鈴凛「・・・・・・」

 気がついたとき、周りの風景は全く同じ佇まいを見せていた。
 開けっ放しの窓に、淡い色のカーテンにが揺れている。
 流れる生地の裾から、黒い風景が顔を覗かせていた。

鈴凛「・・・・・・」

 気怠く重い身体。

 一瞬、ほとんど寝ていないのだと思った。

 しかし、休みの日に1日中寝ていた後のような、
 頭の中身が鉛にすり替わってしまったような感覚。

 そして・・・。

鈴凛「・・・どうせなら、起こしてくれればいいのに」

 ドアの前に置かれたお盆。
 その上にのった食器。

 冷めてもいいように、わざわざおにぎりにしてくれている。

鈴凛「・・・・・・」

 ・・・3ヶ所くらい噛んだ跡がある。

鈴凛「亞里亞ちゃんね・・・」

 誰かの喰いかけなんて食べる気なんてない。
 だた喉が渇いていることに気づいて、皿の横に置かれているコップを手に取る。

鈴凛「・・・ブッ!

 ・・・おしるこだった。

 何故にこんな状況でおしるこを出すのだろうかと疑問に思いつつ、咽ながらも不意に周りを見渡す。

 開いた窓。
 揺れるカーテン。
 秒を刻む時計。
 静かな部屋。
 本当に静かな部屋。
 それこそ、気が狂いそうになるくらいに・・・。


   『彼女は・・・・・・医者に今年の2月まで生きられないだろう・・・・・・そう言われた』


 不意に鎌首をもたげる言葉。
 あんな表情の千影ちゃんは初めてだった。
 その短い言葉が意味する内容。

 今までの、鞠絵ちゃんの言葉・・・。

 元気な仕草・・・。

 明るい表情・・・。

 無茶苦茶なボケ・・・。

 そのどれもが、たった一言で暗転する。
 鉛入りの頭がずきずきと痛む。

 夢。

 そう思いたかった。
 しかし、夢と現実の区別がつかないほどアタシの意識は混濁してはいなかった。

 来月まで、あと1週間・・・。

鈴凛「・・・・・・」


    コンコン・・・


 闇の静寂の中で、遠慮がちなノックの音が聞こえる。

亞里亞「・・・鈴凛ちゃん?」

 問いかけるような声。

鈴凛「・・・なに」
亞里亞「入ります」
鈴凛「・・・いいよ」

 微かな音を立てて、扉が開く。
 廊下からの逆光に照らされて、亞里亞ちゃんがひょこっと顔を出す。

亞里亞「真っ暗なの・・・」
鈴凛「・・・そうね」

 亞里亞ちゃんはドアを閉めてから、アタシのすぐ横に腰掛けた。

鈴凛「・・・・・・」
亞里亞「・・・・・・」
鈴凛「・・・・・・」
亞里亞「すぴー・・・」
鈴凛「・・・何がしたいの?」
亞里亞「分からないの・・・。 ・・・でも、側にいた方がいいって思うの」
鈴凛「寝てるんだったら側にいない方がいいと思うのはアタシだけか?」
亞里亞「亞里亞も、そう思うの」
鈴凛「分かってんならまず寝るな!
亞里亞「・・・分かったの・・・くすん」

 それっきり、お互い無言だった。
 アタシは何も言わないし、亞里亞ちゃんもこれ以上詮索しない。

亞里亞「すぴー・・・」

 ってか寝てる。

鈴凛「・・・・・・」
亞里亞「・・・・・・」

 さっきまでと同じ静寂の中、時間だけが流れる。
 でも、そんな静寂も嫌ではなかった。

鈴凛「亞里亞ちゃん」
亞里亞「ふぁ・・・」
鈴凛「アタシ、ちょっと出かけるね」
亞里亞「ぐるぐるは好き〜」

 立ち上がり、まだ寝ぼけている亞里亞ちゃんを残して、扉を開ける。

亞里亞「鈴凛ちゃん」
鈴凛「なに?」
亞里亞「そのおにぎり、喰べてもい〜い?」
鈴凛「既に3口喰ってるでしょ」
亞里亞「はむはむ・・・」

 って言うか、もう喰ってるし・・・。
 って言うか、いつの間にここに持ってきたんだ?

