・・・・。

そんなはずないそんなはずない・・・
私達以外にそんな・・・

「咲耶ちゃん・・・どうかしたんですか?」

苦悩する私にやさしく語りかけてくれる可憐ちゃん。

「なんでも・・・ないわ・・・」

私がそう思い悩んでいるうちに、何だかよく分からないけど鞠絵ちゃん、花穂ちゃん、鈴凛ちゃん、四葉ちゃんの4名はそのままラボへ向かって行ってた。

「私・・・ちょっと風に当たりに・・・庭の方に行ってくる・・・」

風に当たって、少し頭を冷やそう・・・。
























 「はぁっ! やあぁぁっ!」

     ビシッ


頭を冷やしに庭へ出た。
正しくは庭に出た、ではなく庭と家の境に座って風を浴びていた。

庭の中の方で春歌ちゃんは薙刀の練習をしていた。
お稽古以外で特訓なんて・・・我が妹ながら感心するわ。


 『ピー・・・ガガ・・・』


     ぶんっ


 「甘いっ!」



そしてその相手は、鈴凛ちゃんの作った春歌ちゃんの修行相手君1号。

・・・相変わらずセンスのない、聞いただけで用途が分かるネーミングね・・・。

「風が気持ちいい・・・」

春の涼しい風に頭を冷やしながら、そんな言葉を口からこぼした。

ふたりの妹が・・・最近仲がいいから・・・だから愛し合っているですって・・・?

「まさか・・・そんな特殊な事例な訳・・・」

・・・いや、私はそうなんだけど・・・。
でも、だからこそ、そんな特殊な恋愛がそうそうあるなんてこと・・・

「春歌ちゃん・・・頑張ってるね・・・」

いつの間にか、私の後ろには私の特殊な恋愛相手が立っていた。

「可憐ちゃん・・・」
「心配事があるなら・・・可憐が相談に乗りますよ。 何でも相談してください・・・」

私の横に動いて、そこにそっと座る。

「でもね・・・」

自分がそうだから、自分の妹達まで同じ趣味を持っているなんて、しかも同性愛と近親愛(微妙)と言う禁断の関係だなんて考えていたこと・・・

「だって・・・だって可憐・・・咲耶ちゃんの・・・お嫁さんになるんだから・・・」
「相談させて可憐ちゃんっ!!」

・・・可憐ちゃんの“お嫁さん”と言う言葉に速攻反応してしまった。


 「めぇーーーんっっ!!」


     バッシーン


 『がッ・・・ピー・・・』


庭では春歌ちゃんが春歌ちゃんの修行相手君の頭に見事な面を喰らわせていた。












私は鞠絵ちゃんと鈴凛ちゃんが私たちと同じ“イケナイ関係”では、と考えてると言うことを可憐ちゃんに話した。
やはり自分の嫁(予定)に隠し事は良くないからねv

それに私は、隠し事のない夫婦(?)関係を築いていきたいし・・・。

「可憐、それはないと思うな・・・」
「え?」

私が考えていた事を言い終えると、それに対する可憐ちゃんの答えはそれだった。


 「ご苦労様でした、ワタクシの修行相手君」
 『が・・・ぴー・・・ガ・・・』



奥では、春歌ちゃんが春歌ちゃんの修行相手君に礼をしていた。


「なんて言うか・・・可憐、これでも自分が特別だって思っているから」
「特別?」
「あ、特別って自分が特別優れているっと思ってるって意味じゃなくて・・・えっと・・・」

確かに今の台詞はそんな誤解を招きそうだった。
可憐ちゃんは焦って自分の言葉の補足をしようとするが、いい言葉が思いつかない感じでちょっと戸惑っていた。

ああっ! 可愛いっっvv

「いいのよ、分かってるから」

困っている可憐ちゃんの頭の上にぽんと軽く手を乗せる。

「それに、訂正する必要もないわ」
「・・・え?」
「言ったでしょ・・・もう、私には可憐ちゃんが特別だ・・・って」
「あ・・・」

乗せていた手を下ろす。


 「あら? ワタクシの修行相手君、どこに行くのですか?」
 『ピー・・・がガ・・・』


「可憐ちゃん・・・」

私はじっと可憐ちゃんの目を見つめた。

「咲耶ちゃん・・・」

可憐ちゃんも私の目を見つめ返してきた。

『が・・・ピー・・・』

そのすぐ横で、春歌ちゃんの修行相手を務めていた春歌ちゃんの修行相手君が、私達の事をじっと見ていた。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

・・・何故?


    バぁーンッ


「あ・・・ぶな・・・」

春歌ちゃんの修行相手君は、いきなり私と可憐ちゃんの丁度真ん中の空間にその薙刀のデザインをした手を振り下ろしてきた。

『ガガ・・・ぴー・・・ガ・・・ピー』

なんだか春歌ちゃんの修行相手君の様子が変・・・。

『ピー・・・が・・・が・・・』

首(?)を少しだけ横に動かした春歌ちゃんの修行相手君の視線(?)の先には、可憐ちゃんが居た。
そしておもむろに薙刀とひとつのその手を振り上げる。

『がガ・・・が・・・ピー・・・』

まさか・・・可憐ちゃんを狙ってる!?

「きゃああああっっ・・・」
「可憐ッ!!」


    バシーンっ


「・・・痛っ・・・・・・」
「咲耶ちゃん!?」

私は咄嗟に可憐ちゃんの前に立ち、両手を頭の上で交差させ、可憐ちゃんに襲いかかろうとしていた春歌ちゃんの修行相手君の薙刀の手を受け止めた。

「逃げなさい・・・」
「・・・え?」
「こいつは可憐ちゃんを狙ってる・・・だから・・・!」
「で、でも・・・」
「いいからっ!!」

私が怒鳴るようにそう言うと、可憐ちゃんは言う通りに家の中に避難していってくれた

『が・・・ピー・・・』


    バシぃッ


「あ痛ぁッ!!」

可憐ちゃんにばかり気をかけていたため、迂闊にも、振り下ろされた春歌ちゃんの修行相手君の右腕を、左手に浴びてしまった。

「咲耶ちゃんっ!?」
「いいから行きなさいっ!!」

痛みなんかどうでもよかった。
それよりも可憐ちゃんの身の方が・・・。

「可憐は・・・」

私の愛した彼女は・・・

「可憐は私が守るっ!!」

例え何があってもっ!

