消してしまいたい心














如何してこう思うようになったのだろう・・・?

いつからか私は貴女の事を見ている様になりました。

この家に居る十人以上もの人間の中で貴女だけを見るようになりました。

いつからか貴女は私にとって特別な存在になりました。

貴女の優しさが好きでした。

私の様な存在にそれを注いでくれる事が嬉しかった。

貴女のピアノが好きでした。

その優しい旋律に私は魅かれていました。

貴女の喜ぶ顔が好きでした。

その顔を見るだけで私の中の何かが満たされていきました。

如何してかは解らない・・・。

でも・・・それだけで私は幸せでした。

だから私は貴女を喜ばせようと思いました。

貴女を幸せにしたいと思いました。

そうする事で私も幸せになれるから・・・。















いつも貴女を見てたから解った。

貴女が誰かを愛した事を。

そしてそれが誰なのかも。

私は貴女の喜ぶ顔が見たいです。

だから私は貴女を応援します。

その想いが届く様に貴女を応援します。






・・・でも如何して?






如何してこんなにも辛いのでしょうか・・・?




















いつも貴女を見てたから解った。

貴女の思いが叶った事を。

だから私は貴女に言いました。

「おめでとう」と・・・。

私は貴女を祝福します。

いつも貴女の幸せを思っていたから・・・。






・・・だったらこれは何なのでしょう?






貴女が幸せならそれは私にとっても幸せなのに・・・











こんなにも・・・辛い・・・。










如何して?

私だけを見て欲しかったから?

私だけを感じて欲しかったから?

私だけの貴女で居て欲しかったから?









私は・・・私が貴女に愛されたかったから・・・?















今解った・・・



今までの私の想いが・・・

これは“愛”だ・・・

私はとても驚いた。

だってそんなモノ・・・

私が抱くなんて在り得ないと思っていたから・・・

そして同時に・・・その事にとても失望した・・・。

解っていたから・・・

貴女が決して私を愛しはしない事を・・・

貴女にはもう愛する人が居る事を・・・

本当なら私がこんな風に感じる事なんて・・・ある筈無いのに・・・。






私だけに向けて欲しかったその想いを

他の人間に向ける事で貴女は幸せになる。

そして貴女に想いを向けられたその人間が

貴女と同じ様にその想いを貴女に向ける事で貴女は幸せになる。






貴女の幸せだけを望んで来たのに・・・

今は貴女が幸せである事が・・・

今の私にとっては苦痛でしかない・・・






私だけを見て欲しかったから・・・

私だけを感じて欲しかったから・・・

私だけの貴女で居て欲しかったから・・・









私は・・・貴女に愛されたかったから・・・。




















苦しい・・・



辛い・・・



解っているから・・・。

決して貴女に愛されない事を・・・。

如何して貴女を愛してしまったのだろう・・・?

貴女は私の事を好きだとは言ってくれた・・・。

でも決して愛してはくれない・・・。

愛される筈・・・無い・・・。






こんな思い・・・

もうしたくない・・・。



こんな想い・・・

消してしまいたい・・・。



こんなにも苦しいのだから・・・。







貴女が私ではない他の人間を愛した時

私は貴女を応援しました。

その想いが届く様に貴女を応援しました。















例えそれが貴女にとって“姉”に当たる人物であっても・・・

いつも貴女の幸せを思っていたから・・・。










貴女は同性を愛した・・・

しかも血の繋がりのある人間を・・・。

貴女の想いが世間一般から見れば普通でないとしても、

貴女の想いが異常であったとしても、

私を愛するよりは正常だ・・・。



解りきっていた事なのに・・・

私が貴女に愛されるなんて在り得ない・・・。





だって・・・




















私は“ヒト”ではない・・・




















私はただの“機械人形”だから・・・















だから私は今までの私を捨てます。

私はこの苦しみを捨てる為に

ただの“人形”に戻ります・・・。






私は私にとってのもう一人の特別な存在、

貴女とは違う特別な存在、

私を創ってくれた私と同じ顔の人間、

私がマスターと呼ぶ人間に頼んだ・・・

私の記録を消して欲しいと・・・。

そして・・・こんなに苦しい思いをするのなら

もう二度と“感情”なんて欲しくない・・・。










私から“心”を消して下さい・・・。










私の“感情”がマスターにとっての最高の傑作だとしても、

私にとっては苦痛でしかない。



私の“心”がマスターにとっての最高の傑作だとしても、

私には苦しみしか与えてくれない。



だから・・・お願いします。



私の中から今までの記録を消して下さい。



私の中から“感情”を消して下さい。



私の中から“心”を消して下さい。










私を・・・ただの“人形”に戻して下さい・・・。










何も感じず、

何も思わず、

何の感情も無い、

ただ与えられた命令を実行するだけの

ただの“機械人形”に戻して下さい・・・。















お願い・・・します・・・。


あとがき

読んで分かったと思いますが取り敢えず書きます。
この話は メカ鈴→(可憐×???) です。
???には好きな可憐より年上の誰か(各人の好みで)を入れて下さい。
最初は???が誰か決めてやっていたんですけど、
こう言う風にした方が良いと思いましてこうしました。
話の都合上鈴凛は却下。
ここで雛子とか言う荒っぽい想像をする人が居たら少し尊敬します。
初めて詩風に書いてみましたが・・・こんなんで良いのだろうか?



更新履歴

03年7月11日:完成
03年7月13日:修正
03年8月6日:あとがきのみ修正


 

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