そんなモノはもう捨てたさ・・・

だったら堕ちていこう・・・
何処まででも・・・










死ンデモ愛シテイル・・・














「・・・・・・朝・・・か」

「そろそろ起きるか・・・・・・」



「全く・・・・・・昨日は大変だったな」

「でも・・・・・・無事に済んでよかったよ」












「やあ・・・・・・おはよう鞠絵くん」

「相変わらず・・・・・・君は美しいね」

「その肌も・・・・・・前よりもずっと白くなったから・・・かな?」






「昨日は大変だったよ・・・・・・」

「これで・・・・・・しばらくは大人しくしてくれると・・・・・・良いんだけどね」

「でも、君に何事もなくて・・・・・・本当に・・・良かったよ」






「そうそう・・・・・・この間、君の日記を見たよ」

「・・・・・・なんだい? 君だって私の日記を勝手に見たんだ・・・・・・お互い様だろう?」



「いつも・・・・・・私の事を考えててくれたみたいだね」

「あの日からも・・・・・・」

「いや、あの日からの方が・・・・・・より私の事を考えてくれてたのかな?」

「それを見た時・・・・・・私は嬉しかったよ」

「君の中はいつも私の事でいっぱいだったんだから」



「例え・・・・・・それが憎しみでも・・・・・・」






「君が・・・・・・私の目の前で堕ちて行った時は・・・・・・さすがに応えたよ」

「まさか・・・・・・あんな事をするなんて・・・・・・思わなかったから」

「私は・・・・・・絶望したよ」

「君が居なくなってしまったんだから・・・・・・」

「だから・・・・・・私も君を追って飛び降りたよ」



「でも、私は死を拒んでしまった・・・・・・」

「自分でも信じられなかったよ・・・・・・」

「君が居なくては生きていけないと・・・・・・そう思っていたのに・・・」



「君も知っていただろう? 私が人とは違う力を持っている事に」

「その力をつい・・・・・・使ってしまったんだ」

「まあ・・・・・・無傷・・・とはいかなかったけどね」

「どうやら・・・・・・私は死ぬのが怖いらしい・・・・・・」

「君が居なくては生きていけないのに・・・・・・君が居なくても死にたくない」

「だから・・・・・・君は存在していなくてはいけなかったんだ」






「でも・・・・・・気が付いて良かったよ・・・・・・」

「君は・・・・・・まだ私の側に居たんだから」

「愛しているよ・・・・・・」

「例え、君が死んでも・・・・・・」





    ボタッ・・・


「?」

「ああ、すまない・・・」

「つい・・・・・・強く抱きしめてしまったよ」

「今、取れてしまったその左腕を縫い直してあげるよ・・・・・・」












「こうしていると思い出すよ」

「全く・・・・・・あの時は大変だったよ」

「バラバラになった君を・・・・・・もう一度元の美しい姿に戻すのは」

「まあ・・・・・・“彼等”にも協力してもらったから・・・・・・思ったより楽だったけどね」






「そういえば・・・・・・“彼等”の誰かが言っていたな」

「『狂っているのか?』・・・・・・と・・・」

「フ・・・・・・そうかも・・・しれないね」

「でも私を狂わせたのは君だ・・・・・・」

「君が・・・・・・あまりにも美しく・・・そして優しいから・・・」

「君への愛が・・・・・・私を狂わせたんだよ」






    ボタッ・・・


「ああ、すまないね・・・・・・手が・・・滑ったよ」



「そう言えば・・・・・・君の体は酷く滅茶苦茶になっている部分が多くてね・・・」

「まあ・・・・・・君の美しい顔に・・・・・・疵がつかなかったのは不幸中の幸いだったね」

「だから・・・・・・足りない分は人のモノを使わせてもらったよ」

「あの時は迷ったね・・・・・・」

「だって君の美しい身体に君以外の何かを混ぜると思うと・・・・・・少し・・・ね」

「でも・・・・・・君の美しい身体を取り戻すためだったし」

「それに使ったのは身体の中や服で隠れる所だけなんだから・・・・・・それ位は我慢するさ」