「来いッ! ガラクタッ!!」
『ぴー・・・ガガガ・・・』
























「大丈夫ですか?」

鞠絵ちゃんが私に包帯を巻きながら聞く。

「ええ、なんとか・・・」

体の所々に痛みを感じてはいるものの私はそう返した。

「鈴凛ちゃん、一体何があったのでしょうか?」
「・・・う〜ん、どこかで攻撃目標が春歌ちゃんから可憐ちゃんになったみたい」

庭の真ん中辺りで、鈴凛ちゃんと春歌ちゃんが、
機能を強制停止させられて地面に横たわっている春歌ちゃんの修行相手君を調べながらそう話していた。

「上手くいったと思ったんだけどなぁ〜。 また失敗かぁ・・・」
「まったく、作るならしっかりしたもの作りなさいよ! ・・・痛ッ・・・!」
「あ、動かないでください」

さっき、私は可憐ちゃんを逃がすため必死で春歌ちゃんの修行相手君に戦いを挑んだ。

戦っている間のことは、もう無我夢中だったからよく覚えていない。
ただ、気づいたら春歌ちゃんの修行相手君は地面に倒れていて、可憐ちゃんが鈴凛ちゃん達を連れて戻ってきていた。






「咲耶ちゃん・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、これくらいなんとも・・・」

私には可憐ちゃんに怪我がなければあとはどうでもよかった。
そして、それは自分のことさえも・・・。

「まったく、咲耶ちゃんは無茶苦茶ですよ。 相手は武器を持っているんですよ」

そんな私に春歌ちゃんは呆れ顔でそう言う。
まぁ、正確には持っている、と言うよりは手と一体化しているデザインね。

「しかもワタクシの薙刀の相手を務めていたのに・・・それを素手で相手しようだなんて・・・」

確かに、冷静に見てみれば無謀だったかもしれない。
なんせあの春歌ちゃんの相手を務める相手に向かって、しかも丸腰で挑んだんだから。

でも、結果的には私は勝ってしまった。

きっと可憐を想う私の“ラブの力”が奇跡を呼んだのねv

「チェキ〜、咲耶ちゃんはやっぱり恐いデス・・・」
「うっさいわね、こっちだって必死だったんだから!」

って言うか“やっぱり”って何よ!?

「あ、鞠絵ちゃん、後は可憐が代わります」

可憐ちゃんが、鞠絵ちゃんから私に包帯を巻く役を変わってもらおうとそんなことを言っていた。
その言葉に私は心の中でガッツポーズをとった。
だって可憐ちゃんの介抱を受けれるのよ!
って言うか鞠絵ちゃん、譲らなかったら例え病弱体質でも容赦しないわよッ!!(←鬼)

「そうですか。 じゃあ、お願いしますね」
「はい」

鞠絵ちゃん、正しい判断よ・・・命拾いしたわね・・・。(←悪魔)

鞠絵ちゃんは持っていた包帯を可憐ちゃんに渡し、私の隣のスペースを可憐ちゃんに譲った。

ああ、私は可憐ちゃんの介抱を受けれるのね・・・。
・・・幸せv

「・・・ところで咲耶ちゃんの怪我、どうですか?」

心配そうな顔で可憐ちゃんが聞く。
さすがは私の看護婦さんね、気が利くわv

「そうですね・・・ 全身に軽い打撲とかがありますけど傷が残ったりはしないと思いますよ」
「そうなんだ・・・良かった・・・」

それを聞いて、可憐ちゃんは安心した顔になった。
私も内心安心した。
だって私の体に傷でも残ったらそれこそ大変だし・・・何より可憐ちゃんの安心した顔が見れたんだから・・・。

「ただ、両手は手首を捻挫してたり 少し強め打撲などがありますから・・・しばらく使えそうに無いですね・・・」

・・・・・・。

「「えッ!?」」

私は可憐ちゃんと同時に驚いた。

今、鞠絵ちゃんは何て言ったの!?






 『ただ、両手は手首を捻挫してたり 少し強め打撲などがありますから・・・しばらく使えそうに無いですね・・・』

 『両手は・・・しばらく使えそうに無いですね・・・』?

 『両手はしばらく使えそうに無い』っ!?






「それほんとッ!?」「ほ、本当ですか!?」

鞠絵ちゃんに可憐ちゃんと同時に聞き返した。

「え・・・、え、ええ・・・」

私の頭には、この前鈴凛ちゃんが怪我した時の可憐ちゃんの台詞が蘇ってきてた。
きっと可憐ちゃんも同じ事を思い出しているだろう



 『だったら可憐、咲耶ちゃんが怪我したら思いっきり看護しちゃいます!』



新婚さんいらっしゃーいっ!!(←壊れた)

もう頭の中では、手を取り合っている私と可憐ちゃんの上で、ウェディングベルが上から落っこちんばかりに激しく揺れて鳴っていた!

「・・・にしても咲耶ちゃんついてないね・・・。 アタシも前に両手怪我して散々な目に遭ったから・・・ ちょっと他人事とは思えないよ・・・」

怪我した鈴凛ちゃんは心配そうにそう言うけど・・・ついていない?
いいえ、これは私にとって幸福への階段っ!!