鈴凛「・・・とにかく・・・・・・ありがと」

 言い残して、アタシは夜の町に飛び出した。


    ・・・・・・

    ・・・・・・

    ・・・・・・


 あてがあるわけじゃなかった。
 ただ、じっとしていたくなかった。

 容赦のない冬の風。
 真正面から吹き荒ぶ透明で冷たい風。

 ・・・雪が降ると吹雪ね。

 澄んだ空。
 光を散りばめた空。
 思いつく限りの場所を、ただ歩く。


 鞠絵ちゃんと初めて出会った雪の林道・・・。


 鞠絵ちゃんを毎日ツッコンでいた学校の中庭・・・。


 鞠絵ちゃんと一緒に漫才して歩いた町中・・・。


 そして、鞠絵ちゃんと最後に会った公園・・・。



鞠絵「ここは、夜の方が綺麗デスよね」

 四方を取り囲む街灯がオレンジに照らされて、ひとりの少女がボケていた。

鈴凛「そのネタは既に一回使ってる」
鞠絵「そうでしたっけ」

 穏やかな表情のまま、くるっとアタシに背中を向ける。
 その前方には、光を浴びて輝く噴水が以前と同じ佇まいを見せていた。

鞠絵「・・・噴水、こんな時間でもちゃんと動いているんですね」
鈴凛「止めたら凍るしね」
鞠絵「わたくしたち以外、誰も見てないのに・・・」
鈴凛「いや、そこまで人気がないわけじゃないでしょ」
鞠絵「まぁ、“あの日”まではそんなことなかったみたいですけど・・・」
鈴凛「やっぱ何か遭ったんだ」
鞠絵「わたくしも詳しくは知りませんけどね」
鈴凛「・・・・・・」

 いつの間にか、上空の風は穏やかなものに変わっていた。
 肌をそよぐ風が、少女の三つ編みを揺らす。
 ストールの裾を手でなでつけながら、少女はただ闇の中に立っていた。
 止まることのない水面を見つめながら、流れる風に身を任せながら。

 やがて、ゆっくりと水の音が小さくなる。

鞠絵「鈴凛ちゃん」

 静寂の闇の中で、不意にアタシの名前を呼ぶ。
 真夜中の公園で、逆光に照らされたアタシのシルエットを見つめながら。

鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「・・・えっと」

 一旦言葉を止め、自分の心の中の葛藤を押し込めるように、もう一度強くアタシの名前を呼ぶ。

鞠絵「鈴凛ちゃんには、謝らなくてはならないことがたくさんあります」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「そして、感謝しなければいけないことも、たくさん、たくあん・・・」
鈴凛「“たくあん”になってるよ

 表情は分からなかった。
 そして、あえて抑揚を抑えたような声。

鈴凛「立ち話もなんだし、そっちに行ってもいい?」
鞠絵「・・・ガッテン承知の助です」
鈴凛「使い方間違ってる

 頷く鞠絵ちゃんは、俯いたまま背中を向ける。
 アタシは鞠絵ちゃんの背中を追いかけるように、噴水に向かって歩みを進める。

鈴凛「座ろうか」
鞠絵「・・・・・・」
鈴凛「思いつかなかったら無理にボケなくてもいいんだよ

 今度は無言で頷く。

 背中を押すように、ゆっくりと少女の手のひらを重ねる。
 鞠絵ちゃんは促されるまま、噴水の縁に腰を下ろす。

 いつかの光景と同じように、アタシもその横に座る。
 ちょうどその時、止まっていた噴水が勢いよく水を吹き上げる。
 静かな空間を揺らす水の音。
 飛沫がコンクリートを濡らす。

鞠絵「・・・寒いですね」
鈴凛「鞠絵ちゃんは、寒いボケが得意でしょ?」
鞠絵「得意じゃないです」
鈴凛「そうなの? いつもボケる時自信あったんだ」
鞠絵「お笑いは好きです」

 一度、間を空ける。

鞠絵「でも、自分でやるのはあまり自信はないです」
鈴凛「そうだろうね」
鞠絵「もっとネタを暖めてから、やってみたかったです」

 淡々と紡ぐ言葉。

鈴凛「・・・話してくれるの?」
鞠絵「・・・はい」

 視線を夜の公園に向けたまま、言葉を続ける。

 聞きたくなかった。
 知りたくなかった。

 だけど、それが事実であるなら、アタシはその事実を知りたい。

 鞠絵ちゃんの・・・アタシが本当に好きな人の口から、直接。

鞠絵「鈴凛ちゃん、ごめんなさい」
鈴凛「・・・・・・」

 謝罪の言葉を、無言で受け止める。
 今、自分がどんな表情をしているのか、アタシには分からなかった。

鞠絵「わたくし、鈴凛ちゃんに嘘をついていました」
鈴凛「本当は風邪なんかじゃなかったんでしょ?」
鞠絵「はい・・・。 本当は、もっともっと、重い病気・・・」
鈴凛「エボラ?」
鞠絵「それよりは軽い病気・・・・・・でもないですね」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「たくあんのお薬を飲んで、もっとたくあんの注射をしても治らない病気・・・」
鈴凛「だから“たくあん”になってる
鞠絵「ついでにたくさんのわけの分からない姉上様お手製の薬を飲んでも治らない病気・・・」
鈴凛「わけ分かんないなら飲むのやめなよ」
鞠絵「そして・・・お医者さんに来月を迎えることはできないって・・・・・・・・・言われて・・・」