「いいだろう? どうせ腐って骨になるだけのモノなんだから・・・」

「それに・・・・・・君の美しい身体を取り戻すために利用してやったんだ」

「寧ろ・・・感謝してもらわなければね・・・」






   ボタッ・・・


「すまない・・・・・・また、滑ってしまったよ」



「あの時もそう言ったら・・・・・・“彼等”にね」

「『お前には人の心が無いのか?』・・・・・・と言われてしまったよ」

「フフフ・・・・・・」

「“彼等”がそんな事を言うなんて・・・・・・おかしな話だと思わないかい?」

「人の心・・・か・・・」



「そんなモノはもう捨てたさ・・・」



「君を手に入れる時に・・・・・・ね」






    ボタッ・・・


「・・・・・・はぁ・・・」

「また、落としてしまったよ・・・」

「怒らないでくれるかい?」

「仕方ないだろう・・・・・・私は今・・・・・・片手しか使えないんだ」

「私の左手は・・・・・・今、君に付けてあげてるだろう」






「君の身体で・・・・・・左手は一番滅茶苦茶になっていたんだ」

「いつも見える部分だからね・・・・・・他の人間のモノで代用はしたくなかったんだ」

「かと言って・・・・・・いつまでも左手のない君を見ているのも辛かったよ」

「だから私のをあげたんだ」

「どうせ展望台から堕ちた後からまともに動かなかったんだ・・・・・・無くても大して変わらないよ」

「切る時は麻酔をしていたからね・・・・・・そんなに痛くはなかったし」

「それに美しい君の姿を取り戻す為に私の手をあげる事ができるなんて・・・・・・私はとても嬉しかったよ」

「それにそのお陰で私と君は一つになれたんだ・・・・・・最高じゃないか」












「できたよ・・・・・・また、私と君が一つになれた・・・」

「愛しているよ・・・・・・鞠絵君」




「―――!!」




「・・・・・・はぁ・・・」

「どうやら・・・・・・また、あいつ等がやって来たみたいだ・・・」

「もうすぐここに着くみたいだ」

「全く・・・・・・昨日、あんなに痛めつけてやったと言うのに・・・」

「数は・・・・・・昨日よりも多いな・・・」

「大丈夫・・・・・・君は私が守るさ」

「例え相手が警察だろうがなんだろうが関係ない・・・」

「私と君を引き離そうだなんて事は決してさせない!」

「あんな奴等・・・・・・私の相手じゃない」

「目も手も・・・・・・片方はまともに使えている・・・・・・問題ないさ」

「少しの間・・・・・・待っていてくれ・・・」
































「・・・・ハァ・・・・ハァ・・・・・・・」

油断した・・・。

「三発・・・・・・いや、四発か・・・」

・・・きちんと止めを刺しておくべきだったな。

「後ろから撃たれるとは・・痛ッ!」

・・・体中に激痛が走る。

「でも・・・・・・君を・・・守りきったよ・・・」


私はそう言いながら鞠絵くんの元へ向かった。






「・・・・ハァ・・・・ハァ・・・」

私は鞠絵君の居る部屋に入り、彼女の座っている椅子の横に座り込んだ。

「やあ・・・・・・ただいま・・・」

私はツギハギだらけの愛する人を下から見上げながら語り始めた。






「油断・・・したよ・・・・」

「多分・・・・助からない・・・・・」

「フフフ・・・・・・あんなに死ぬのが怖かったのに・・・・」

「もうすぐ君に会えると思うと・・・・・・嬉しく思えるよ」

「いや・・・・やっぱり死ぬのは嫌だな・・・・」

「ハハハ・・・変な感覚だ」

「死にたくないのに・・・・・・早く死にたがっているなんて・・・」

「君も・・・・・・こんな感じ・・・だったのかい?」

「私という人間に・・・・・・激しい愛情と憎悪・・・相反する二つの感情を抱いてた時は・・・」

「それとも・・・・・・違うのかい?」







「・・・君も昔は・・・・・・あの薬無しでも・・健康・・・だったね」

私は語り続けた・・・

「そう言えば・・・あの時の事・・・・・・憶えているかい?」

決して答えるはずのない鞠絵くんに・・・

「ミカエルを飼い始めた時に・・・・・・」