・・・とは言え、こんなことで喜んでいたらおかしく思われるわね・・・。
まぁ、可憐ちゃんと婚約している時点で“おかしい”なんだろうけど・・・。

とりあえず不憫そうな演技でもしておくことにした。

「そ、そうね・・・! ついてないわね・・・!」
「そうですね! 大変ですね!」

可憐ちゃんも私と同じ考えなのか私に続いてそう言った。
けど、可憐ちゃんは演技しきれずに顔がにやけていた。
・・・正直、私もにやけていない自信はない。

だってもうすぐ至福の時がくるんだものvv

怪我をしたにもかかわらず、有頂天になった私の頭の中には、既に様々なワードが飛び交っていた。





 可憐ちゃんの看護

 新婚さんいらっしゃい



「でも良く鈴凛ちゃんのメカを倒せましたね・・・」


 夢の新婚生活予行練習

 新番組『新妻可憐』



「それはもちろんラブの力よッ!」


 新連載『可憐、看護士希望v』

 2号連続読み切り『愛の看護』

 全米が泣いた、映画『Sister’s Love』


「さ、咲耶ちゃん・・・」
「ん?」

可憐ちゃんがなんか焦り気味に私を・・・

・・・あっ! や、ヤバッ!!

私、変な想像してて、つい鞠絵ちゃんの質問にさっき思った通りの答えをそのまんま言っちゃってたわ!
・・・うあ・・・みんなに白い目で見られている・・・気がする・・・。

「あ・・・、いや、違うの・・・その・・・」

な、何とか誤魔化さなきゃ・・・

「ご、誤解しないで! “家族愛”よ、“家族愛”!!」
「え・・・、あ、ああ、そう言う事でしたか」

春歌ちゃんは納得したようにそう言った。
同時に他の子にも目をやると、強ばっていた表情が緩み、何か安心したような表情に戻っていた。

ふぅ・・・何とか誤魔化せたみたいね・・・。

「なんだぁ〜、花穂てっきり鞠絵ちゃんと鈴凛ちゃ「チェキィィィッッ!?!??」

花穂ちゃんの発言を遮るように突然、四葉ちゃんが大声で叫び声を上げてた。

・・・って言うか花穂ちゃん!
あなたはまた鞠絵ちゃんと鈴凛ちゃんがどうだとか言おうとしなかった!?

「!? どうしたの四葉ちゃん!?」

しかし四葉ちゃんも四葉ちゃんで倒れこんでしまった。
あ〜、なんだかさっきから気になることが出てきたり、うっかりミスを誤魔化したりで、どう対応すればいいんだか分かんなくなる・・・!

「ちょっと四葉ちゃん、何? いきなり叫んで・・・」

とにかく、まず四葉ちゃんを心配しよう。
こんなのでも一応妹だし、例え可憐に注ぐ愛情のン分の1しか愛がなくても、いっつもチェキチェキ言ってやかましくても。

「一体どうなさったのですか?」
「四葉ちゃん?」

私に続いて、可憐ちゃんと春歌ちゃんも心配そうに声をかけていた。

「あのさ、咲耶ちゃん両手が使えなくて不便でしょ? ちょっと待ってて今いい物持って来るから」

鈴凛ちゃんはそんな四葉ちゃんに構わずそんなことを・・・って、薄情なヤツね。
・・・いや、私のことを心配しているんだから薄情じゃないのかしら?

あ〜、ただでさえ分からなくなっているのに余計こんがらがること言わないでよ・・・!

・・・マッテクダサイ・・・

あ、四葉ちゃんが起きた。

四葉モ・・・行キマス・・・

・・・・・・。

・・・鞠絵チャンモ・・・一緒ニ・・・来テクダサイ・・・

・・・四葉ちゃん、なんだかゾンビみたい・・・。

しかもなぜか香ばしいニオイがするし・・・。
























鈴凛ちゃん達がラボへ向かい、私、可憐ちゃん、春歌ちゃん、花穂ちゃんが庭に残された。


花穂ちゃんは、さっきも鞠絵ちゃんと鈴凛ちゃんの“何か”を言おうとしてた。
きっと何か知っているはず・・・。

(ちょっと聞いてみようかしら・・・)

それに花穂ちゃんドジだからすぐに口を滑らすだろうし・・・

「ねぇ、花穂ちゃん」
「え、なに?」
「鞠絵ちゃんと鈴凛ちゃん・・・最近仲良いと思わない?」
「う、うん、そうだね」
「あ、それは確かに・・・それはワタクシも思っていましたわ」

私の質問に春歌ちゃんも反応する。

「なんかあったのかしらね?」
「咲耶ちゃん!」

私の言葉に、可憐ちゃんが何かを戒めるように私の名前を呼んだ。
きっと、可憐ちゃんにはさっきまで私が思っていたことを話していたので、私がどう言う意図で聞いたか分かっているからだろう。

「・・・べべ、別に何もないと思うよ・・・」

・・・・・・。

その反応は何かあんのか!?

「あ、あのさ、鈴凛ちゃんって元々周りを楽しくしてくれるって感じじゃない」
「私には金喰い虫の機械一筋人間にしか見えないわ」
「咲耶ちゃん・・・それはちょっと・・・」

私の発言に今度は苦笑気味になる可憐ちゃん。

「それはそうかもしれませんね」
「どっちが?」

春歌ちゃんの“そう”が、花穂ちゃんの意見になのか私の意見になのか聞く。

「どっち、って・・・・・・両方、ですね・・・」

春歌ちゃんも苦笑気味になって答えた。

「それに、鞠絵ちゃんずっと療養所でひとりだったじゃない。 だから・・・」

花穂ちゃんが自分の意見の続きを再び話しはじめた。

「だから?」
「だから、寂しかったと思うよ・・・」
「・・・・・・」
「花穂ね・・・鈴凛ちゃんが鞠絵ちゃんに“楽しい”を分けてあげてるんだと思うの。
 だから鞠絵ちゃん、そんな鈴凛ちゃんのことが好きなんだよ」