 言葉が曇る。

鈴凛「・・・なんの病気なの・・・?」
鞠絵「病名・・・でござるか?」

 初めてアタシの方を見つめて、
 ボケて、
 悲しいくらいのボケで、

鞠絵「知りません・・・」

 にこっと微笑みながら素かボケか微妙な事を言う。

鞠絵「両方とも公式設定できちんと決まっていないですから」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「それに・・・重い病気・・・って言うことには違いはないですから。
   だから・・・・・・現状に変化はきたせません」
鈴凛「・・・・・・」

 ボケだった。
 やや意味不明な言葉だったけど、なんだか凄いボケをかましてたと分かった。
 すべてを受け入れ、だからもう開き直って・・・。

鞠絵「もうひとつ、謝らせてもらいます・・・・」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「わたくし、鈴凛ちゃんこと、好きです」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「多分、“異性に向けるはずの感情”で好きです」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「本当は、誰も好きになったらいけなかったんです。
   誰にも心を開いてはいけなかったんです。
   辛くなるだけだって・・・分かっていたから・・・」
鈴凛「↑今、“からい”って言ったね

 ツッコンでしまった。
 放っとけば気づかれない、シリアスな展開をぶち壊しかねないボケに。

鞠絵「でも、ダメでした」

 凄い荒業だと思った。

鞠絵「どんなに迷惑がられても、わたくしは鈴凛ちゃんのことが好きです」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「・・・本当は、こんな事言っても・・・何の意味もないのに・・・。
   悲しくなるだけだって、分かってるのに・・・。
   わたくし・・・馬鹿ですから・・・。
   ・・・姉上様に嫌われてしまうくらい・・・ド畜生ですから・・・」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「申し訳ありません、鈴凛ちゃん・・・。
   また、嘘をついてしまいました」

 そして、いつものように、ただボケる。
 悲しいことに、今回それがリアクション芸なので読者の方々にはお見せできないことが、ただただ残念だ。
 あー、残念だ。(←棒読み)

 この少女は、節操というものはないのだろうか・・・。
 ふと、そんなことを思う。

鞠絵「・・・それだけが、どうしても鈴凛ちゃんに謝りたかったんです」
鈴凛「・・・鞠絵ちゃん」
鞠絵「なんですか?」
鈴凛「・・・百合小説だと、これはどんなシーンなの?」
鞠絵「・・・え?」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「・・・そう・・・ですね・・・。 ありきたり・・・ですけど・・・キスシーンです」
鈴凛「普通に、男女のと変わんないね・・・」
鞠絵「そう・・・ですね・・・。
   でも・・・わたくしはそう言うありきたりは嫌いではありません。
   ・・・だって・・・現実じゃ在り得ないんですから・・・そう言うほのぼのとした展開でも・・・いいじゃないですか・・・。
   現実では・・・・・・不幸になるのが普通・・・。
   実現不能なことだから・・・だから・・・紙の中に作った世界では・・・自由にイチャつかせて・・・」

 震える声で・・・。

鞠絵「それがバレても・・・平気にしたいんだと・・・わたくしは思っていますから・・・」

 精一杯の言葉を・・・。

鞠絵「ちょっと・・・かっこいいですよね・・・禁断の関係を・・・貫くって」

 ボケ無しで・・・。

鈴凛「鞠絵ちゃん・・・」
鞠絵「はい・・・」
鈴凛「アタシ、小説はあんまり読まないけど・・・。
   でも、今ここで・・・そんなありきたりな展開を見てみたい」
鞠絵「・・・・・・・・・どうして・・・ですか・・・?」
鈴凛「やっぱり、鞠絵ちゃんのこと、好きだから」
鞠絵「・・・・・・」
鈴凛「ずっと一緒にいたいって思ってる」

 ・・・どんなにやってることは滅茶苦茶でも・・・。

鈴凛「これから・・・何日経っても、何ヶ月経っても、何年経っても・・・」

 ・・・それが命懸けの茨の道でも・・・。

鈴凛「鞠絵ちゃんのすぐ側で立っている人が、アタシであって欲しいって思う」
鞠絵「・・・本当に・・・百合小説みたいですね・・・」
鈴凛「そうね・・・」
鞠絵「鈴凛ちゃん、ひとつだけ約束してください」