話す事は全て昔の事ばかりだった・・・

「なんでかな・・・・・・昔の事ばかり話してしまう・・・」

色々な思い出が蘇って来る・・・

「さっきから・・・昔の事ばかり思い出すんだ・・・」

君と笑った時の記憶・・・

「走馬燈・・・と言うやつか・・・・・」

君が泣いた時の記憶・・・

「いよいよ危ないな・・・・」

君を怒らせてしまった時の記憶・・・

「でも・・・・もうすぐ逢えるよ・・・・」

そして・・・

「楽しみだな・・・」

君を好きになった時の記憶・・・

「フフフ・・・・・・」

色々な記憶が蘇るのに・・・



なんでだろう・・・



なんで・・・






    君を手に入れてからの記憶は思い出さないんだ?






「なんで・・・」

思い出す事は全て楽しかった事ばかりなのに・・・!

「なんであの時からの事を思い出さない・・・!?」

望んだ事だった・・・!

「なんで・・・う・・・」

幸せだった・・・!

「・・・う・・・う・・・あ・・・・」

それが最も良い方法だったんだ・・・!

「あ・・ああ・・・」

なのに・・・

「わあああああああああぁぁぁぁ・・・・!!!」

・・・涙が止まらない。





「すまない・・・・・・こんな事に今更気づくなんて・・・」

君を手に入れて、

「私にはまだ・・・・・・人の心が残ってたみたいだよ」

望みが叶ったと思ってた。

「私が間違っていたんだ・・・」

それで幸せになれたと思ってた。

「もし死んだら・・・・・・君に逢えるかな・・・?」

でも、君を手に入れる前の時の方が・・・

「逢いたいな・・・」

その時の方が本当に幸せだった。

「そして、謝らせてくれ・・・」

あんな事をして手に入れても、

「許して欲しいなんて思わない・・・」

心のどこかで解ってたんだ・・・。

「ただ君に・・・謝りたいんだ・・・」

本当は・・・幸せじゃない事に。

「君から・・・・・・全てを奪った事に・・・」










どうしてあの時、ただの姉として見守る事を選ばなかったんだろう・・・。

今ならその方が幸せだと解る。

無理矢理歪めた心で得た君の笑顔より、
その前の自然な君の笑顔の方が好きだった。






私の愛した人は死んだんだ・・・。
私が殺したんだ・・・。

あの時に・・・、
展望台から堕ちた時じゃない、
彼女に薬を飲ませた時から、

彼女が彼女でなくなった時から。










 私はかつて愛した人だったモノを見上げた。

「もう・・・限界か・・・」

 だんだん意識が遠のいていく。

「愛しているよ・・・」

 目も霞んできた。

「もし生まれ変わったら・・・」

 また巡り会えるとは限らないけど・・・

「今度は・・・ただの姉として見守らせてくれ・・・」

 君は嫌かもしれないけど・・・

「それで・・・十分だ・・・」

 それでも・・・望ませてくれ・・・。

「鞠絵くん・・・」

 もう、間違えないから・・・。





「また・・・・・・来世・・・・・・」


あとがき

兄くんの方々ごめんなさい、千影を壊しすぎました。
兄上様の方々ごめんなさい、鞠絵を壊してしまいました(物理的に)。
この話は『最愛の貴女へ、最悪の結末を』の続編です。
だから書き方がヘンです。
しかも問題作三号認定です。
この話、本当は千影が警察に向かって行くところで場面が変わって、
咲耶辺りが電話で千影が死んだ事を聞いて、
雛子辺りがテレビ(ニュース)に千影が出てるって言う展開の予定だったんですが、
なんでかこんな展開に変えてしまいました。
しかも、元々の方だと千影は最期まで改心してません。
あと、書いてる時途中で予定変えたから内容ヘンかもしれません。
ついでに、忠告しておいたので気分を悪くされても責任取れません。
なんかロクな作品じゃないですね・・・。


更新履歴

H15・6/12:完成
H15・6/15:修正
H15・8/6:また修正
H15・11/7:誤字脱字および色々修正
H15・11/8:指摘された場所を修正し損ねて再修正(汗)


 

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