・・・鈴凛ちゃんのことが好き、ねぇ・・・。

「世の中には物好きもいるのね」
「咲耶ちゃん・・・鈴凛ちゃんのこと嫌いなの・・・?」

可憐ちゃんがまたも苦笑しながら私に言う。

「でも・・・最近仲がいい理由としては納得できるわ・・・」
「そうですね・・・ワタクシもそう思います」
「可憐も・・・花穂ちゃんの言うとおりだと思うな・・・」

花穂ちゃんの意見に、3人揃って納得してた。

「うん! じゃないと恋び―――ひゃぁぁあっ!!?」
「え!?」

突然、花穂ちゃんの体がビクッっと跳ねた。

「ど、どうしたの?」
「え、あの・・・う、ううん、なんでもないの・・・」

花穂ちゃんは右手を顔の前までもってきて、手首をじっと見つめていた・・・って、あら?

「花穂ちゃん良いブレスレットしてるわね」

花穂ちゃんの右手首にはおしゃれなブレスレットがはめられていた。

「え!?」
「どこで買ったの?」
「え・・・えっと・・・あ、あのね、これは・・・その・・・貰い物だから花穂、よく分かんないや・・・えへへ・・・」

花穂ちゃんは、両手を後ろに回して、気のせいか無理矢理作ったような笑顔でそう言ってた。

「・・・り、鈴凛ちゃん・・・どこかで見てるの・・・?」

花穂ちゃんがきょろきょろと周りを見回しながら何かを呟いていた。

「それで、今何言おうとしたの?」
「え?」
「花穂ちゃん、今なんか言おうとしたでしょ? ブレスレットの話になる前」
「え・・・っとぉ・・・だ、だからね、鞠絵ちゃんが最近そんな鈴凛ちゃんの近くにいるから、それで仲良く見えるんじゃないかな、って言おうとしたの」

なんだかさっき言おうとしたことと違ってるような気がした。

「ほら・・・やっぱり、可憐達とは違うんじゃないの?」

可憐ちゃんが、小声で私にだけ聞こえるようにそう言う。

「う〜ん・・・そうねぇ・・・。 ただ仲良しになった、ってだけなのかしらね・・・」
「多分、鞠絵ちゃん、今まで寂しかったから・・・だから、ちょっとだけくっつき過ぎてる、ってだけなんじゃないかな?」
「・・・そう、ね。 ・・・うん、きっとそうよ・・・」

どうやら、鞠絵ちゃんと鈴凛ちゃんのことは私の考え過ぎだったみたいね。

「ふたりとも、何を話してるんですか?」
「なんでもないわ」
























「はい」

鈴凛ちゃん達がラボから戻ると、鈴凛ちゃんは早速私に“いいもの”を差し出す。
見た目はオモチャみたいで掃除機にホースが付いてない感じのメカ。

「・・・・・・なにこれ?」
「両手が使えなくても安心君3号」

・・・メカの名前ですぐに使用目的が分かった。

「これで両手が使えない咲耶ちゃんも安心だよ」

自信満々にそう言う。
さすがに転んでもただでは起きないわね・・・。
自分が怪我した時の教訓をきちんと生かしてるわ・・・。

「そうね・・・・・・どうもありがとう!(怒)」

一応礼を言っておいた。

例え可憐ちゃんのラブリー看護婦を台無しにされてムカついていても!
言葉に怒りを込めずにはいられないとしても!

「鈴凛ちゃんのばか・・・」

可憐ちゃんが、こっそりそう言っているのが耳に入った。
























私と可憐ちゃんは、鞠絵ちゃん達4人で庭から春歌ちゃんの修行相手君をラボまで運ぶのを見送りながら、居間に戻った。
その時、あまり体が丈夫ではない鞠絵ちゃんが手伝っていたから、少し心配だと思った。
でも、鈴凛ちゃん・・・鞠絵ちゃんになんか言われて赤くなってたみたいだけど・・・何言われたのかしら?


    うぃーん


一方、“鼻なし掃除機”こと両手が使えなくても安心君は機械らしい音を出して私の側に仕えていた。

「両手が使えなくても安心君、ねぇ・・・」
「これ、うまく動くのかな?」

私の横を歩きながら可憐ちゃんがそう口にしてた。

そうよ、これは鈴凛ちゃんの作ったメカ。
つまり失敗してない保証はない。

これがもし失敗していたら、今度こそ、“可憐の愛の看護”が受けられるっ!!












「まぁ、便利だことっ!!(怒)」

トイレと居間を繋げる通路で声に出して言った。

見事に成功品ですか!?
しばらく使用して、喉が渇いた時、テレビのチャンネルを変えたい時、トイレのドアを開ける、などの対応はそれなりにできていた。

「可憐・・・咲耶ちゃんのこと、看護できなくなっちゃった・・・」

“鼻なし掃除機”がきちんと動かなかった時のために、私について来ていた可憐ちゃんが悲しそうにそう口から漏らしていた。

ああ、なんてことなの!

私は怪我してるって言うのに!
しかも都合良く両手を!

そして、可憐ちゃんも私の看護をしたがってるって言うのに!
私も可憐に看護されたいって言うのにっ!!


    うぃーん


こいつが全てを無に返しやがるっ!!