 視線をアタシの方向に向けて、そして一度区切った言葉を、もう一度続ける。

鞠絵「わたくしのこと、百合な女の子にしてください」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「学校に通って、みんなと一緒にお昼を食べて・・・。
   そんな日常で、女の人との恋愛を楽しんで・・・。
   お休みの日は、遠くまで出かけて・・・。
   少しコメディタッチな場面として、ボケたらツッコンで・・・。
   みんなにバレないように、冷や冷やしながら禁断の関係を貫いて・・・。
   そして、唯一バレてしまってる姉上様がフォローしてくれて・・・」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「わたくしは戻ることができるんです。 楽しかった、あの頃に・・・。
   元気だった、ただその日その日を精一杯生きていた、あの頃に」

 一度だけ覗かせた、泣き笑いの表情。
 だけど、それもすべて開き直った様な笑顔にとってかわられる。

鞠絵「でも、1週間だけです。
   1週間後の2月1日・・・わたくしは、鈴凛ちゃんの前からいなくなります。
   それ以上の時間は、鈴凛ちゃんにとっても、わたくしにとっても、悲しい思い出を増やすだけですから・・・」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「・・・・・・ゲームもやりたいですし・・・
鈴凛「今のところハッキリ言う!!
鞠絵「ですから、1週間です。
   ・・・それでも、本当にわたくしを受け入れてくれますか?」
鈴凛「約束する」
鞠絵「ありがとうごじゃります」

 無邪気なボケが痛かった。
 何もこんなにシリアスになってる時に言わなくても・・・と。

 信じられないであろう事実を突きつけられて、それでも精一杯生きることができる小さな少女。
 事実から目を背けることもなく、真正面から受け止めること。
 アタシに、この強さがあるんだろうか?

 もし直視することのできない事実を目の当たりに突きつけられた時に、
 アタシは馬鹿みたいにボケることができるのだろうか?
 だからせめて、鞠絵ちゃんをひとりにはしたくなかった。

 好きだから。

 本当に好きだと言える人だから。

 夜の公園。

 冷たい風。

 ざわめく水。

 街灯の明かり。

 噴水の縁に座るふたり。

鞠絵「83日早かったら、ちょうど文化の日ですね」
鈴凛「それはちょうどじゃないし、文化の日の理由が分からない

 それでもボケを続けながら、ゆっくりと目を閉じる。


 噴水が止まっていた。


 静寂が夜の公園を包んでいた。


 穏やかな水面に、ふたりの姿が映る。


 抱きしめた少女の体は小さくて、


 怯える小動物のように小刻みに震えていた。


 ・・・・・・ゆっくりと、時が動く。


 ・・・・・・どちらからともなく、顔を近づけ・・・。



 初めて触れる、自分と同性の少女の唇は、柔らかくて、そして温かかった。



鞠絵「あたたかいです・・・」

 すぐ間近で、鞠絵ちゃんが微笑んでいた。


 そして、


 この瞬間、鞠絵ちゃんは百合な女の子になった。


 自分の精一杯のために。



 1週間の間だけ・・・。









鞠絵「えっと、それではこれで帰ります」
鈴凛「大丈夫?」
鞠絵「もし、痴漢がでたら・・・―――・・・しますから、」
鈴凛「今ぼかした所はっきり言いなさい!」
鞠絵「・・・内臓を―――」
鈴凛「やっぱり言わなくていいッ!!
鞠絵「・・・意見に一貫性を持ってください」
鈴凛「じゃあ気をつけてね」
鞠絵「それでは、また・・・」
鈴凛「うん、また明日ね」
鞠絵「はいっ」

 頷いて、振り向いて、そして歩き出す。
 遠ざかる鞠絵ちゃんの背中。

鈴凛「・・・・・・」

 闇に溶けるように。

鈴凛「鞠絵ちゃん!」
鞠絵「・・・・・・」

 呼び止めた声。
 もう一度振り返る鞠絵ちゃん。

鞠絵「・・・・・・」
鈴凛「何とかならないの・・・」
鞠絵「・・・・・・」
鈴凛「もう、どうしようもないの・・・」
鞠絵「・・・はい」

 小さく、それでも確かに首を傾げる。

鈴凛「本当に、どうしようもないの・・・!」

 それでも何かにすがるように、言葉を続ける。
 それが、鞠絵ちゃんにとって苦痛にしかならないことを知っていながら。

鞠絵「そうですね・・・」

 雪のように白い肌・・・。

鞠絵「奇跡を起こせばいいんです」
鈴凛「・・・・・・」
鞠絵「奇跡は起きるものじゃなくて起こすものだから・・・」

 穏やかに微笑みながら、自分の運命を悟り、

鞠絵「・・・でも」

 そして受け入れた少女が言葉を続ける。

鞠絵「起こせないから、奇跡、なんですよ」

 冷たく流れる風の中、

 飛沫をあげる水の音、

 アタシは、鞠絵ちゃんの姿が見えなくなるまで、ずっとずっと闇の中に立っていた。


更新履歴
H15・11/26:完成


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