「鈴凛ちゃん・・・ほんとロクなモン作らないわね・・・」

成功しても、失敗しても迷惑かけてる・・・。

・・・・・・。

「ねぇ・・・可憐ちゃん・・・」
「なんですか? 咲耶ちゃん」
「これ・・・本当に完成品かしら?」
「え?」

可憐ちゃんはうーんと軽く声を出し、少しの間考えたあとにこう意見する。

「・・・そう、なんじゃないかな? だって、きちんと役に立っているし」
「ええ・・・確かにね。 でも・・・」

足のももを上げ、


    ズドォンッ


思いっきり踏みつけた。

「ささ、咲耶ちゃんっ!??」

可憐ちゃんが、私の突然の行動に驚きを隠せずにいた。
私は、そんな可憐ちゃんに片方の目をウィンクしながら、

「やっぱり、耐久性に問題アリねv」

両手が使えなくても安心君は私の足の下で見事にぺちゃんこに潰れていた。

「咲耶ちゃんはこわいの・・・くすん」

・・・・・・。

そんな様子を亞里亞ちゃんに見られた。












「咲耶ちゃんはこわい・・・咲耶ちゃんはこわいの」

亞里亞ちゃんはすっかり怯えてしまっていた。

「四葉ちゃんが言ってたとおりなの・・・」

何言ったか知らないけど四葉ちゃんはあとでお仕置きね。

「亞里亞ちゃん、あのね、咲耶ちゃんは怖くなんかないんだよ」

どうやら可憐ちゃんは私が悪く言われるのはどうも嫌みたい。
・・・ま、それほど私のことが好きってことなんでしょうけど・・・なんかちょっと照れるわね・・・。

「でも〜・・・」
「怖いなんて・・・むしろ素敵だよ! 素敵って言うか素敵過ぎ!」

可憐ちゃんは目をキラキラさせて、

「綺麗だし、かっこいいし、勉強も運動も何でもできるし、理想のお姉ちゃんだし、

と言うより軽く目の色を変えながら、鼻息を荒くして、

もうね、お嫁さんにしてもらえるんだったら何でもしたくなるような・・・
「可憐ちゃん、こそばゆいしバレちゃうからそこらへんで止めてね」












「・・・くすん」

なんだか亞里亞ちゃんは未だに納得していない様子でいた。


    からん


「ん?」

歩いていた私の足に何かが当たる感覚があって、そのあとで転がるような軽い音が聞こえてきた。

「これは・・・?」

足元に目をやると赤いスイッチのようなモノが転がっていた。

「・・・・・・」

その音が聞こえたから目を向けたんだろう亞里亞ちゃんは、そのスイッチをじーっと凝視していた。

「亞里亞ちゃんどうしたの?」
「・・・亞里亞・・・これ欲しい・・・」

私にはどう見てもガラクタ・・・・・・ってことは鈴凛ちゃんの発明ね。(←酷)
それにしても、こんなものを欲しがるなんて・・・子供って良く分からないわね・・・。

「欲しいならあげるわよ」
「え!?」

と言っても元々私のものじゃないし。

「いいの?」
「ええ」

まぁ、こんなところで転がっているんだからきっと大した物じゃないんだろうし、
そんな大した物じゃないものの第一発見者は私だから、これは私のものね。(←自分勝手)

「咲耶ちゃん、そんなこと勝手に言っていいの?」
「ん?」
「だってこれ・・・どう考えても鈴凛ちゃんの・・・」
「いーのいーの、どうせ大したモンじゃないんだから」
「でも・・・」
「大丈夫だって。 別に家族がひとり減るわけでもあるまいし」

一方、亞里亞ちゃんは謎の赤いスイッチを一回一回押して遊んで(?)いた。

「亞里亞・・・いいもの貰ったの・・・・・・くすくす」

亞里亞ちゃんの表情は、怯えていたそれから笑顔へと姿を変えていた。

「ありがとう・・・咲耶ちゃん。 咲耶ちゃんは・・・本当は“すてき”だったの」
「でしょv」

可憐ちゃんが即答で反応。
























「あー、やることないわねぇ・・・」

確かに両手が使えないと不便だ。
やることがない。

スクラップ(両手が使えなくても安心君)が健在だとしても、やっぱり完全ではなかったし・・・。
例えば勉強するにしても、自分の手を使うわけじゃないから無意味だろうし・・・。
結局、機能については必要最低限を満たしているといった感じだった。

もっとも、モニタリングの途中、両手が使えなくても安心君は不慮の事故(断言)により壊れてしまったから、
最低限も満たせていたかどうかは定かではないけど・・・。

ふと時計に目をやる。
夕食まではまだ時間があった。
ソファに座って退屈な時を過ごす。

「咲耶ちゃん、手、痛くありませんか?」
「ええ、大丈夫よ」

可憐ちゃんの看護つきでv
そうよ!
私には可憐ちゃんがいるだけで、どんな退屈な時間も素敵なハッピータイムに変わるじゃないのvv

「くすくす・・・」

・・・まぁ、亞里亞ちゃんも一緒だけど。
亞里亞ちゃんは亞里亞ちゃんで謎の赤いスイッチをまじまじと見て楽しんでいた(?)。

「白雪ちゃんは知らないって・・・」
「じゃあ次は・・・」

そんな中、鈴凛ちゃん達と一緒にラボに行っていたはずの鞠絵ちゃんと花穂ちゃんがそんな風に話しながら居間へやって来た。

「どうしたのふたりとも?」

少し困った様子のふたりに質問してみた。
最近の鞠絵ちゃんの様子と花穂ちゃんの見解を考えてみて、鈴凛ちゃんと、でないのが少し気になったけど・・・。

「はい、実は・・・」
「あーーーーっ!!」

答えようとする鞠絵ちゃんの言葉を遮って、花穂ちゃんが突然何かに驚いたように大声をあげる。

「な、何? どうしたの?」
「鞠絵ちゃん、亞里亞ちゃんの手!」
「亞里亞ちゃんの・・・あ!」

鞠絵ちゃんも何かに気づいた様子だった。

「四葉ちゃ〜ん、亞里亞ちゃんが持ってたよ〜」

そして花穂ちゃんは一旦私に背を向け、大きな声でこの場には居ない四葉ちゃんに向かってそう言っていた。

「亞里亞ちゃんが持ってるって・・・そのスイッチのこと?」
「はい、そうなんです」

私が聞くと鞠絵ちゃんが答える。

「亞里亞ちゃん、そのスイッチ花穂達に返してくれる?」

すると亞里亞ちゃんはちょっと悲しそうな顔をして首を横に振る。
よっぽど気に入ってるのか、取られると思うと嫌なんだろう。

「ねぇ、ひょっとしてこれがなんのスイッチか知ってるの?」
「そうですね・・・家族がひとり減るスイッチ、と言えばいいのでしょうか・・・」

・・・なんだそりゃ?
って言うか本当にそんなスイッチなのか?

「鞠絵ちゃん縁起でもないこと言わないでぇーっ!」
「花穂ちゃん・・・大丈夫?」

物凄く慌てる花穂ちゃんを可憐ちゃんが心配そうに見ていた。

「亞里亞ちゃん、何で渡してくれないの?」

気を取り直した花穂ちゃんは亞里亞ちゃんの説得に取り掛かる。

「亞里亞ね・・・これ押すの好きなの」

そう言って亞里亞ちゃんはボタンを軽く3回連続で押した。

「あーーーーーーっ!!?」

その様子に花穂ちゃんがまた物凄く慌てて、あせったように驚いていた。

「亞里亞ちゃん、」

続いて鞠絵ちゃんが、

「もう1回です」

アンコールする。

「何言ってるの鞠絵ちゃんっ!?」
「はいなの・・・」
「亞里亞ちゃんやめてぇっ!!」

鞠絵ちゃんのアンコールに応えてもう一度押す。

「あああぁぁぁーーーっ!!?」
「花穂ちゃん・・・ほんとに大丈夫?」

心配そうに見る可憐ちゃんを余所に、花穂ちゃんは両手で頭を抱えながら滅茶苦茶あせっていた。

「四葉ちゃんが・・・四葉ちゃんが死んじゃうよぉ・・・」

花穂ちゃんは涙目でやや意味不明な事を言っていたのだった。

「冗談はここまでにしましょう」
「冗談じゃすまないよぉっ!」

何がどう冗談で、どう冗談で済まないのかよく分からないが、鞠絵ちゃんが冗談を言うなんて珍しいと思った。












「亞里亞ちゃん、それ渡してくれますか?」
「いや・・・」
「お願い、亞里亞ちゃん」
「いや・・・」

鞠絵ちゃん、花穂ちゃんの説得は続いていた。
しかし、依然亞里亞ちゃんはそれを手放そうとしない。
ほんと子供ってよく分からないわ。
でも、こんなにまでして取り返そうとするなんて・・・案外大切なものだったのかしら?

「鞠絵ちゃん」
「あ、鈴凛ちゃん」

さっきの花穂ちゃんの呼びかけで呼ばれた四葉ちゃんとそのおまけの鈴凛ちゃんが、やっと居間に辿り着いた。

「なによ、これやっぱりアンタが作ったものだったの?」

居間に着いた鈴凛ちゃんに真っ先にそう悪態をついた。
予想通りでいささかつまらない。

「亞里亞ちゃんそれをこっちに今すぐ渡すのデス!」

一方、四葉ちゃんは、着くなり真っ先に亞里亞ちゃんに赤いスイッチを渡すように要求していた。
・・・気のせいか四葉ちゃんはまた香ばしいニオイを発している。

「大人しく渡せば痛い目には遭わせないデスから!」
「アンタは強盗か?」

名探偵を目指していたんじゃないのか?

「・・・いやなの〜」

亞里亞ちゃんは謎の赤いスイッチを両手でしっかりと大切そうに持って自分の体で隠してしまった。

「なにそれ? そんなに大切なものなの?」
「まあね・・・」
「四葉ちゃんの命が懸かってるの!」

鈴凛ちゃんに続いて花穂ちゃんがそう答える。

「は?」

また意味不明なことを・・・。

え〜・・・、今までの話を総合すると・・・・・・つまり、“四葉ちゃん抹殺スイッチ”?
・・・一体何作ってるんだ、このメカっ子は?

・・・仲良く見えて実は憎み合ってたのかしら・・・?

「どうしてそんなのが良いのさ?」

などと私が考察を繰り広げていると鈴凛ちゃんが亞里亞ちゃんにそう質問していた。

「あ、鈴凛ちゃん! それ聞いちゃダメ!!」

さっきから慌てっぱなし花穂ちゃんが慌ててそう言う。

「亞里亞・・・これ押すの好き〜」

しかし花穂ちゃんの呼びかけは、時既に遅しと言わんばかりに、亞里亞ちゃんはまたボタンを3連打した。

「チェキッ! チェキッ!! チェキッッ!!!」

亞里亞ちゃんのボタンを押すリズムに合わせて四葉ちゃんは踊り始めた。

「四葉ちゃんはなにを踊ってるのよ?」

“四葉ダンススイッチ”?
・・・家族がひとり減るスイッチじゃなかったの?












結局、鞠絵ちゃん達は、亞里亞ちゃんにスイッチを譲ると言うことで話がまとまったらしかった。
私にはさっぱり事情が呑み込めないけど・・・。

そして最近お馴染みになってきた鞠絵ちゃん達4人は鈴凛ちゃんのラボに向かって行こうとしていた。
気のせいか四葉ちゃんは香ばしいニオイを発しながらフラフラしてる気がしたけど・・・。

「あ、鈴凛ちゃん、ラボに行くならこれ」

私は見送ろうとした鈴凛ちゃんの背中を見ててある事を思い出した。

「なに、咲耶ちゃん?」
「両手が使えなくても安心君3号、なんか壊れちゃったのよね」

私に引き止められ振り返る鈴凛ちゃんに、スクラップになったガラクタを、足を使って目の前に寄せた。

「え! そうなの!?」

鈴凛ちゃんはそのことに対して驚いていた。

「なんか、じゃなくて咲耶ちゃんが踏みつけたから、だけどね・・・」

可憐ちゃんがくすくす笑いながらこっそりと呟いていた。
























しばらくして、夕食の時間がやって来た。

「・・・ふふふ」

夕食。

ディーナータイムっ!!

「とうとうやって来たーッ!!」

夢の『さぁ、咲耶ちゃん、あ〜んしてv 可憐が食べさせてあ・げ・るvv』タイムッ!!!

「来たって・・・・・・なにがだい?」
「・・・・・・」

来たな、ネクラお邪魔虫・・・。

「なんだい・・・・・・? その・・・・・・嫌そうな顔は・・・・・・?」
「別に・・・」

あー・・・なんか一気に興ざめ・・・。

「咲耶ちゃん、お夕食、準備できたって」
「ほんとっ!!?」

一気にテンションアップ!!

「君は今日・・・・・・可憐くんに・・・・・・食べさせて貰うんだろう?」
「ええ」
「フ・・・・・・、新婚さんいらっしゃい、か・・・・・・」
「やだv もうv 千影ったらぁ〜〜vv」
「・・・・・・」

・・・・・・。

・・・はっ!

「い、いや・・・その・・・」

や、ヤバイ・・・つい“新婚”と言われてこの世の誰よりも幸せそうな反応をしてしまった・・・!

「・・・・・・さ、咲耶・・・くん・・・・・・?」

千影が、今までとは違う・・・ちょっとだけ青ざめたような顔をしていた。

「実は・・・・・・もう、そっちのケに目覚めていた・・・・・・とか?」
「そそそそそそそそそそんなわけないでしょ!!!???!?!」

・・・いえ、そうなんです・・・。

「ま、まあ・・・・・・そうだろうな・・・・・・。
 咲耶くんも・・・・・・私から1本取るつもりで・・・・・・無茶なことをする・・・・・・」

いつもは冗談でそう言うことを言っていても・・・さすがに実際にそうだと気持ち悪がるのね・・・。

「おふたりとも、早く来てください、お夕食が冷めてしまいますよ」

私が必死に誤魔化していると、私と千影を呼びに春歌ちゃんがやって来た。

「春歌くん・・・・・・聞いてくれ・・・」
「なんでしょうか?」
「実は・・・・・・咲耶くんはレ―ぶグぉあっっ!!

私はいつもの調子に戻った千影の口を止めるため、使える足でみぞおちへ蹴りを入れた。
そして、

ひブはァっっ!!

そのまま追撃!

「水月を踏み台に肩へ駆け上って膝蹴り?! あ・・・あり得ませんわ・・・」

横でなんか驚いてる春歌ちゃんを空中で見下ろしながら、
膝蹴りの衝撃で上を向いている千影の顔に自分の肘の照準を合わせ、
そのまま重力に身を任せ、横になる体勢で千影の顔面へ肘を入れて着地した。

その際、グシャァとか嫌な音が聞こえたのは気のせいだと思う。

「咲耶ちゃん・・・本当に怪我人ですか・・・?」

私の様子を疑う春歌ちゃんの足元で千影は痙攣を起こしていた。
























パーティーた〜いむvv(壊)

「咲耶ちゃん、何にやけてるの・・・?」
「なんでもないわvv」

こんな幸福を前にして顔を緩めるなって言うのが無理な話よvv

「不気味なのは千影ちゃんだけでいいよぉ・・・」

横では雛子ちゃんが毒を吐いていた。
・・・その毒が私に対するものか、千影に対するものかはよく分からないけど・・・。

「春歌ちゃん遅かったですの・・・って、あら? 千影ちゃんは?」
「病欠・・・ですわ・・・」

千影を部屋まで運んでいた春歌ちゃんが戻ると白雪ちゃんがそんな質問をしていた。

「はい、咲耶ちゃんv あ〜ん、してくださいvv」

そしてとうとう可憐ちゃんが物凄く幸せそうな顔でパーティーナイトの始まりを告げる!

「あ〜んvv」

ああ・・・これで私達も家族公認新婚カップルに・・・・・・なったらダメか、“イケナイ関係”だし・・・。

「あッ! 待って可憐ちゃん!」
「え!?」

もうッ、誰よ!
いいところで止めて!

「な、なに? 鈴凛ちゃん」

また手前ェか!?

「可憐ちゃん、そのおはし、可憐ちゃんのでしょ?」
「え? あ、そ、そうだったね・・・」

なんですとッ!?

「もう、気をつけなきゃダメだよ」
「う、うん・・・」

そ、そう言われて、よく見てみると・・・確かに可憐ちゃんは自分のおはしを・・・
つ、つまり・・・私は今、“可憐のおはし”で食べるところだったと!?

「何てことしてくれたのよ!!」と、思わず叫ぶ所だった・・・。

「鈴凛ちゃん・・・・・・どうもありがとうね!(怒)」

折角のチャンスを台無しにされた怒りを抑えつつ不服ながらも鈴凛ちゃんに礼を言った。

「咲耶ちゃん・・・なんか怒ってない?」

鈴凛ちゃんがなんか呟いていた。

「鈴凛ちゃん・・・自分は鞠絵ちゃんのおはしで食べちゃったからって・・・いちいち教えてくれなくても・・・」

ついでに可憐ちゃんが何か重大なことを呟いていたような気がしたけどよく聞こえなかった。
























しばらくして、食卓には私と可憐ちゃん、そして花穂ちゃんと四葉ちゃんの4人になっていた。
欠席した千影以外のみんなは既に食べ終わって食後の時間を過ごしていた。
千影には雛子ちゃんが料理を運んであげると立候補したので、そのうち目を覚まして雛子ちゃんの運んだ料理を食べるだろう。

「良かったね、四葉ちゃん。 生きてて」
「縁起でもないこと言わないでクダサイ・・・」

などと謎の会話を繰り広げる花穂ちゃん四葉ちゃん。

「はい、咲耶ちゃんv」
「あ〜んv」

それに対して至福の時を迎えている私v

「花穂ちゃん、こうなったら今のうちに鈴凛ちゃんのお部屋のクローゼットに忍び込んで鈴凛ちゃん達をこっそりチェキしましょう」

四葉ちゃんは食べ終わったのか、おはしをテーブルに置いて花穂ちゃんにそう話しかけていた。

「え? でも・・・四葉ちゃん、体は・・・」
「四葉は大丈夫デス。 それにもうアレは外してもらってマスから」
「そう? うん、分かったよ・・・」

そう言って花穂ちゃんと四葉ちゃんは食べ終わった食器を持ち、そのまま食卓をあとにしてた。

そして、とうとう食卓には私達ふたりになったっ!!

ああ、もっと熱々な空間を作れるわ・・・v
熱々・・・・・・そう言えばさっき鈴凛ちゃんおはしの事に気づかなかったら・・・
私は・・・可憐ちゃんのおはしで・・・

・・・ああ、もう、まったく、どうしてそう私の邪魔ばっかりするのかしら!

「はぁ・・・鈴凛ちゃんがおはしのこと気づかなかったら・・・」

なんて考えるのは、さすがに好き合っていても、例え男女間であったとしても、ちょっと変態チックかしら・・・?

「え!? 咲耶ちゃん、今なんて!?」
「あ!」

いけない・・・つい口に出して言っちゃってた・・・。

「可憐ちゃんも・・・意外とそそっかしいのね」
「う、うん・・・」

真っ赤になって俯く。

「ほんとは・・・わざと・・・なんだけど・・・」
「え、何?」
「う、ううん、なんでもないっ!!」

赤い顔のまま首を横に振る。
今、可憐ちゃんは何か言ったと思うんだけど・・・しかもかなり重大なことを・・・。

「あのままだったら・・・間接キスになってたかしら?」

何も言わず今度は軽く首を縦に振って答える。

「そうね・・・」

私は辺りを見回した。
辺りには誰もいないし、突然現れそうな千影は今、部屋の棺桶で眠ってるはずだから・・・大丈夫ね・・・。

「間接キスができなかったんだから・・・」

私はそのまま、包帯で巻かれた手で可憐ちゃんの顎を支えて、

「直接、しても良いかしら?」
「さささ、咲耶ちゃんっっ!!?!?」

私の言葉に耳まで真っ赤になって反応する。
可憐ちゃんは喜んで私の要求をのんでくれる、と思っていた。
ところが・・・

「もう、咲耶ちゃんはいっつも可憐のことドキドキさせるんだからぁ・・・っ!」

可憐ちゃんが怒り出してしまったため、私はちょっと戸惑いを隠せなかった。
いつも私にドキドキさせられてばかりだから、ちょっと悔しいのかしら・・・?
だけど可憐ちゃんをドキドキさせるのって可愛いのよね・・・

「でも・・・」
「え?」

なんてことを考えてたため不意打ちをくらった感じだった。

「・・・して、ください・・・」

そして、可憐ちゃんは目を瞑り、ちゃんと予想していた通りの答えを返してくれた。

「ええ・・・」

私は、そのまま自分の唇を可憐ちゃんの唇に持っていった・・・。

ふたりきりの食卓で・・・ふたつしかない影がゆっくりと重なった・・・。






可憐ちゃん、このキスは今日の看護のご褒美・・・って言って良いのかしら・・・?
・・・良いわよね。
だって、自惚れじゃなくて・・・本当に私の事を好きでいてくれてるんだから・・・。

だから・・・これは私からの・・・ご褒美よv
























おまけ

「千影ちゃ〜ん」
「・・・・・・雛子くん?」
「あ、起きてた」
「ああ・・・・・・今、起きたところさ」
「千影ちゃん、ごはんですよ〜」
「持って来て・・・・・・くれたのかい? ありがとう・・・・・・」
「くししし・・・褒められちゃった」
「じゃあ・・・・・・早速頂くとしよう・・・・・・」
「くししし・・・千影ちゃんの顔、潰れてて不っ気味〜♪」
「・・・・・・」
「でも似合ってるv やっぱり千影ちゃんには不気味な方が似合ってるよv」
「それは褒めてるのか貶しているのかどっちなんだ?」


あとがき

“〜ました”シリーズの裏側で、らぶらぶな可憐と咲耶を描いた、裏“〜ました”第4弾。(決まり文句)
予定通り『写真をとられました』の裏“〜ました”は飛ばしました(笑)
概要自体は『電気でビリビリさせました』の完成時にはほぼ完成していました。
ところがまず第2弾、第3弾を完成させなければいけなくて、
今度は完成させたと思ったら、内容の頭の部分が上手く思いつかなくて、
それであとで、あとで、って思ってたら、こんなに完成が遅れてしまいました(汗)(第3弾完成から約2ヵ月)
やっぱり何事も思った時にやらなきゃダメですね(苦笑)
でも・・・メインはかれさくなのに、かれさくと言うよりは『電気でビリビリさせました』の補足で終わってしまった感があります(汗)
実は、概要以外はノリで書いているのでそれが今後に影響しそうになることが結構あります(苦笑)
今回、咲耶の“まりりん疑惑”は、まさにノリで起きたそれです。
一応解消したつもりですけど・・・上手くできたんでしょうか?(不安)
それに、衛の“その場でズボンの履き替え”は、
話的に他に良いのが思いつかなかったからなんですけど・・・なりゅー自身は失敗してると思います(滝汗)
ところで、花穂への電撃は、本編でいつ押されたものか分かりますよね?


更新履歴

H15・10/30:完成
H15・11/6:誤字脱字修正


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